子どもがいる家庭にとって、住んでいる街でどのような子育て支援制度を受けることができるかは気になるところです。子育てによる負担を軽減し、安心して子育てができる環境をつくるため、行政はさまざまな子育て支援制度を提供していますが、そのほかにも、自治体が独自に取り組む子育て支援制度が多数あります。東京都では、どのような取り組みが行われているのか、子育て支援制度が充実している自治体を紹介します。

どの地域に住んでいても利用できる主な子育て支援制度

所得の制限なく利用できる子育て支援制度もあり、積極的に活用したいところ(画像素材:PIXTA)

まずは、自治体にかかわらず、どの地域に住んでいても利用できる主な子育て支援制度についておさらいしてみましょう。

【どこに住んでいても受けられる主な子育て支援制度】
児童手当
中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している世帯に支給されます。金額は、3歳未満が一律で月額1万5,000円、 3歳~小学生終了前までは月額1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生が一律で月額1万円で、所得制限限度額以上の場合は、特例給付として月額一律5,000円が支給されます。原則として、毎年2・6・10月の3期に分けて、前月分までが支払われます。
詳細:内閣府「児童手当制度のご案内」

幼児教育・保育の無償化
幼稚園・保育所・認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子どもたち、住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでの子どもたちの利用料が無料になります。ただし、幼稚園については、月額2万5,700円が上限となっています。
詳細:内閣府「幼児教育・保育の無償化」

育児休業給付金
雇用保険に加入している労働者が1歳未満(支給対象期間延長要件に該当する場合は1歳6ヶ月または2歳)の子どもを養育するため、育児休業を取得した場合に支給されます。1ヶ月あたりの支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で、育児休業の開始から6ヶ月を超えると、「休業開始時賃金日額×支給日数×50%」です。
なお、育児休業給付金の制度は、2022年10月から育児休業の分割取得やる産後パパ育休制度の創設など大きく変わる予定です。詳しくは厚生労働省の発表を確認してください。

児童扶養手当
父母の離婚などによるひとり親家庭の生活の安定と自立の促進、子どもの福祉の増進を目的として支給される手当です。18歳の誕生日後、最初の3月31日までにある子どもの養育者に支給されます。支給額は、子ども1人の場合、満額で月額4万3,160円です。所得金額と養育する人数により支給額は変わるため、詳しくは東京都福祉保健局の公式サイトで確認を。

東京都の子育て世帯を取り巻く状況

子どもの人口が最も多い東京都には、さまざまな子育て支援制度があります(画像素材:PIXTA)

2017年度東京都福祉保健基礎調査「東京の子供と家庭」によると、小学生までの子どもを養育する両親世帯のうち、6割以上が共働き世帯とのこと。東京で子育てをする家族の多くが、夫婦ともに仕事をしながら育児を両立していることが分かります。

総務省統計局の発表によると、東京都における15歳未満の子どもの人口は約155万3,000人(2019年10月1日現在)。東京都民の11.2%を占め、全国で唯一、前年比で子どもの人口が増加しています。

そうした状況下、保育施設に入りたいのには入れない「待機児童」が問題化していますが、東京都の待機児童数は2021年4月現在で969人。26の自治体では待機児童ゼロを実現し、千代田区や港区、目黒区、世田谷区、杉並区、豊島区など18の自治体では2年連続で待機児童ゼロを維持しています。

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【東京都の主な子育て支援制度】
東京都が独自で行っている子育て支援制度には、どのようなものがあるのでしょうか。主な制度を紹介します(2022年3月現在)。

0歳~中学3年生の医療費助成
0歳から小学校入学前までの子どもの医療費のうち、国民健康保険や健康保険など各種医療保険の自己負担分が助成されます(保険診療の場合、自己負担なし)。小学1年生から中学3年生までの場合、国民健康保険や健康保険の自己負担額から一部負担金<通院1回につき200円(上限額)>を控除した額が助成されます。区市町村により18歳まで医療費を助成している場合もあり、区市町村によって助成範囲も異なるため、詳しくは直接各区市町村の公式サイトで確認を。
詳細:「乳幼児医療費助成制度(マル乳)」「義務教育就学児医療費の助成(マル子)」

児童育成手当(育成手当)
東京都に住んでいるひとり親家庭などで、対象年齢(18歳になった最初の3月31日まで)の子どもがいる家庭がもらえる東京都独自の手当です(所得制限あり)。支給額などは各区市町村の公式サイトで確認を。
詳細:「児童育成手当」

ファミリー・サポート・センター事業
子どもの送迎や預かりなど子育ての「援助を受けたい人」と「援助を行いたい人」が、地域で相互援助を行う仕組みです。
詳細:「ファミリー・サポート・センター事業」

