M1 iPad Proのディスプレイには新技術のミニLEDバックライトが搭載された一方で、次期iPad Airには有機EL画面が採用されるとの噂話がありました

しかしながら、ここへ来てアップルがサムスンの開発した有機ELディスプレイを次期10.86インチiPad Airに採用する共同プロジェクトが中止されたとのサプライチェーン情報が伝えられています。

韓国メディアThe Elecの情報筋によると、本プロジェクトが中止された原因は「有機ELパネルのシングルスタック構造か収益性の問題、またはその両方」とのことです。

ここでいう「シングルスタック」とは、広く使われている有機ELパネルの構造であり、赤、緑、青の素子が1つの発光層を形成しているものを指しています。

アップルはこのシングルスタック構造の輝度レベルや、パネルの寿命に満足していなかったとのこと。なぜなら買い換えサイクルが短いスマートフォンよりも、一般的にiPadは長期にわたって使われる傾向があるためです。

その代わりアップルが初のiPad用有機ELパネルに求めていたのは、赤、緑、青の発光層を2枚重ねる「ツースタック・タンデム構造」だったと伝えられています。これにより輝度が2倍になり、パネルの寿命も最大で4倍に延びるはずでした。

しかしThe ELecによれば、サムスンはシングルスタック構造しか商品化しておらず、ツースタック構造の技術を供給できないか、供給する気がないとのこと。

サムスンが協力的ではないのは、収益性も理由の1つと報じられています。有機EL版iPad Airが長期にわたって販売されることが確実ではない限り、そのために製造設備の投資をしてもコストに見合わないというわけです。

これまで有機EL搭載iPad Airは2022年に発売されるとの予想が大半でしたが、今回の報道が加わることで、ディスプレイ業界誌DSCCが提唱する2023年説が有力になった感もあります。

しかし一方で、アップルは今後、次期MacBook Proをはじめとして、有機ELではなくミニLED画面の採用を広げていくとの予想もあります。

M1 iPad Pro搭載のミニLED画面と、iPhone 13全モデルに採用された有機ELディスプレイはともに、これまでの液晶画面よりも明るさやコントラスト、黒の深みに優れていることは確かではありますが、一般的な消費者にとって両者の違いは分かりにくいはず。

今後アップルが同じiPadという製品カテゴリの中で、ミニLEDと有機ELそれぞれの魅力を、どうやって差別化しつつ技術に詳しくないユーザー層に伝えていくのかは興味深いところです。

Source:The Elec

via:MacRumors