有機EL搭載iPad製造に向けて、LGディスプレイが生産準備を進めている噂
ここ最近アップルが有機ELディスプレイを採用したiPadを準備中との噂が何度か報じられながらも、確たる情報はありませんでした。そんななか、韓国のLGディスプレイが生産設備を移して「将来のiPadに使う予定の有機ELパネル生産に備えている可能性が高い」とのサプライチェーン情報が伝えられています。
韓国の電子産業専門誌The Elec報道によると、LGディスプレイは現在、亀尾市工場のE5ラインにある有機EL生産設備の一部を坡州市の工場に移しているとのこと。これは有機ELの材料をパネルに蒸着させるためのテンショナーであり、具体的には亀尾市にあるP10工場のうちE6-4ラインに移設しているそうです。
なぜLGが生産設備を移しているのかといえば、情報筋いわく「アップルが将来のiPadに使う予定の有機ELパネルの生産に備えるため」とのことです。それに加えて、同工場には「iPhone用の有機ELパネルを製造するE6-1およびE6-2ラインが設置されている」とも述べられています。つまり、iPhoneとは別のデバイス向けに準備されている可能性が高い、と示唆しているようです。
さらにThe Elecは「使用されている生産設備の一部が、別の生産ラインに移されることは滅多にない。」「輸送中に機器が損傷する可能性がある一方で、特定の生産ライン向けに厳密に調整する必要があるからだ」といった情報筋の話も伝えています。それほどの大仕事をLGが行うのは、アップルからの大規模な発注が確保できたからだと仄めかしているのかもしれません。
有機EL版のiPadについては、すでに「2022年内の発売は無理」との予想が有力となっている一方で、The ElecはまもなくLGディスプレイがそれに備えて有機EL工場の生産能力を倍増するとの噂を報じていました。今回の記事はその続報であり、より信ぴょう性を補強したかっこうです。
この製品に採用される画面は、赤･緑･青の発光層を2段重ねにした「ツースタック･タンデム構造」（従来は1層だけのシングルスタック）であり、従来比で最大2倍の輝度を実現するほか、パネルの寿命も最大4倍に延びるとも言われています。
アップルが最近のiPad ProやMacBook ProにLiquid Retina XDRディスプレイ、すなわちミニLEDバックライト付き画面を採用して優秀さをアピールしているなか、有機EL画面をiPadに採用する意味があるかどうかは疑わしいとの声もあります。
とはいえ、「大企業のLGディスプレイが異例といえる生産設備の移設をしてまで何かに備えている」ことは可能性が高いと思われ、今後のアップルにも何らかの動きがあるか注視していきたいところです。
Source:The Elec
via:9to5Mac
