中田翔 “暴力事件” に日ハムOBから同情論…次期監督・稲葉篤紀が迫られる踏み絵
“一方的な追放劇”と球団OBは語る
「これほどの貢献者を追放しようっていうのか!」
日本ハムOBの一人は、本誌の取材にこう語気を強めた。野球に必要なのはプレーのうまさだけではない。特に長丁場を戦うプロ野球で、チームを鼓舞することは重要だ。北海道日本ハムファイターズ・中田翔(32)こそ「それをやれる選手だ」と、前出OBは話す。
「昔ながらの “豪傑” に多少の是非はあったが、彼ほどチームを思う選手はいないし、若手の面倒見はよかった。なのに、球団はこの一度で彼の野球人生を閉ざそうとしている」
8月11日、突如明らかになったチームメイトへの暴力行為。4日の練習試合前、中田は後輩・A投手に対して暴力を振るい、球団から当面の出場停止処分を言い渡された。
「中田のしつこい絡み方にA投手がムッとしたんでしょう。それを見て、中田が顔と胸を計2発殴ったんです。殴られたA投手の顔は赤くなっていたが、中田の “どつきコミュニケーション” は日常的。大事には至らないと思い、周囲も “当たられた” A投手を笑っていたくらいです」(日ハム関係者)
しかし、事態は深刻化する。
「A投手は胸にも青あざができ、予定していた登板を回避することになりました。それを受けて球団が聞き取りをおこなったところ、中田の暴力が発覚。投手コーチが激怒したんです」(同前)
いかなる暴力も許されない。だが、栗山英樹監督(60)が率いるチームを長年見てきた者には、疑問が残る結末だった。
「これまでも、杉谷拳士へのイジリに『やりすぎだ』といった批判がありました。中田の “やんちゃ” は今に始まったことではありません。栗山監督も一緒になって笑っているときもありましたし、それを黙認したうえで、たびたび『中田がチームリーダー』と宣言してきました。
今回のA投手もすぐに戦列復帰はできたわけで、中田が『やりすぎてしまった。すまない』と謝れば、内々ですんだはず。それが出場停止となったのは、球団がこの中田の過ちを『“制裁” の好機が来た』と考えているとしか思えないのはたしかです」(スポーツ紙日本ハム担当記者)
ダルビッシュ有、大谷翔平らメジャーリーガーを育てた一方で、非常に合理的な球団経営をおこなう日本ハム。中田は球団内ですでに “整理対象” になっているという。
「大谷のメジャー移籍が容認された理由でもありますが、日ハムには『年俸は3億円まで』という不文律があります。中田の今季推定年俸は3億4000万円と上限を超えています。人気選手のため放出しづらかったが、これで口実ができました。今オフ、金銭トレードなどで獲得に手を挙げる球団を探すのでしょう。
そして、栗山監督も今季で契約満了の予定。球団フロントは“脱・栗山”に舵を切りたいんです」(同前)
だが、球団事情に詳しい関係者は、新監督選びにも「中田問題」は影を落とすと話す。
「次期日ハム監督は東京五輪代表監督を務めた稲葉篤紀氏の就任が既定路線です。しかし、この稲葉氏が現役時代にもっとも目をかけた後輩が中田です。互いの自宅も近所で、稲葉氏からすれば、中田を残留させて自分の手で更生させたいはず。もちろん、日ハムフロントは快く思わない。監督就任へ、中田を取るか、日ハムを取るかの “踏み絵” を迫られる状況になるでしょう」
日本代表より、日本ハムを率いるほうが難しい仕事かも?
(週刊FLASH 2021年8月31日号)