その年に納めた税金が本来納めるべきより額よりも多かった場合、確定申告をすれば還付金として戻ってきます。確定申告をしたことがなく、還付金はいつどのようにして受け取るのか不安に思う人もいるでしょう。そんな不安を払拭すべく、今回は確定申告後に還付金を受け取るまでの流れと注意点を解説します。

確定申告で還付金を受け取れるケースとは?

確定申告にはなにかと手間がかかります。そもそも自分は還付の対象になるのかを確認してから準備をはじめなければ、時間をムダにすることになりかねません。ここでは、還付金を受け取れるケースについて解説します。

会社員の場合

会社員や公務員の場合、基本的には勤め先の年末調整で税金が清算され、還付金があれば12月中あるいは翌年1月に給与に上乗せする形で戻ってきます。ただし、次のようなケースは年末調整で清算できません。年末調整のほかに確定申告が必要です。

・年の途中で退職して年末調整をしていない
・多額の医療費を支払った(医療費控除)
・住宅ローンでマイホームを購入した(住宅借入金等特別控除)
・ローンを組んで省エネ改修工事をした(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
・ローンを組んで認定住宅を新築・購入した(住宅借入金等特別控除)
・災害や盗難などで資産を失った(雑損控除)
・ふるさと納税などの寄付をした(寄附金控除)
・年末調整後に結婚した(配偶者控除または配偶者特別控除)
・年末調整後に扶養家族が増えた(扶養控除)
など

それぞれ、ケースごとに還付対象となる要件が定められているので、詳しくは国税庁のWebサイトで確認してください。

なお、住宅関連の控除については、確定申告が必要なのはローンを組んで1年目のみです。2年目以降は税務署から年末調整に必要な書類が送られてくるので、勤務先にその書類を提出してください。

参照元:所得税|国税庁

個人事業主やフリーランスの場合

個人事業主やフリーランスの場合は年末調整のような制度がなく、必ず確定申告を行わなくてはなりません。確定申告で所得税を決定して納税するという流れですが、次のようなケースでは還付金が受け取れる可能性があります。

・予定納税により本来納めるべき税金よりも多く納めている場合
・源泉徴収額が本来納めるべき税金よりも多い場合
・純損失の繰戻しにより還付金が発生する場合(青色申告のみ)

予定納税とは、前年の所得金額をもとに計算した予定納税基準額が15万円以上の場合、次の確定申告までに所得税を分割で支払う制度です。税務署から連絡を受けた事業主は、必ず予定納税をしなくてはなりません。その年の所得税が確定した時点で予定納税での納めすぎがあれば、その差額が還付されます。原稿料やデザイン料など、報酬から源泉徴収されている場合も同様です。

還付金はいつ、どのように受け取るの?

確定申告で還付金が発生した際、いつ、どのようにして受け取るのか気になるところです。ここでは、還付金の受取時期や方法について解説します。

還付金を受け取れる時期

還付金を受け取れる時期は明確に決まっているわけではなく、確定申告の方法やタイミングによって変わってきます。窓口や郵送で確定申告書を提出した場合は1ヶ月~1ヶ月半ほど、e-Tax(電子申告)を利用した場合は2~3週間ほどを目安にするとよいでしょう。

還付申告は1月1日から手続きが可能です。2月まで待たなくても手続きが済ませられるので、そのぶん早く還付金が受け取れるかもしれません。

2月から3月の確定申告の時期には大量の申告書が提出されるため、審査や支払い手続きに日数がかかります。また、提出後に内容の誤りに気づいて再提出したりするとさらに時間がかかり、還付金を受け取れる時期が遅くなる可能性があります。

会社員や公務員などが年末調整以外に確定申告をする場合は、ほとんどが還付申告です。税務署が混まないうちに早めの手続きをおすすめします。

還付金を受け取る方法

還付金の受取方法には、口座振込と窓口の2種類があります。

・口座振込
確定申告書の「還付される税金の受取場所」の欄に、振込を希望する口座情報を記入します。ほとんどの金融機関が指定できますが、一部のインターネット専用銀行は還付金受取に対応していないため、注意してください。なお、振込先に指定できるのは申告者本人名義の口座のみです。

・窓口
ゆうちょ銀行、または郵便局の窓口での受取になります。確定申告書の「還付される税金の受取場所」欄に、受取を希望するゆうちょ銀行の店舗名または郵便局名を記載してください。還付金を受け取る際には、確定申告後に送られてくる「国庫金送金通知書」と、運転免許証や健康保険証など本人確認できる書類が必要です。

確定申告から還付金を受け取るまでの流れ

確定申告から還付金を受け取るまでの流れを、ざっと整理しましょう。

1. 必要書類を準備する(源泉徴収票、各種控除証明書など)
2. 確定申告書を作成する
3. 付表や計算書などを作成する
4. 添付書類とともに申告書を提出する
5. 還付金を受け取る

確定申告書にはAとBの2種類がありますが、会社員や公務員の還付申告ではたいてい確定申告書Aを使用します。確定申告書Bはすべての所得を対象としていますが、給与所得者が還付申告をするなら簡略版の確定申告書Aのほうが作成しやすいでしょう。

各種書類は国税庁の「Webサイト」からダウンロードが可能です。各種書類の書き方や注意点など細かく説明されているので、ぜひチェックしてください。

還付金がなかなか振り込まれない場合は?

確定申告をしたにもかかわらず還付金が振り込まれない場合、どのように対処すればいいでしょうか。考えられる要因や対処方法を解説します。

確定申告から2ヶ月以内の場合

還付金が受け取れる時期について、申告書提出後の1ヶ月~1ヶ月半ほどと説明しましたが、これはあくまでも目安です。2月から3月は税務署の繁忙期で、通常よりも処理に時間がかかる可能性があります。長ければ2ヶ月ほどかかることもあるので、気長に待ちましょう。

e-Taxで申請した場合は、手続きから2週間ほど経つと画面上で処理状況が確認できます。「メッセージボックスの確認」をクリックして、進捗状況を確認してみましょう。

2ヶ月以上経っても振り込まれない場合

手続きから2ヶ月以上経っても還付金が振り込まれないのであれば、何か問題が発生しているのかもしれません。管轄の税務署へ問い合わせをして状況を確認してみましょう。この際、手元に申告書の控えなどを準備しておくとよいでしょう。申告内容や添付書類に不備があった場合は指示に従って申告書を訂正し、再度提出しなくてはなりません。目の前に申告書の控えがあれば、話がスムーズに進みます。

まとめ

還付金を受け取れる時期の目安は、申告書提出後、1ヶ月~1ヶ月半ほどとなります。e-Taxを利用した場合は少し早まり、2~3週間で受け取れる可能性があります。なお、還付申告は確定申告をする年の1月1日からの手続きが可能です。2月中旬からは税務署が混みあうため、早く還付金を受け取りたい人場合は、1月中に手続きを済ませることをおすすめします。