この話は、ほかのD2Cブランドにも同様にあてはまる。ペロトンは損失が大幅に増加したため、株価は35%も下落し、現在は43ドル(約4860円)と少しで、今年になってからの最低値をつけている。今年1月には株価が167ドル(約1万8900円)を超えていた。最悪のシナリオでは、積み重なる損失のため、これらのブランドは株式を再度非公開に戻すことを迫られるだろう。これは実際にキャスパーに起きたことだ。ビジネスインサイダー(Business Insider)は今月初めに、同社は収益の増加にもかかわらず、積み重なる損失を補填するためさらに資金を調達する必要があったと報告した。結果として、キャスパーは自社をデュレーショナルキャピタルマネジメント(Durational Capital Management)に、最新の公開市場評価額の94%の金額で売却する契約を締結した。この四半期決算を別の角度から見ると、もっともいい業績を挙げた上場企業は、自社ブランドの位置づけとロイヤルティをしっかりとコントロールした企業だということだ。イーマーケター(eMarketer)の筆頭アナリストを務めるアンドリュー・リプスマン氏は次のように述べている。「非常に強力なブランドを保有するD2Cブランドが、いい業績を挙げているようだ。D2Cの部分よりも、ブランドの部分の方が重要だ」。同氏によれば、最も苦戦している企業は「払込金に強く依存している企業」である。その結果、「これらの企業は決算を圧迫している」。同氏は、代表的な例としてキャスパーに加え、前四半期に前年比19%の収益減少を報告したウェイフェア(Wayfair)のような上場企業も挙げている。逆に、フィグスやワービーパーカーのようなブランドはブランド名が強く、過去1年にわたってそのブランドを活用できた。
長期成長を支えるのは顧客ベースの拡大
しかし、もっとも強いブランドでも、行うべきことはまだ多い。実際、ワービーパーカーの共同CEOを務めるネイル・ブルメンタール氏は、最新の決算発表において次のように述べている。「今後を見据え、当社はアクティブな顧客ベースを増やし、小売への進出を拡大して、革新的な商品とサービスを提供する成長戦略を実行するため、依然としてすべての労力を注いでいる」。利益を報告したフィグスも、事態は変化する可能性があると警告している。同社は決算資料に次のように記載している。「当社の成功は、医療専門家に商品が広く採用されることに大きく依存している。新しい顧客を引きつけ、顧客ベースの継続的な拡大を図るため、製品に共感する医療専門家にアピールし、引き入れる必要がある」。また、これに成功しなければ、将来的に「売上と収益性を維持または向上できない可能性がある」と述べている。これらの背景には、もうひとつのさらに重要な要素、すなわち成長予測のリセットが隠れている可能性がある。「稀な例外はあるが、それらはテクノロジー企業ではない」とリプスマン氏は述べる。「テクノロジー企業の倍数に値しない」。これは利益率の問題だ。消費財の販売は、テクノロジー企業によるコードラインの販売よりも多くのコストがかかる。そしてその問題は、パンデミックのあとでますます深刻になっていく。リプスマン氏は次のように述べている。「これらのデジタル広告のコストが前年比で20%や30%も上昇するなら、これらの企業は苦境に立たされるだろう」。[原文:‘Squeezing their bottom line’: DTC earnings present a new business reality] Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)