ホームポジションに指を置いたままポインタが動かせる、トラックボールを搭載した有線フルキーボード
ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ
〜エレコム「TK-TB01UMBK」レビュー
2021年04月13日
TEXT:山口真弘(ITライター)
キーボードでテキストを入力しながら、マウスの操作を行うためには、ホームポジションから手を離さなくてはならず、面倒に感じることもしばしばです。
これがノートPCであれば、キーボードの手前にタッチパッドがあるため、打鍵しながらのマウスポインタを動かすのも可能ですが、タッチパッド自体、あまり好みではないという人も多いでしょう。
またノートPCはテンキーが省かれている製品がほとんどで、仮にあってもキーピッチが狭く、快適な数値入力が難しいこともしばしばです。やはりフルキーボードに勝るものはありません。
こうした問題点を解決した外付けキーボードが、今回紹介するエレコムのトラックボール付き有線キーボード「TK-TB01UMBK」です。Windows専用となるこの製品、メーカーから借用した実機を用い、その使い勝手をチェックしていきます。
一般的なフルキーボードの手前にトラックボールおよびパームレストが搭載されています。USBケーブルは珍しい着脱式
この製品の特徴は、一般的なフルキーボードのレイアウトの手前に、トラックボールを搭載していることです。これならば、テキスト入力を行いながらでも、ホームポジションから手を移動させることなく、マウスポインタを動かせます。
またこのボールの手前には、ホイールの役割を果たすローラーが付属しており、上下スクロールが簡単に行えるほか、ブラウザの「戻る」「進む」に相当する拡張ボタンもあり、ブラウジングが快適に行えます。
さらにこのトラックボール部を左右から挟む形で、キーボードの手前にパームレストが用意されています。表面はクッション素材が用いられており、長時間手首を乗せていても痛くなりにくいのが特徴です。
キーボード手前のトラックボール。両脇には左右ボタンを搭載します
手前にはホイールの役割を果たすローラーと、戻る/進むボタンを搭載します
パームレストはクッション素材で長時間の打鍵作業でも手が痛くなりません
ホームポジションに指を置いたままトラックボールでポインタを動かせます
さて、こうした製品の評価のポイントとなるのは、やはりトラックボールの使い勝手でしょう。一般的にトラックボールは、その支持球の直径が大きいほど、細かいコントロールをしやすくなります。
その点、本製品の支持球は直径が実測25mmということで、直径がその2〜3倍はある独立型のトラックボールには、さすがに操作性は及びません。これはサイズ上やむを得ません。
とはいえ、同等の製品に比べると、人工ルビーを採用した支持球の使い勝手は良好な部類に入ります。ボールの基部付近に置いた指を支えにして別の指でトラックボールを動かすようにすれば、細かな操作もこなせます。満点とは言えませんが、十分に及第点がつけられる出来です。
人工ルビーを採用した支持球の直径は25mm。多くの場合は親指で操作します
横から見るとかなりの隆起があります。キーボードの角度は2段階で調整可能
一方で、初期状態のままでは使いづらいのが、マウスで言うところの左右ボタンです。これらのボタンはトラックボールの上に配置されているため、左手で押せるのは左ボタン、右手で押せるのは右ボタンと、役割が限定されてしまっています。
ノートPCのトラックパッドの手前にある左右ボタンであれば、基本的に左右どちらの手でも押せるわけですが、本製品はちょうどトラックボール自体が邪魔をする形になり、またいで押すのが難しいというわけです。
一方、トラックボールの手前には、5ボタンマウスで言うところの拡張ボタン、つまりブラウザの「戻る」と「進む」が割り当てられています。こちらは特に遮るものがないため、左右どちらの手でも操作できます。
そのため、本製品用のユーティリティを使い、この「左右ボタン」と「戻る/進むボタン」の役割を交換すれば、左右ボタンをどちらの手でも使えるようになり、快適性が向上します。
このように、本製品は強力なカスタマイズ機能を備えているため、キーを自在に割り当てられるのが魅力です。
専用ユーティリティを使えば、キーの割当を自在に変更できます。左右ボタンと戻る/進むボタンの入れ替えがおすすめです
