知ってるようで知らない、PC盗難防止のセキュリティワイヤーの選び方・使い方とは?
ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ
〜ナカバヤシ「SL-058」レビュー
2021年03月02日
TEXT:山口真弘(ITライター)
PCやディスプレイ、NASといった高額な機器の背面には、幅およそ数mm程度の四角い穴が開いています。これはセキュリティスロットと呼ばれ、専用のワイヤーなどを使って、デスクの脚などに固定するためのものです。
機器を盗難から守るために効果的なこのセキュリティスロット、法人ユースで使われることが多いのですが、個人が外出先でノートPCを使う場合などにも利用できますので、選び方と使い方を知っておくと役に立ちます。
今回は市販のセキュリティワイヤーについて、どのような種類があり、どのように使えばよいのか、筆者が今回購入したナカバヤシの製品を例に紹介します。
カールタイプのセキュリティワイヤー。カギが予備含め2個付属します
先端のT字をセキュリティスロットに差し込んで固定する仕組みはどの製品も共通です
先端部分をセキュリティスロットに差し込み、後ろのキーを回転させると…
先端が半回転し、抜き取りが不可能になります。先端が左右に広がるタイプもあります
セキュリティワイヤーの使い方はどれも基本的に同じで、T字になった先端をデバイスの側面や背面にあるセキュリティスロットに挿入し、キーを回すことで、先端がセキュリティスロットの中で拡張され、抜けなくなるという仕組みです。
ワイヤーのもう一端はデスクの脚など、容易には取り外しが行えない部分に1周させるようにして固定します。ワイヤーの固定が完了すれば、そのデバイスは、ワイヤーが伸びる範囲でしか移動させられなくなります。
スロットは本体の筐体と一体化していますので、強引に抜こうとすると、デバイス自体が壊れてしまうことになります。こうしたことから、換金やデータ目当ての盗難対策としては、絶大な効果があります。
ワイヤーの根元はデスクの脚など、頑丈かつ取り外しにくい箇所に固定します
多くのノートPCでは、セキュリティスロットは側面ないしは背面にあります
スロットに先端を差し込んで…
半回転。キーは抜き取って保管します
キーが抜き取られた状態では、先端部分を回す方法はなく、抜き取りは不可能です
このようにワイヤーが伸びる範囲でしかデバイスを移動させられなくなります
セキュリティスロットは、もともとはひとつのメーカーが提唱していたものが標準化された経緯があります。サイズが異なるのは、ノートPCの薄型化などに伴って、スリムなサイズが求められるようになったためです。
そのため、このセキュリティスロットに取り付けるワイヤーを購入するにあたっては、本体側のセキュリティスロットのサイズを確認し、それに合ったワイヤーを選択することになります。差し込めなかったり、逆に簡単に抜けては意味がないからです。
スロットには呼び名がついているので、その呼び名に適合するワイヤーを選べばよいのですが、メーカーによって使っていないこともあるので、穴のサイズで確認するのがもっとも確実です。
主なサイズは以下の通りで、今回の製品は標準的な3×7mmに該当します。「ナノ」「ノーブル」という名前は、「ナノスロット」や「ノーブルロック」といった具合に、別の名前をつなげて呼ばれることもあります。なおDELLなど海外メーカーの製品は、独自サイズの場合があるため注意が必要です。
標準(ミニセーバー) 3×7mmナノ 2.5×6mmノーブル 3.2×4.5mm
今回試用したノートPCのスロットは、ノートPCとしては標準的な3×7mm
多くの製品にはパッケージやメーカーサイトにサイズについての表記があります
さて、セキュリティワイヤーにはどんな製品があるのでしょうか、今回紹介している製品は、伸縮自在なカール式で、かさばらないのが利点ですが、一般的には1本のワイヤーでできた製品のほうがメジャーです。
キーは、今回の製品のように物理的なキーを差し込んで使うタイプ以外に、ダイヤルキーを用いたタイプも存在します。キータイプは、キーを持ち歩かなくてはいけない反面、スロットに取り付ける金具がコンパクトで、ノートPCなど薄型のデバイスにも向いています。
