いまAndroidスマートフォンを買うなら? 定番から特化型まで、おすすめの9モデル
数あるAndroidスマートフォンのなかから、自分のニーズに合った最適な機種を見つけるにはどうしたらいいだろうか。デザインが優れていたり、お買い得な価格だったりすると、つい目移りしてしまう。通信キャリアが提供する割引や端末代金を分割できる支払いプランにも心を引かれてしまうかもしれない。そんなときは軽率な衝動買いをする前に、ぜひこの記事を読んでほしい。
「いまAndroidスマートフォンを買うなら? 定番から特化型まで、おすすめの9モデル」の写真・リンク付きの記事はこちら山ほどある選択肢のなかから、いちばんのおすすめであるグーグルの「Google Pixel 5a (5G)」をはじめ、おすすめの機種をいくつか紹介したい。ここで紹介する機種には、それぞれ長所がある。これまでたくさんの機種を試してきた結果を踏まえ、なるべく正直にそれぞれのよさを伝えていきたい。
最初に知っておくべきこと
SIMロックが解除されているスマートフォンを選ぶ
SIMロックが解除されたSIMフリーのスマートフォンなら、複数の通信キャリアやネットワークで使える。
通信キャリアから購入したスマートフォンは、そのネットワークに“ロック”されていることが多い[編註:日本では総務省の定めるガイドラインにより、21年10月1日以降はSIMロック状態の端末の販売が原則禁止となった。また事業者には、利用者に申込みなどの手続きを課すことなく無料でSIMロックを解除することが義務づけられている]。
スマートフォンを購入する際は、なるべく一括払いで購入するか、SIMロック解除と明記されているか確認しておきたい。購入価格を高いと感じるなら、より安価なスマートフォンを探したほうがいい。それにはメーカーから直接購入するか、もし通信キャリアで購入した場合はSIMロック解除に関する規約を調べておこう。
5Gにはこだわらなくていい
5G通信に対応した料金プランへの変更や5G対応スマートフォンの購入をすすめる広告を、おそらくたくさん目にしていることだろう。確かに5Gの通信ネットワークを利用するには5G対応のスマートフォンが必要だが、5Gを利用できるエリアはまだ少ない。また、たとえ利用できたとしても、4G LTEと比べて劇的に速いわけではない可能性が高い(いまのところは)。
新しいスマートフォンのほとんどは、たとえ低価格なモデルでも5Gに一部対応している。通信プランについても同じだ。このため、5Gに完全対応したスマートフォンにいますぐ買い換える理由はない。
いちばんのおすすめ
グーグル「Google Pixel 5a (5G)」
500ドル(約57,000円)以上かけなくても、いいスマートフォンは手に入る。グーグルの「Google Pixel 5a (5G)」(『WIRED』US版の評価:10点中9点)は、その好例だろう。動作は非常にスムーズで、ほとんどのゲームが問題なく動く。
色鮮やかで表示が鮮明な6.3インチの有機ELディスプレイは、この価格帯のスマートフォンに搭載されているどの液晶よりも優れている。カメラのシステムも他を圧倒している。そしてバッテリーはほぼ2日間もち、5G通信は「Sub6」の周波数帯に対応している。IP67規格の防水性能をもち、ヘッドフォンジャックを搭載している点もいい。
搭載されているカメラは、2020年発売の「Google Pixel 5」と同じだ。メインセンサーは12メガピクセルで、超広角カメラを搭載している。夜景モードでは光が少ない場所でも細部まで鮮明な写真を撮れる。三脚に取り付けて夜空に向ければ、星を撮影することも可能だ。
Pixelシリーズの最も優れた点はソフトウェアで、多数の役に立つ機能を搭載している。例えば、知らない電話番号からの着信を選別してくれる「通話スクリーニング」機能などだ。これがあれば、ロボコール(自動音声による営業電話)に出て腹立たしい気持ちで電話を切る頻度が減るだろう。
OSのアップグレードとセキュリティのアップデートが3年間にわたって保証されることも、Pixelの利点だ。欠点があるとすれば、ディスプレイのリフレッシュレートが低いこと、microSDカードスロットがないこと、ワイヤレス充電ができないことくらいだろう。
小さいサイズを探しているなら:2021年のGoogle Pixel 5a (5G)は大きいサイズのみの展開となっている。小さめのスマートフォンがいいなら、2020年発売の「Google Pixel 4a」(350ドル、日本では42,900円)がある。まだ一部では入手できるが、在庫は少ない。
カメラの性能で選ぶなら
グーグル「Google Pixel 6」と「Google Pixel 6 Pro」