ほかにもメディアプレーヤー系の機能を割り当てられるほか、キー操作を記録して再現するマクロ機能も搭載します
キーボードについても見ていきましょう。キーピッチは19mm、一般的な日本語JISの109キー配列で、特に違和感のある配列もありません。キーはカシャカシャという音が大きめで、あまり高級な印象はありませんが、ストロークは深く、しっかりと押し込むことができます。
またテンキーも付属しており、数値入力も快適に行なえます。本製品のようにポインティングデバイスを搭載したキーボードの多くはテンキーがないタイプなので、テンキーを搭載しているのは強みと言えます。さらにテンキー上段にある5つのキーを使って、プロファイルの切り替えにも対応します。
ちなみにキートップに表示されているのはアルファベットのみで、ひらがなの印字はありません。スッキリしていて見やすい反面、カナ入力派のユーザーには向きません。
キーはメンブレンタイプ。ストロークは深めで、しっかりした打鍵感があります
テンキー上段には5つのプロファイルを切り替えられるキーを搭載します
このほか、ケーブルが根元から取り外せるのも、ほかにない特徴として挙げられます。筆者はこれまで数多くの有線タイプのキーボードを見てきましたが、有線と無線のコンバーチブル仕様の製品を除けば、ケーブルを取り外せる有線キーボードは希少です。
接続先のポート周辺のスペースが限られるため、交換できるケーブルの形状は限られますが、ポート自体は一般的なmicroB仕様ですので、長さが足りない場合に長いケーブルに交換して延長することも可能です。これをメリットと感じる人もいるのではないでしょうか。
こうしたポインティングデバイスが付属したキーボードは、価格が1万円以上するのもザラですが、本製品は実売7千円台と安価で、そうした先でもオススメできます。タッチパッドになじめない人、またタイピング中にマウスに手を伸ばすのが億劫な人にとっては、便利な一品と言えそうです。
ケーブルは取り外しが可能。中央やや左にポートがあり、そこからガイドに従って配線します
製品名:TK-TB01UMBK
実売価格:7,107円
発売元:エレコム
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B07Y3FR73C/
[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
〜エレコム「TK-TB01UMBK」レビュー
2021年04月13日
TEXT:山口真弘(ITライター)
キーボードでテキストを入力しながら、マウスの操作を行うためには、ホームポジションから手を離さなくてはならず、面倒に感じることもしばしばです。
これがノートPCであれば、キーボードの手前にタッチパッドがあるため、打鍵しながらのマウスポインタを動かすのも可能ですが、タッチパッド自体、あまり好みではないという人も多いでしょう。
こうした問題点を解決した外付けキーボードが、今回紹介するエレコムのトラックボール付き有線キーボード「TK-TB01UMBK」です。Windows専用となるこの製品、メーカーから借用した実機を用い、その使い勝手をチェックしていきます。
一般的なフルキーボードの手前にトラックボールおよびパームレストが搭載されています。USBケーブルは珍しい着脱式
この製品の特徴は、一般的なフルキーボードのレイアウトの手前に、トラックボールを搭載していることです。これならば、テキスト入力を行いながらでも、ホームポジションから手を移動させることなく、マウスポインタを動かせます。
またこのボールの手前には、ホイールの役割を果たすローラーが付属しており、上下スクロールが簡単に行えるほか、ブラウザの「戻る」「進む」に相当する拡張ボタンもあり、ブラウジングが快適に行えます。
さらにこのトラックボール部を左右から挟む形で、キーボードの手前にパームレストが用意されています。表面はクッション素材が用いられており、長時間手首を乗せていても痛くなりにくいのが特徴です。
キーボード手前のトラックボール。両脇には左右ボタンを搭載します
手前にはホイールの役割を果たすローラーと、戻る/進むボタンを搭載します
パームレストはクッション素材で長時間の打鍵作業でも手が痛くなりません
ホームポジションに指を置いたままトラックボールでポインタを動かせます
