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シビック・タイプR初公開

ついに、新型ホンダシビック・タイプRの実車が、東京オートサロン2022(2022年1月14日〜16日)で世界初公開された。

【画像】新型タイプRまもなく【先代タイプRと新型シビックと比較】 全165枚

とはいっても、実車は外観をカモフラージュした状態でステージに置かれており、内装は報道陣にも未公開。


新型ホンダシビック・タイプR

また、エンジンスペックなど技術詳細についても、ほぼ未公開という状況だ。

それでも、世界中のタイプRファンにとっては、これまでホンダのSNSなどで小出しされてきた関連情報がついに具体化した感動的な瞬間であろう。

こうした中、発表当日に新型シビックタイプRの開発責任者、柿沼秀樹氏に筆者(桃田健史)からいくつか質問をぶつけてみた(以下、Q&A形式での記述とする)。

――これまでの開発について振り返って、今どう感じるか?

「2017年デビューで2020年に商品改良した現行モデル、FK8の開発もわたしが担当した。同モデル開発を受け持つと決まった時点で、その前のタイプRはより速く走るために無駄なものを削ぎ落とすという発想だった」

「サスペンションセッティングもかなり硬めとなっていた。一方で、ベース車としてシビックは(商品戦略によって)車格が上がり、またタイプRでも環境対策への考慮も必要となっていた。力技で速さを求めるには限界を迎えていたと感じていた」

自分で作ったものを、自分で超える

――つまり、タイプRの変化は必然だった?

「乗って感じる信頼感があり、そのうえで快適性がある、クルマの基本性能を満たしたスポーツカーを目指した」


柿沼秀樹氏。1991年に本田技研工業株式会社へ入社。2017年から新型まで、シビック・タイプRの開発を率いる。    ホンダ

――そうした間口を広げた考え方がユーザーにも響いた?
「新しいお客さま、そしてもちろんタイプRフリークにも(そうした考え方が)理解され、(結果的に)歴代タイプRの中で販売台数が最も高くなった」

――そのモデルを今回さらに進化させる難しさは当然あったと思うが?

「自分で作ったものを、自分で超える。酸いも甘いも分かっている。そのうえで、何を大事にして進化させようかと……」

「(タイプRなのだから)速さは当然ついてくる。(ちょうどブース内で鈴鹿サーキット走行の様子が映り)あの時もわたし自身で鈴鹿を走ってるが、目指したのは、もっとクルマを信頼して走れるような、人中心の意のままのハンドリング。タイプRとドライバーとの一体感をもっとよくできると考えた」

――それでどう進めたのか?

「5ドアのシビックで進化が礎(いしずえ)にある。それをいかに磨きあげるかと考えた」

――具体的には?

「(きょうの段階では詳細を公開することができないが)例えば、エンジン関連のソフトウエア系をブラッシュアップした。もっともっとよくできると、(そうした実感を持ちながら開発を)やりきった」

競合は気にしない、タイプRを極める

――ひとことで、このクルマを表現すると?

「タイプRに期待していただいているお客さまに、これは現行車と比べてどれだか良くなったのかと聞かれたら、『ふた皮むけた』と言いたい。それくらい、磨き切った。コンセプトは、アルティメイトスポーツ。究極のスポーツ性を目指したクルマだ」


新型ホンダシビック・タイプR

――現状で、ライバル車を含めて、シビック・タイプRの商品としての立ち位置をどう考えているのか?

「(業界内での)立ち位置ということよりも、スポーツ(性能という領域)やモータースポーツはホンダにとって切っても切り離せない。そうした中で、現在のホンダ四輪商品群ではスポーツ(性能を強調するクルマ)が少なくなっている」

ホンダとして新しいスポーツ(という領域)を背負っているのが、タイプRだ。(そもそも)競合車がどうだとか、気にしたことはない。よそは、よそ。こちらは、タイプRを極めるだけだ」

――そのモータースポーツとの関わりは新型シビック・タイプRとしてどうなるのか?

「いままで以上にモータースポーツとの関係性を高めていく。わたし自身、現行タイプRでスーパー耐久に参戦しているが、お客さまに対しても、量産タイプRを使うモータースポーツ連携の活用方法をもっと広げていきたい」

電動化の中でどう進む?

――電動化が必然となるこれからの時代、タイプRの将来をどう見ているか?

「目的はカーボンニュートラルであり、電動化は(あくまでも)手段だ。タイプRはホンダとしてのスポーツに対する思いを形にしたモデルであり、レシプロ(内燃機関)がなくなるとタイプRがなくなるとは思えない」


新型ホンダシビック・タイプR

ホンダが大切にする四輪車のスポーツ性能は、手段変わっても、ずっと生み出し続ける」

――つまり、タイプRは不滅か?

「(ホンダが掲げる2040年EV/FCV100%で)いきなり電動化へシフトするわけでない。内燃機関に対して高い技術があるホンダとして、(水素を活用するなどの)新しいフューエルを含めて、カーボンニュートラルを求めるすべは残っていると思う」

「(そのうえで)タイプRとしてホンダのスポーツを表現するとき、どのタイミングで何がベストかという考え方で、これから進んでいけば良い」

タイプRに向けた思いを、ホンダがユーザーや販売店に対して、これからも丁寧に説明し続けていくこと。それが、タイプR存続にとって最も重要であるのだと、柿沼氏の話を聞きながら感じた。

時代がこれからどう変化していこうとも、ホンダにとってタイプRは必然。

ホンダとしてタイプRをなくしてはならないと、強く思う。