グーグルの最新モデルである「Google Pixel 6」と「Google Pixel 6 Pro」は、“嫌いになる”ほうが難しいスマートフォンだ(『WIRED』US版の評価:10点中9点)。
それぞれ599ドル(日本では74,800円)と899ドル(日本では11万6,600円)で、優れたパフォーマンスと1日以上のバッテリー駆動時間を実現し、リフレッシュレートが90Hzと120Hzの美しい有機ELディスプレイを搭載している。スマートフォンのフラッグシップモデルのなかでもお買い得な機種だ。また、ワイヤレス充電、5G通信対応、IP68規格の防水など、最高水準の性能を備えている。
Google Pixel 6とGoogle Pixel 6 Proの主な違いは、Google Pixel 6 Proのほうがサイズが大きいことだ。標準モデルとなるGoogle Pixel 6はディスプレイのサイズが6.4インチだが、これに対してGoogle Pixel 6 Proは角がカーヴした6.7インチのディスプレイを搭載している。カメラは50メガピクセルのメインカメラと12メガピクセルの超広角カメラに加えて、望遠レンズもある。
このカメラシステムは、ほかのすべてのAndroidスマートフォンを凌駕する。日中はもちろんのこと、低照度でもくっきりと撮影できるのだ。動画の撮影性能も大幅に向上している。これはグーグルの新しい独自チップ「Tensor」のおかげで、スマートな便利機能を使えるのもこのプロセッサーがあるからだ。例えば、飛躍的に向上した音声入力機能や、他言語で届いたメッセージを自動翻訳する機能などを利用できる。
Pixelの最大の利点は5年間のセキュリティアップデートを保証している点(OSのアップグレードは3年間)で、これなら長く使い続けられる。欠点があるとすれば、指紋センサーの精度が低いことと、晴れた日の屋外ではディスプレイが少し暗くなることだ。
ほぼ完璧でリーズナブル
サムスン「Galaxy S21 5G」
最近、サムスンの「Galaxy S21 5G」(『WIRED』US版の評価:10点中8点)を米国では700ドル(約8万円)以下で見かけるようになった。ほぼ完璧な性能、リフレッシュレートが120Hzで表示が滑らかなディスプレイをはじめ、ワイヤレス充電、抜群の動画撮影性能、優れたトリプルカメラシステムなどを備えたスマートフォンとしてはリーズナブルな価格である。
背面はマットなプラスティック製(けれど安っぽさは感じない)なので、落としても粉々になる心配があるのはディスプレイ側だけだ。また、6.2インチのディスプレイのサイズは小さすぎず、大きすぎない。
サムスンは4年間のOSのアップグレードとセキュリティアップデートを保証している。セキュリティのアップデート期間はグーグルの新しいPixel 6シリーズのほうが上回っているが、前者についてはサムスンのほうが長い。
ただし、これまで定番だった機能の一部がなくなった。128GBあるストレージ容量を拡張できるmicroSDカードスロットが廃止されたほか、(最新のiPhoneと同様に)電源アダプターとイヤフォンが同梱されていない。バッテリー駆動時間は約1日で、ごく普通だ。
さらに高性能な製品を選ぶなら:サムスンの製品で、もっと優れたカメラを搭載した大きいサイズのスマートフォンを欲しいという人には「Galaxy S21 Ultra 5G」(米国では1,199ドル、約14万円)をおすすめする。米国では数少ない光学10倍ズームのカメラを搭載したスマートフォンのひとつで、遠くまでズームしても鮮明な写真を撮ることができる。1,000ドル(約11万5,000円)まで値下がりしていたこともある。
最長のバッテリー持続時間
モトローラ「moto g power」(2021年モデル)
バッテリーが長もちするスマートフォンをできるだけ低価格で欲しいなら、モトローラの「moto g power」(2021年モデル、日本未発売)がいい。バッテリー容量が5,000mAhなので、1回の充電でほぼ3日間はもつ。
それ以外の部分は、2020年モデルから劇的に改善しているわけではない。カメラアプリの新しい「ナイトモード」のおかげで低照度でのカメラの性能は少し向上している。ディスプレイの解像度は低く屋外では薄暗くなるが、動画や番組を観るなら問題ない。十分なパワーがあるので、ほとんどのアプリやゲームは問題なく動作する。ヘッドフォンジャックと最大64GBのストレージを拡張できるmicroSDカードスロットを搭載している。
前のモデルからの欠点は変わっていない。非接触決済用のNFCに対応しておらず、「Android 11」へのアップグレードが1回しか保証されていないのだ(ただし、セキュリティアップデートは2年間の保証となっている)。また、5G通信にも対応していない。
