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上級志向の「オーラ」 シーマに通じる

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)editor:Taro Ueno(上野太朗)

日産登録車ラインナップでマーチとキックスの中間に位置するのがノートである。

【画像】この差をどう見る?【日産ノート・オーラとノートを比較】 全150枚

ちなみにSUVとミニバンを除いたラインナップでノート以上のモデルはシルフィがあるが、実質在庫販売でもあり、乗用系ではノートの上位はスカイラインという構成になってしまう。


日産ノート・オーラ    神村 聖

SUVやミニバンが市場を支える基軸となった現在、2BOX/セダンにこだわる必要もないのだが、先代から好調なノートでカバーレンジの拡大を図ろうと考えるのはとても合理的な発想である。

ということで、ノートから上級志向を強化して発展した新型車がノート・オーラである。

イメージ上では先代(E12)に設定されていた「メダリスト」と相通ずるポジションだが、メダリストは一般的にいうグレード展開での上位設定。

オーラはノートをベースに発展したモデルを車両型式からも識ることができる。

強いていうならセド/グロから発展した初代シーマにも似た展開であり、車両分類でもノートは5ナンバー、オーラは3ナンバーになる。

なお、車体寸法は全長、およホイールベースは共通だが、それ以外の基本車体外寸はすべて拡大している。

実用面では最小回転半径が30cm大きくなったのが気になるが、3ナンバーボディを求めるユーザーならそれほど気にする必要はないだろう。

中高速域での加速感 1ランク上

搭載されるパワートレインのハードウェアはFF/4WDともにノートと共通しているが、パワースペックでは最高出力が18%弱、最大トルクが7%強向上。

ちなみにタイヤ直径も含めた総減速比は2%強オーラのほうが高いのだが、それをしても1ランクアップと称するに十分なパワーアップを施している。


日産ノート・オーラ    神村 聖

ただ、その恩恵を実感できるのは中高速域での高負荷加速時。

低中速や巡航時でも確実に向上しているのだろうが、ノートが得意とする領域であり、また洗練されたドライバビリティを旨とした加減速制御ゆえに刺激的な反応が抑えられているため、実感としてはほぼ同じなのだ。

パワーの余裕は中高速域での加速を改善に効果大。

テストコースの試乗ということで60km/h巡航から140km/hまで全開加速を試してみたが、はっきりとオーラのアドバンテージが伝わってくる。

とくに80km/h以上でも加速の落ち込みを意識することがなく、140km/h近くまで一気に持っていける。

新型になってノートも高速動力性能を改善しているが、電動の俊足ぶりがさらに高速側に拡がっていた。

動力性能を強化してもドライバビリティなどのコントロール性に悪さしないのは制御特性の妙味であり、高性能と洗練の両立はシリーズ式(純電動駆動)ならではのアドバンテージでもある。

興味深い FFと4WDの味付けの違い

静粛性向上のためにルーフライニングへの遮音材の追加やフロントサイドウインドのあわせガラスを採用。

グレードアップされた静粛性もオーラのセールスポイントである。


日産ノート・オーラ    神村 聖

もっとも、ノート自体がエンジン騒音やロードノイズ対策を強化し、コンパクトカーを超えた静粛性を実現していること、新規追加分が車外騒音対策を主としていることもあって、少なくとも今回の試乗環境では静粛性の著しい変化は感じられない。

エンジン稼働は頻度が低いが、稼働時間は長め。

高速加速などの高負荷も試したせいで大半はエンジン稼働。急加速ではエンジン回転数も高まるが、遠くで鳴っているような静かさである。

ロードノイズとのバランスもよく、体感静粛性の変化が少ないのも美点。エンジンを止めているから静かなのではなく、回っていても静かなのが第2世代eパワーなのだ。

装着タイヤはノートの185/65 R15から205/50 R17にグレードアップ。

車軸周りの揺れにバネ下の重さを多少意識するが、タイヤハイトの減少が少ないせいか、それほど路面当たりはきつくない。

ただ、FFと4WDで乗り比べると段差乗り越えなどでの車軸周りの振動はFFのほうが目立ち、なおかつノートとのタイヤサイズの違いを感じる。

興味深いのはFF車と4WD車の乗り味の違いだ。

動き出しの滑らかさとピッチなどの挙動収束性のよさは秀逸。

1回り大きく重いクルマを思わせるような安定感と穏やかさを備え、同車格のFF車でも走りの車格感に優れているのだが、4WD車と乗り比べると振動の収束感が劣る。

FF車では車輪への入力が車体全体に伝わるような感覚だが、4WD車は車軸周りで解消させているような感じなのだ。

コーナリング時の身のこなしも一味違う。

コントロール性に優れた弱アンダーステアでは共通するが、パワーを掛ければ前のめり姿勢が強まり、同時に操舵反応が鈍るFF車に対して4WD車はリアをわずかに沈み込ませるように後輪に荷重を掛ける。

FR車的な仕草を示し、操舵のコントロール性の変化も少ない。

FF車はFFとして優等生だが、4WD車は4WDとFRのいいとこ取りのようであり、質感/安心感/ファン・トゥ・ドライブを高水準でまとめていた。

買いか? 割高感も拭えない

ノートの最上級グレードとなるXとオーラの標準設定となるGの価格差は42万円強。

メーターパネルの仕様差などの違いはあるが、標準装着される機能装備に大きな差はない。


日産ノート・オーラ(左)/ノート(右)    神村 聖

また、ニッサンのセールスポイントの1つ、プロパイロットはともにセットOPとして設定される。

主な差異は内外装と動力性能で約42万円の計算である。

プロパイロット装備前提ではオーラは300万円以上の予算建てが必要となるが、走りの質感や快適性の高さは投資に見合ったものと言ってもいい。

しかし、ノートを引き合いに出すと割高な印象も拭えない。

オーラの走行性能や走りの質感のアドバンテージの多くはノートにも共通。居住性などの実用性も同じ。

オーテック・ノートの存在も悩ましい。

オーラの重要な訴求点に専用内外装があるが、オーテック仕様のセールスポイントも専用シートなどなどのデザイン面のカスタマイズ。

どちらを良しとするかは嗜好的な問題だが、オーラより10万円以上安価。

上級クラスからのダウンサイザーへの適性でオーラは間違いなく最強レベル。

とくに走りの質を重視するユーザーには魅力的。

さらに言えば走りの質感にこだわるなら降雪地域のユーザーでなくとも4WD車を勧めたい。

ただ、それらの魅力はノートでも9割以上はかなってしまう。専用内外装への思い入れがあってこそのオーラでもあるのだ。