セルフブランディングの時代。自分のことは自分で売る/INSIGHT NOW! 編集部
前回のコラムでは、セルフブランディングを考えるうえで、「誠実さ」「意図」「力量」「結果」という、信頼に足る人物になるための「四つの核」が必要だと紹介した。
そして、市場価値は、その人そのものの価値であり、本質的に自分の市場価値を高めようと考えるならば、これまでよく言われてきたセルフブランディングの高め方よりは、遠回りかもしれないが、自分の誠実さ、意図、力量、結果を磨き上げるしかないのではないか、と紹介した。
2軸で考える
これまでのキャリアを眺めてみて、あるいは今後訪れるであろう未来を予測してみて、満足感・安心感しかないのであれば、今のままで十分だろう。何も変える必要はない。完全にあきらめている人は別にして、そんな人はほとんどいないと思うが、むしろ、不安が年々大きくなると感じている人のほうが多いのではないか。
では、自分という商品、「四つの核」に基づいたコアコンテンツをどうやってつくっていくか、考えていこう。
ブランディングというからには、外への訴求ということであり、多くの場合は「何を求められているのか(ニーズ)」を最初に考えることになるのだろう。しかし、自分のできることから外れたニーズを考えたところで何の意味もなく、自分の持つ能力・才能・意思がまずありきだろう、そのうえでのニーズという2軸を同時に考えていくことになる。
能力・才能・意思
まず、現在の自分を冷静に判断してみる。
これまで上げてきた実績から、「今の顧客は、自分の何にお金を払ってくれているのか」また、「これからの自分に対して、顧客は何についてお金を払ってくれそうか」を考える。
あなたが現在、曲がりなりにも市場で存在しているのは、誰かがあなたの能力を買って、給料(ギャランティ)を払ってくれているからだ。
「何もない」などと自分を不当に卑下する必要などない。むしろ、営業職などで相当稼いでいる気になっていても、実は自分以外の要因だったりする可能性もなくはないから、冷静に考えてみよう。
次に、今後戦略的に、伸ばしたい能力、仕事を考える必要がある。「これから、より多くお金をもらい続けるためにどのような能力を磨きたいか、勉強したいか」を考える。
手っ取り早いのは、5年後の自分の自己紹介のセリフを想像してみることだ。「私は○○が専門で、最近は○○業の経営者から、○○を頼まれることが多いですね」という感じだろうか。
当然、今はお金を払ってもらっていても、競争相手も黙っているわけではない。勝ち抜いていくためには、戦略的、主体的に進みたい方向を決め、「今は不足しているが、近い将来手に入れる能力」を決める。主体的というのは、そこに自らの意思があるかどうかだ。誰かに言われた、本に書いてあったでも悪くはないが、ここは自分で決めてほしい。
そして、これからのブランディングとして欠かせないのが、「社会に対してどんな価値を提供できるか?どんな貢献や影響を与えることができるか?」だろう。
今後ESGの観点は、必須になることは間違いない。自分が興味を持つテーマを選ぼう。
ニーズ
最初に、あなたの能力をもっとも買ってくれそうな領域(ドメイン)はどこなのか、今の場所でいいのかを考える。どのカテゴリーにいる人を助けることができるのか。
ドメインとは、事業領域のことだが、ブランディングを考えるここでは、顧客となるターゲットを明らかにしてみよう。
経営者なのか、人事部門の人か、マーケテイング部門なのか、あるいは個人なのか、誰なのかを明確にしよう。よくブランディングや商品開発の際に、「ペルソナ」を描くことがあるが、ここでも非常に有効だ。どういう仕事をしてどういう生活をしている人があなたにお金を払ってくれるのかを設定する。
そして、その人たちのベネフィットは何か、あなたの能力、仕事によって、どんな利益を得ることができるのかを考える。
もちろん、同じ部門名でも業種が異なれば、課題(ニーズ)も違う。細かくいえば、会社、あるいは担当者によっても違うが、ビジネス上での設定として、業種と部門のターゲティングをまず行う。個人を相手にするのであれば、地域や志向、ライフスタイルによるターゲティングになるだろう。
ブランディングにあたっては、このニーズというのがもっとも曲者だ。実は、あなたの価値はあなたが決めるのではなく、顧客が決める。ニーズだと勝手に思っていても、まったく違うことは頻繁にある。
あなたから購入してくれている顧客、これから買ってくれるであろう顧客は、どのような利益、ベネフィットがあるから購入してくれるのだろうか。または、どんな問題を解決してくれるから、買ってくれるのだろうか。
5年後の自分を自己紹介すると前述したが、5年後の名刺に書く、「肩書」を考えてみよう。肩書と言っても、部長や課長のことではない。あなたの仕事のユニークさをひと言で言うものだ。
「強み」や「戦略」を肩書にする。「経営者を元気にするコーチ」「検索流入を2倍にするWebライター」「あなたの思いをかたちにするプログラマー」、これは平凡な例だが、自分の思いがあれば、いろいろ出てくるだろう。
コアコンテンツとしてまとめる:ホワイトペーパー
ホワイトペーパーにまとめるというのは、顧客に丁寧に説明する機会があった際に行う説明資料のことだ。
当然ビジネスなのだから、じっくり説明したうえでディールとなる。その際に、キャッチコピーだけを連呼しているようではビジネスにならない。誰をどのように、どう解決に導くのか、具体的にまとめてみよう。