子育て応援とうきょうパスポート事業
都内在住の18歳未満の子どもがいる、または妊娠中の人がいる世帯を対象としてパスポートを交付。協賛店等で提示すると、粉ミルクのお湯の提供やおむつ替えスペースの提供、商品の割引といったさまざまなサービスを受けることができます。
詳細:「子育て応援とうきょうパスポート事業」

赤ちゃん・ふらっと事業
小さな子ども連れでも安心して外出ができるよう、授乳やおむつ替えなどができるスペースを東京都内に1,500ヶ所以上設置しています。
詳細:「赤ちゃん・ふらっと事業」

【東京都内】独自の子育て支援制度が充実している区市町村

東京都には、マタニティフォト撮影券のプレゼントなど、ユニークなサービスを提供する自治体も少なくありません(画像素材:PIXTA)

東京都では、自治体ごとにもさまざまな子育て支援制度があります。なかでも特徴的な制度を紹介します。

台東区
出産時にお祝いの品がもらえる自治体は多いですが、台東区は22歳までの子どもを2人以上養育している台東区内在住の保護者に対し、第3子以降の子どもに「出生」「小学校入学」「中学校入学」のタイミングでお祝い品を受け取れる「にぎやか家庭応援プラン」を実施。それぞれのタイミングで3万円相当の商品券もしくは図書カードが贈呈されます。

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豊島区
台東区では「ゆりかご・としま事業」を実施しています。妊娠届を提出して「ゆりかご面接」を受けた妊婦を対象に、「ゆりかご応援グッズ」をプレゼント。「マタニティフォト撮影券」か「おくるみ2点セット」の選択制です。妊娠中に家族とスタジオで撮影すれば、よい思い出になりそうですね。
また、出産後には「おめでとう面接」を終了すると「誕生お祝い品」として、東京おもちゃ美術館の特別招待券と木のおもちゃのセットなどのプレゼントもあります。

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葛飾区
葛飾区では、小学生未満の子どもを2人以上養育している子育て家庭を対象に「三人乗り自転車等購入費助成事業」を実施しています。保育園や幼稚園への送り迎えや、外出時の安全性を高めるため、対象となる自転車や関係するものを新たに購入する人に対し、安全基準を満たす自転車やSGマークのついた幼児用座席・ヘルメット、電動アシスト付三人乗り自転車に対応するメーカー純正バッテリーの購入費用について、購入金額の2分の1(上限3万円)が助成されます。

葛飾区ではそのほかにも、母子健康手帳の交付を受けてから1年未満の人に5,500円分をチャージした交通系ICカードを交付する「マタニティパス」や、契約施設に宿泊し、1泊2日の場合1万円、その後1日につき5,000円の自己負担でお母さんと赤ちゃんのケアなどを受けることができる「宿泊ケア」、「ゆりかご面接」を受けた方に、1万円分の妊娠子育て応援券の交付も行っています。

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千代田区
東京都では、中学生までの医療費助成を高校生までとする動きがありますが、すでに自治体独自で高校生まで助成しているのが、千代田区です。
そのほかにも、1回の妊娠につき一時金として 4万5,000円を支給する「誕生準備手当」や、高校生相当の子ども1人につき月額5,000円を支給する「次世代育成手当」も実施。
また、「親世帯との近居のために住み替える新婚世帯・子育て世帯」や「子どもの成長などにともない、より広い住宅に住むために区内転居する子育て世帯」を対象に最長8年間、毎月最大8万円が支給される「次世代育成住宅助成」など、子育て支援の手厚さはトップクラスです。

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新宿区
新宿区は、住宅関連の助成金制度が充実しています。「民間賃貸住宅家賃助成」は、新宿区内の民間賃貸住宅に住む世帯の家賃を助成することで、新宿区に定住を促す制度。年に1回、2週間の募集期間を設け、義務教育修了前の子どもがいるファミリー世帯を対象に最長5年間、月額3万円が助成されます。家賃や世帯の総所得などの要件があり、応募者多数の場合は抽選となり、例年倍率は4倍程度です。

そのほかにも、子世帯と親世帯が新宿区内で近居もしくは同居する際の費用負担を軽減する「多世代近居同居助成」や、子育て世帯が出産や子どもの成長を理由として新宿区内で民間賃貸住宅を住み替える際、家賃の差額や引っ越し費用を助成する「次世代育成転居助成」といった制度もあります。いずれも利用できる世帯数が限られているため、利用を検討している場合は早めに受付を行いましょう。

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まとめ

子育てのしやすさを重視して、これから住む場所を探している人は多いでしょう。学区や自然の豊かさ、治安の良さなどをも大切なポイントですが、子育て支援制度もチェックしてみてはいかがでしょうか。

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