こうした点が気にならず、安くてバッテリーのもちがいいスマートフォンを欲しい人にとっては、これ以上の製品はないだろう。価格は米国で200ドル(約23,000円)まで下がっていることが多い。
低価格帯でベスト
サムスン「Galaxy A32 5G」
米国では300ドル(約35,000円)で購入できるサムスンの「Galaxy A32 5G」(『WIRED』US版の評価:10点中8点)には、欠点はあまり見当たらない[編註:日本では公式にはau版のみ]。MediaTekのチップは信頼性の高いパフォーマンスを発揮し、「Sub6」の周波数帯の5G通信に対応する。メインカメラは驚くほどよくできていて、バッテリーは2日間もつ。
弱点はディスプレイだ。リフレッシュレートは90Hzだが、表示が非常に鮮明というわけではない。また、Google Pixel 5a(5G)や Google Pixel 4aのような有機ELディスプレイではないので、美しい黒の表現や常時表示は望めない。それでも晴天時でも十分に明るい。
64GBの内蔵ストレージを拡張するためのmicroSDのカードスロットや非接触決済用のNFCのほか、側面には指紋センサーとヘッドフォンジャックを搭載している。さらに、ほかの格安スマートフォンとは異なり、サムスンはOSのアップグレードを2回と、4年間のセキュリティアップデートを保証している。ハードルを上げるとはこのことだろう。
そして米国では250ドル(約29,000円)以下で販売されていることが多い点はありがたい。
ゲームとオーディオ好きに最適
ASUS「ROG Phone 5s」
スマートフォンでモバイルゲームを楽しむ時間が長いなら、ASUSの最新のゲーミングフォンがいいかもしれない。側面にはふたつのタッチセンサー式ボタンがあり、あらゆるゲームの操作を割り当てられる。このため、画面をタップして指でディスプレイが見えなくなるような事態が起きない。
操作はASUSの「Kunai 3 Gamepad」や家庭用ゲーム機「Xbox」「PlayStation」「Stadia」のコントローラーの物理ボタンに割り当てることもできる。つまり、さらに人間工学に基づくモバイルゲーム体験を得られるということだ。
ゲーム関連の機能は、この製品の特徴の一部にすぎない。ROG Phone 5sは、最もパワフルなAndroidスマートフォンのひとつである。特にハードウェアのパフォーマンスを最適化して高める「Xモード」をオンすると、なおさらだ。優れた音質のスピーカーはもちろん、ヘッドフォンジャックには4基のD/Aコンヴァーターからなる「Quad DAC」を搭載しているので、お気に入りの有線ヘッドフォンで高品質なオーディオを楽しめる。
また放熱性にも優れており、本体が熱くならない。ASUSの外付け冷却ファン「Aeroactive Cooler 5」を購入すれば、さらに長時間ゲームを楽しめる。そんな芸当も、容量が6,000mAhのバッテリーを内蔵しているおかげだ。
ゲーミングスマートフォンにありがちな欠点はある。例えば、ぱっとしないカメラがそうだ。また、ワイヤレス充電ができず、かさばって重い。それでも生粋のモバイルゲーマーで、もっと多くのスマートフォンにヘッドフォンジャックがあればいいと思っているなら、ROG Phone 5sはぴったりだろう。
画面を折り畳める端末なら
サムスン「Galaxy Z Fold3」と「Galaxy Z Flip3」
誰も折り畳み式スマートフォンを必要としていないかもしれないが、面白い製品には違いない。 お金に余裕があるなら、初めて安心しておすすめできると思えたサムスンの最新の折り畳み式スマートフォン「Galaxy Z Flip3」と「Galaxy Z Fold3」(『WIRED』US版の評価:10点中7点)を検討してみてはいかがだろう。
旧モデルより耐久性が向上しており、IPX8規格の防水性能を備えている。プールに落としても大丈夫だが、高価なガジェットを守るためにケースは使ったほうがいいだろう。
縦方向に折り畳めるGalaxy Z Flip3は従来のスマートフォンの感覚で使える。ディスプレイを開いた状態は一般的なスマートフォンとそう変わらないが、そのままちょうど半分に折り畳めるのだ。大画面でありながら、ポケットに入れると四角い付箋の束を持ち歩いているような感覚になる。これは嫌いにはなれない。ベッドサイドテーブルに置いても場所をとらない。
ディスプレイを横方向に折り畳めるGalaxy Z Fold3は、マルチタスクを重視している。本のように開くと7.3インチの画面が現れ、複数のアプリを並べて実行できるので、いちいちアプリを行き来する必要はない。これでスマートフォンの使い方は大きく改善されることになるが、いかんせん価格が高すぎる。
