まるで天然石みたいな「琥珀糖」とは?パティシエが作り方を伝授

琥珀糖とは

「琥珀糖(こはくとう)」とは、砂糖と寒天で作られる和菓子。寒天に砂糖や水あめを加え煮溶かして固め、乾燥させるゼリー状の砂糖菓子です。

別名、「錦(金)玉糖(きんぎょくとう)」「錦(金)玉羹(きんぎょくかん)」「錦(金)玉(きんぎょく)」「琥珀羹」「琥珀」とも呼ばれ、乾燥させたものは「干琥珀(かんこはく)」と呼んで区別することも。しかし基本的にすべて同じものを指しています。

誕生は江戸時代

奈良時代に中国から日本に伝わった砂糖は、薬として使われるほど貴重で高級品でした。しだいに砂糖がお菓子の材料として使われはじめると、江戸時代には寒天と砂糖を混ぜるだけのお菓子が作られます。これが琥珀糖の誕生で、当時は「金玉糖」と呼ばれていました。

琥珀糖を作る際は、寒天で固めたあとに、乾燥させるのがポイントです。砂糖が結晶化し、食べると表面はしゃりっと、中はくにゅっとした独特の食感に。また、色素を加えるので、透明感のある寒天液が色付きます。琥珀糖や琥珀という呼び名は、くちなしの実で寒天液を着色したことから付きました。

透明感のある伝統的な夏の和菓子

琥珀糖は、砂糖入りの寒天液を煮詰めて作ります。甘くてシンプルな味わいのため、シロップやリキュールなどで、味や香りを付けることもできますよ。

カットしたり型抜きしたりすると、断面に光がきらきらと反射し、「食べる宝石」と呼ばれるほど美しいです。透明感のある涼し気な見た目から、夏に販売されるお茶席の干菓子(半生菓子)として親しまれています。

琥珀糖は材料や工程がシンプルで、ご家庭でも作りやすいですよ。この記事では、寒天液に食用色素で色を付ける、琥珀糖の作り方をご紹介します。

伝統和菓子に挑戦!琥珀糖の作り方

調理時間:35分(※乾燥させる時間は除く)

扱いやすい粉寒天を使う、琥珀糖のレシピです。赤・黄・青・緑の食用色素で、4色に色付け。固まればカットして食べられますが、乾燥させると表面がシャリッとする独特の食感を楽しめますよ。

材料(16×16cmの容器1個分)

・グラニュー糖……300g
・粉寒天……4g
・水……200cc

〈色水〉
・食用色素……赤・黄・青・緑各少々
・水……赤・黄・青・緑に各小さじ1杯

作り方

1. 色水を作る

水に食用色素それぞれをごく少量ずつ加え、好みの濃さに溶かします。

2. 寒天液を作る

鍋に水と粉寒天を入れ、よく混ぜ合わせてから中火にかけます。混ぜながら加熱し、粉寒天を完全に煮溶かします。

3. 寒天液を色付けして冷やし固める

グラニュー糖を加え、木べらまたは耐熱のゴムベラで混ぜながら、底が焦げ付かないように煮詰めます。5~10分ほど煮詰め、木べらやゴムヘラを持ち上げたときにとろっと糸が引くように落ちればOKです。

クッキングシートを敷いたバットや容器に、寒天液を流し入れます。

1を付けた竹串やつまようじで、寒天液をくるくると混ぜ広げて色付けします。少し温度が冷めてねっとりしてくると、マーブル状に色付けしやすくなりますよ。底まで色付けしたい場合は、スプーンでよくかき混ぜるとよいでしょう。

4. カットして乾燥させる

粗熱が取れたら、冷蔵庫に入れて1時間ほど冷やします。

容器から取り出し、お好きな形に包丁でカット、または手でちぎります。クッキングシートまたは網の上にのせ、風通しのよい場所に置くか、冷蔵庫に入れます。温度や湿度によって日数は変わりますが、3日~1週間ほど乾燥させて、表面が結晶化したらできあがりです。

琥珀糖作りのポイント

色の付け方

食用色素を溶かした色水で、寒天液に色付けします。色水を少しずつ寒天液に加えることで、色の濃淡を調節できますよ。寒天液を小さな容器に分け、1色すべてをよく混ぜて色付けしてもよいでしょう。寒天の透明感を生かし、あえて色ムラを作るのもおすすめ。

かき氷シロップやジュースで作ると、淡い色に仕上げられます。シロップを使うと、やや甘めの仕上がりに。

切り方

カットの仕方によって、琥珀糖の見た目は大きく変わります。包丁で切ると直線の形が美しく、ハート形や星形などで型抜きするとキュートな形に。手でちぎるといろいろな面ができて光が屈折し、ガラスや宝石のような見た目に仕上がりますよ。

食べ方

乾燥前はグミのような食感、乾燥後は表面がしゃりしゃり、ほろっと崩れるような食感。琥珀糖は、乾燥前後で異なる味わいを楽しめます。

そのままお茶菓子として食べるほかに、ドリンクに入れるのもGood。コップに色付きの琥珀糖を入れてサイダーを注ぐと、色が映えて涼しさを演出できますよ。

琥珀糖の保存方法

糖度が高い琥珀糖は、常温で2~3週間ほど保存できます。しかし高温多湿の場所は、琥珀糖が傷んでしまう原因に。しっかりと乾燥させて容器に入れ、暑すぎない室内で保存してください。

また保存容器に入れて、冷凍庫で1ヶ月ほど保存できます。凍ったまま食べるのも、ひんやりしておすすめ。しかし、冷蔵庫に入れるのはNGです。水滴が付いてカビが発生する原因になるので、気を付けてください。

プレセントに!琥珀糖のラッピング方法3選

1. 透明な箱に詰める

箱詰めするのは、一番簡単なラッピング方法です。普通の箱に入れてもよいですが、琥珀糖のきれいな色を活かして、透明な箱に入れるのがおすすめ。上の写真ではグレー色の細いリボンを使い、十字掛けと山掛けに結んでラッピングしています。お好きな色のリボンでアレンジしてみてください。

2. 袋に詰めてテトラ型ラッピング

ピラミッド形のテトラ型ラッピングは、コロンとした形がキュート。カジュアルな包み方で、ちょっとおすそ分けしたいときにぴったりです。

10×15cmほどの透明な袋(OPP袋)を用意し、琥珀糖を適量入れます。

袋の端と端を合わせ、1cmほどの幅で2~3回折り込みます。セロハンテープで留めたらできあがり。マスキングテープやリボン、シールでデコレーションしてもよいでしょう。

3. 小さな瓶に詰める

小さな瓶に詰めるだけで、高級感がアップ。お店で売られているギフトのようなひと品になりますよ。瓶詰めにして密閉すると、崩れにくく持ち運びしやすいです。

小さな瓶を用意し、琥珀糖を詰めます。

グラシン紙を瓶のふたの直径+4cmほどの四角形に、ピンキングばさみでカットします。

ふたの部分にグラシン紙をかぶせ、ひもやリボンを結んだらできあがりです。グラシン紙の代わりに、和紙や布を使うのもよいでしょう。

プレゼントにもぴったり。「琥珀糖」を作ってみよう

「食べる宝石」とも呼ばれる、伝統的な和菓子「琥珀糖」。材料はシンプルで、コツをつかめば意外と簡単に作れます。乾燥させるのに少し時間はかかりますが、表面がしゃりっとした食感になり、日持ちがするのもよいところです。

色付けすれば見た目がきれいで、できあがったときの喜びはひとしお。簡単なラッピング方法もご紹介しているので、琥珀糖を作ったらプレゼントするのもおすすめですよ。