さて、こうした製品の評価のポイントとなるのは、やはりトラックボールの使い勝手でしょう。一般的にトラックボールは、その支持球の直径が大きいほど、細かいコントロールをしやすくなります。
その点、本製品の支持球は直径が実測25mmということで、直径がその2〜3倍はある独立型のトラックボールには、さすがに操作性は及びません。これはサイズ上やむを得ません。
とはいえ、同等の製品に比べると、人工ルビーを採用した支持球の使い勝手は良好な部類に入ります。ボールの基部付近に置いた指を支えにして別の指でトラックボールを動かすようにすれば、細かな操作もこなせます。満点とは言えませんが、十分に及第点がつけられる出来です。
人工ルビーを採用した支持球の直径は25mm。多くの場合は親指で操作します
横から見るとかなりの隆起があります。キーボードの角度は2段階で調整可能
一方で、初期状態のままでは使いづらいのが、マウスで言うところの左右ボタンです。これらのボタンはトラックボールの上に配置されているため、左手で押せるのは左ボタン、右手で押せるのは右ボタンと、役割が限定されてしまっています。
ノートPCのトラックパッドの手前にある左右ボタンであれば、基本的に左右どちらの手でも押せるわけですが、本製品はちょうどトラックボール自体が邪魔をする形になり、またいで押すのが難しいというわけです。
一方、トラックボールの手前には、5ボタンマウスで言うところの拡張ボタン、つまりブラウザの「戻る」と「進む」が割り当てられています。こちらは特に遮るものがないため、左右どちらの手でも操作できます。
そのため、本製品用のユーティリティを使い、この「左右ボタン」と「戻る/進むボタン」の役割を交換すれば、左右ボタンをどちらの手でも使えるようになり、快適性が向上します。
このように、本製品は強力なカスタマイズ機能を備えているため、キーを自在に割り当てられるのが魅力です。
専用ユーティリティを使えば、キーの割当を自在に変更できます。左右ボタンと戻る/進むボタンの入れ替えがおすすめです
ほかにもメディアプレーヤー系の機能を割り当てられるほか、キー操作を記録して再現するマクロ機能も搭載します
キーボードについても見ていきましょう。キーピッチは19mm、一般的な日本語JISの109キー配列で、特に違和感のある配列もありません。キーはカシャカシャという音が大きめで、あまり高級な印象はありませんが、ストロークは深く、しっかりと押し込むことができます。
またテンキーも付属しており、数値入力も快適に行なえます。本製品のようにポインティングデバイスを搭載したキーボードの多くはテンキーがないタイプなので、テンキーを搭載しているのは強みと言えます。さらにテンキー上段にある5つのキーを使って、プロファイルの切り替えにも対応します。
ちなみにキートップに表示されているのはアルファベットのみで、ひらがなの印字はありません。スッキリしていて見やすい反面、カナ入力派のユーザーには向きません。
キーはメンブレンタイプ。ストロークは深めで、しっかりした打鍵感があります
テンキー上段には5つのプロファイルを切り替えられるキーを搭載します
このほか、ケーブルが根元から取り外せるのも、ほかにない特徴として挙げられます。筆者はこれまで数多くの有線タイプのキーボードを見てきましたが、有線と無線のコンバーチブル仕様の製品を除けば、ケーブルを取り外せる有線キーボードは希少です。
接続先のポート周辺のスペースが限られるため、交換できるケーブルの形状は限られますが、ポート自体は一般的なmicroB仕様ですので、長さが足りない場合に長いケーブルに交換して延長することも可能です。これをメリットと感じる人もいるのではないでしょうか。
こうしたポインティングデバイスが付属したキーボードは、価格が1万円以上するのもザラですが、本製品は実売7千円台と安価で、そうした先でもオススメできます。タッチパッドになじめない人、またタイピング中にマウスに手を伸ばすのが億劫な人にとっては、便利な一品と言えそうです。
ケーブルは取り外しが可能。中央やや左にポートがあり、そこからガイドに従って配線します
製品名:TK-TB01UMBK
実売価格:7,107円
発売元:エレコム
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B07Y3FR73C/
[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn