ライブストリームショッピングモデルが米国で復活しつつあるいま、従来型のTVショッピングや、QVCやHSNが数十年前から行なう「今すぐお電話を」方式ではない、新たなスタイルに注目が集まっている。

Z世代/ミレニアル世代を主に狙うライブストリームショッピング企業NTWRKは、2018年後半に登場して以来、今のところ唯一の取引プラットフォームであるiOS/Androidアプリを通じて200万人の消費者を引き寄せている。2025年までに利用者を5000万人に増やし、10億ドル(約1100億円)以上の収益を生むのが目標だと、NTWRKのCEOアーロン・レヴァント氏は先日、米DIGIDAYのポッドキャストで語った。

NTWRKは、自社マーチャンダイジングチームが厳選したアーティストとのコラボによるアート作品やスニーカー、限定アイテムといったフィジカルプロダクトを販売している。ただ、NFT(非代替性トークン)への関心急騰を目の当たりにし、人々がオンライン商品のデジタル所有権に対価を支払う理由も理解したことで、レヴァント氏のチームは、同社の消費者基盤ではフィジカルコレクターとデジタルコレクターが重なり合う部分が大きいことに気づいた。そこで今月、NTWRKはこの新たな消費行動をさらに利用するべく、同プラットフォームにNFTを導入することにしたという。

以下はその談話の一部だ。なお、長さと読みやすさを考慮し、発言には多少手を加えてある。



QVCとMTVの融合体



「QVCとMTVの融合体というのが[NTWRKの]もっともわかりやすい捉え方だ。NTWRKは純粋なエンターテイメント番組を数多く配信している。たとえば、デートやセックスについて語り、商品の販売もする毎週配信のデートショーもあれば、スニーカーに関する情報満載のスニーカー番組もある。後者では、毎週ゲストホストを変え、抽選やプレゼントを通じてさまざまな豪華商品を提供している。また、さまざまなファンダム(愛好家の世界)やコミック、コレクターズアイテム、おもちゃといったポップカルチャーを扱う毎週配信の番組もある。商品販売だけを目的とせず、ユーザーにエンターテインメントバリューを提供し、彼らがライブ配信でお気に入りのクリエイターと出会い、リアルタイムで交流ができる場を設けていきたい」。

割引に依存しないショッピングホリデー



「いわゆるショッピング[ホリデー/シーズン]は歴史的に、マクロのレベルでいうと、米国では特に、企業が発明してきた。バレンタインデーはその最たる例で、[米チョコ/キャンディメーカーである]シーズキャンディーズ(See’s Candies)や生花企業がチョコレートや花を贈る習慣を普及させた。サイバーマンデー(Cyber Monday)やブラックフライデー(Black Friday)も然りであり、いずれもどこかの企業が発明した。こうしたイベントは、(発明した)企業はその陰に身を隠すことができるし、ある程度長く続くと、社会的常識として世間に受け入れられる。私が思うに、コンテンツにも消費者行動は牽引できるし、ホリデーと名付けるだけで、特別感を醸し出せるはずだ」。

「そして、大方はこれを販促に利用したい、お得感を出せるものにしたいと考えるだろうが、我々はその逆を行く。ショッピングイベントを[ホリデーとは謳うが、]毎月開き、その都度ターゲット層を変えていく。ようするに、値引きをしないプレミアムな[ショッピング]ホリデーであり、コンテンツと品揃え(キュレーション)でユーザーを惹きつけ、世界有数のクリエイターとブランドを集め、ほかでは手に入らない特別な商品を提供していきたい」。

リテールビジネスモデルにおけるNFT



「我々と付き合いのある、優秀なクリエイティブなアーティストやクリエイター、そして多くのデジタルアーティストはすでにNFTの世界に入っているか、少なくともその可能性に高い関心を示している。そして、これは実際に調査したのだが、我々のオーディエンスもまた、約35%がデジタルウォレットまたは暗号資産を持っており、約10%がすでにNFTを購入していることがわかった。つまり、我々のオーディエンスはこうした類を受け入れる態勢にあるということだ」。

「そこで、デジタルネイティブなクリエイターを含め、さまざまなタイプのクリエイターに作品をドロップする新たな方法を、そしてNFTアートドロップとフィジカルなオブジェクトの組み合わせ[という独自の手段]を提供することにした。我々はフィジカルなオブジェクトが当たり前の世界に慣れ親しんでいるわけで、今後は、それら[NFTなど]を融合することで、どうしたら[新たな]価値ある経験を作り出せるのかが鍵となる」。

[原文:NTWRK is taking NFTs into the livestream shopping model]

KAYLEIGH BARBER(翻訳:SI Japan、編集:長田真)