Pixel 6シリーズはGoogleが示唆する「30Wの急速充電」が不可能という実験結果
2021年10月28日に登場したGoogleのPixelシリーズ最新機種「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」について、Google製の30W充電器と急速充電ケーブルを用いても実際には「最大22W、平均13Wの充電速度しか出ない」という実験結果が報じられました。ただし、Pixel 6の充電速度についてGoogleは曖昧な表現を用いているため、「充電速度に関する表記は誤解を招くが、Googleがウソをついたとは言い切れない」と評されています。
https://www.androidauthority.com/google-pixel-6-charging-test-3051231/
Testing shows the Pixel 6 can’t actually do 30 W quick charging | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2021/11/testing-shows-the-pixel-6-cant-actually-do-30-w-quick-charging/
Pixel 6シリーズの急速充電に関する調査結果を公開したのは、Androidに関するニュースを専門とするAndroid Authority。Android AuthorityはGoogle公式の「30W USB-C 充電器」を使って、実際にPixel 6 Proを0%から100%まで急速充電しました。その結果が以下。青線で示されているのが、Pixel 6 ProをGoogle 30W USB-C 充電器で急速充電した際に実際に供給された電力の推移で、緑線で示されているのがバッテリー残量(%表記)の推移です。「Power / Battery %」の項を見ると、バッテリー容量が約50%に達するまでは22Wほどの電力が供給されていますが、その後は急激に供給量が低下して、バッテリー容量が75%を超える頃には12Wに。最後の15%を充電するのには46分を要しています。
「これは充電器側に問題があるのでは?」という疑念を払拭するために、Android Authorityは同じGoogle 30W USB-C 充電器を使ってPixel 6 Pro、Pixel 5、そして最大25Wの急速充電に対応というSamsung Galaxy S21 Ultraを充電する実験も行いました。その結果が以下。こちらも「Power / Battery %」の項を参照すると、Pixel 6 Proは公称25WというSamsung Galaxy S21 Ultraにバッテリー残量あたりの充電速度で惨敗していることがわかります。
なお、今回のグラフではPixel 6 Proが用いられていますが、Android Authorityいわく「Pixel 6でも結果は同じ」とのこと。
以上の結果から、今回の一件に関してはPixel 6側が原因とされていますが、Android Authorityは旧世代のPixelに同梱されていたGoogleの「18W USB PowerDelivery」と前述のGoogle 30W USB-C 充電器を比較する実験も実施。その結果、Google Pixel 6 Proを0%から100%までUSB PD 18Wで充電した場合には121分かかりますが、Google 30W USB-C 充電器の場合は111分かかるという結果が得られたため、「旧モデルを持っていたら新モデルを買う価値はほとんどない」とコメントしました。
このほかにも、Anker Nano IISamsung 45W Travel Adapterなどの充電器を使っても同様の結果が得られたため、Android Authorityは「Pixel 6の急速充電の速度は30Wに達しない」と結論づけましたが、「GoogleはPixel 6の充電速度が30Wだとは一言も言っていない」という指摘も存在します。Pixel 6のスペックシートの「バッテリーと充電」という項を見ると、急速充電については「急速充電 - 約30分間で最大50%充電 - USB-PD 3.0(PPS)対応Google 30W USB-C 充電器(別売り)を使用した場合」と表記されています。
Google Pixel 6 スペック・仕様 - Google ストア
https://store.google.com/jp/product/pixel_6_specs?hl=ja
また、同ページ下部の細々した注意事項には、「有線での急速充電の速度は、コンセントに接続したGoogle 30W USB-C 充電器の使用を前提としています。USB PD 3.0 PPSアダプターに対応しています。実際の速度は遅くなる可能性があります」とも記されています。
この表記について、IT系ニュースサイトのArs Technicaは「明らかな嘘とは言えないが、Googleのウェブサイトには誤解を招くような表現がある」「実際の実験結果から30分で50%の充電を達成できるというのは事実だと確認されたが、50%から100%にかけては50%までの結果から想像されるよりもはるかに長い81分もかかるという点では、Googleのマーケティングが完全に正直だとは言えない」と苦言を呈しています。