ほかにもおすすめのスマートフォン
これまでAndroidスマートフォンを山ほど試してきたなかで上記のスマートフォンから選ぶと確実だが、以下の機種もおすすめできる。
ワンプラス「OnePlus 9」(659ドル)と「OnePlus 9 Pro」(969ドル) ※いずれも日本未発売):ワンプラスがこれまで出したなかで最も高価(『WIRED』US版の評価:10点中8点)な機種だが、ついに長らく従来モデルの惜しい点だったカメラが改良された。
その他のハードウェアはいつも通り優れている。ただ、どちらの機種にも際立った特徴はない。また、OSのアップグレードは3回で、セキュリティアップデートは4年間となっている。
ソニー「Xperia 1 III」(1,298ドル、日本では15万9,500円):ソニーのXperiaの最新モデルは、カメラアプリの設定をいじったり、マニュアルモードで写真や動画を撮影したりしたい人にぴったりだ。カメラでの撮影体験は楽しいが、ここまでに紹介したいくつかの機種のほうが優れた成果を得られる。とはいえ、最高水準のパフォーマンスを発揮し、リフレッシュレートが120Hzで4K解像度の美しい表示の有機ELディスプレイ、大音量のステレオスピーカー、ワイヤレス充電、そしてヘッドフォンジャックを搭載している。
問題は非常に高価な点だ。販売価格が約1,300ドル(日本では14万9,800円)するにもかかわらず、5G通信が「Sub6」の周波数帯にしか対応していないところは納得できない。
ASUS「Zenfone 8」(630ドル、日本では79,800円):最も小さく、最もパワフルなAndroidスマートフォンを探しているなら、「Zenfone 8」で決まりだろう。ほかのフラッグシップモデルのスマートフォンと比べると、5.9インチのディスプレイはとても小さい。だが、クアルコムの「Snapdragon 888」を搭載してるので、性能の面ではフラッグシップモデルには違いない。
また、リフレッシュレートが120Hzのアクティヴマトリクス式有機EL(AMOLED)ディスプレイとヘッドフォンジャックを搭載し、バッテリーは丸1日もつ。ただし、カメラの性能はそこそこである。詳細はレヴュー記事を読んでほしい。
サムスン「Galaxy A52 5G」(400ドル、日本ではNTTドコモで59,400円):最もエキサイティングなスマートフォンとは言えないが、Galaxy A52 5G(『WIRED』US版の評価:10点中7点)は信頼できる。性能はまずまずで、安定したカメラシステムを備えている。ディスプレイはリフレッシュレートが120HzのAMOLEDディスプレイを搭載。3回のOSアップグレードと、4年間のセキュリティアップデートを保証している。
モトローラ「motorola one 5G ace」(330ドル、日本未発売):モトローラのスマートフォンはバッテリーのもちがいいところが特徴で、motorola one 5G aceも例外ではない。バッテリーは2日間もち、優れたパフォーマンスを発揮する。また5G通信に対応し、非接触決済用のNFC(モトローラの低価格モデルでは珍しい)、解像度が1080pの大画面ディスプレイを備えている。だが思った通り、カメラは低照度下での撮影を得意としていない。「Android 12」には今後対応予定だが、待つ価値はある。
避けるべきスマートフォン
過去におすすめしたスマートフォンのなかで、おすすめできなくなった機種がある。発売から2年以上が経過して古くなったり、性能がいまいちになったりした機種だ。
また、ソフトウェアのサポートが近いうちに終了する可能性があったり、次のAndroidアップデートで動作が重くなったりする懸念がある機種もある。新しい製品でも試した結果、あまりおすすめできないものもリストに加えた。
まず、LGエレクトロニクスのスマートフォンは避けたほうがいい。同社がモバイル部門を閉鎖したからだ。今後数年は既存のスマートフォンのサポートを続けるというが、いま買うのはリスクが高く、ほかにもっといい選択肢がある。
「Google Pixel 4」「Samsung Galaxy S20」「OnePlus 8T」「moto g power(2020年モデル)」はおすすめから外す。どれもまだ使えるが、この記事で紹介した機種のほうがいいだろう。ほかにも「Nokia 8.3 5G」「OnePlus Nord N200 5G」、サムスンの「Galaxy A51 5G」は試したが、おすすめはしない。
(WIRED US/Translation by Satomi Fujiwara, Galileo/Edit by Nozomi Okuma)