ダイヤルキータイプは、キーを持ち歩く必要はありませんが、根元部分が大柄でノートPCよりも厚みがあり、取り付けると段差ができてしまうことがあります。またダイヤルはせいぜい3桁しかなく、暗証番号を知らなくとも時間をかければ外せてしまいます。目的に合わせて選ぶのが無難でしょう。
取り付け方は、デスクなどの支柱に一周させて取り付ける製品以外に、デスクの天板に吸盤で固定するタイプや、粘着シールで固定するタイプもありますが、力ずくで外せてしまうという点で信頼性に欠けます。支柱に巻くタイプが、もっともおすすめできます。
シリンダーの直径がありすぎると、デバイスが持ち上げられて浮くこともしばしば。今回のノートPCはギリギリ浮かずに済んでいますが、薄型のデバイスでは要注意です
これまでセキュリティワイヤーの主な用途は、PCを展示している店頭やショウルーム、また図書館や学校など共有スペースが中心でしたが、コワーキングスペースなどで一時的に席を離れる場合や、電車内での作業中に手洗いに行きたくなった場合など、個人ユースでも重宝します。
もともと法人向けの製品ゆえ、普通に買うと数千円ほどしますが、製品によっては割引で大幅に安くなっていることもありますので、そうした製品を狙ったほうがよいでしょう。今回紹介しているカールタイプの製品は、持ち歩くにしてもかさばらないので個人がモバイルで使う場合におすすめです。
ちなみにセキュリティワイヤーは、安価な海外製品がネットで販売されている場合もありますが、いかんせんセキュリティ用品は信頼性が重要ですので、あまり手を出さないほうがよいでしょう。国内メーカーの製品であれば、不具合が出れば、一定のサポートも期待できるからです。
製品名:SL-058
実売価格:1,009円
発売元:ナカバヤシ
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B01N9TTUBK/
[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
〜ナカバヤシ「SL-058」レビュー
2021年03月02日
TEXT:山口真弘(ITライター)
PCやディスプレイ、NASといった高額な機器の背面には、幅およそ数mm程度の四角い穴が開いています。これはセキュリティスロットと呼ばれ、専用のワイヤーなどを使って、デスクの脚などに固定するためのものです。
機器を盗難から守るために効果的なこのセキュリティスロット、法人ユースで使われることが多いのですが、個人が外出先でノートPCを使う場合などにも利用できますので、選び方と使い方を知っておくと役に立ちます。
カールタイプのセキュリティワイヤー。カギが予備含め2個付属します
先端のT字をセキュリティスロットに差し込んで固定する仕組みはどの製品も共通です
先端部分をセキュリティスロットに差し込み、後ろのキーを回転させると…
先端が半回転し、抜き取りが不可能になります。先端が左右に広がるタイプもあります
セキュリティワイヤーの使い方はどれも基本的に同じで、T字になった先端をデバイスの側面や背面にあるセキュリティスロットに挿入し、キーを回すことで、先端がセキュリティスロットの中で拡張され、抜けなくなるという仕組みです。
ワイヤーのもう一端はデスクの脚など、容易には取り外しが行えない部分に1周させるようにして固定します。ワイヤーの固定が完了すれば、そのデバイスは、ワイヤーが伸びる範囲でしか移動させられなくなります。
スロットは本体の筐体と一体化していますので、強引に抜こうとすると、デバイス自体が壊れてしまうことになります。こうしたことから、換金やデータ目当ての盗難対策としては、絶大な効果があります。
ワイヤーの根元はデスクの脚など、頑丈かつ取り外しにくい箇所に固定します
多くのノートPCでは、セキュリティスロットは側面ないしは背面にあります
スロットに先端を差し込んで…
半回転。キーは抜き取って保管します
キーが抜き取られた状態では、先端部分を回す方法はなく、抜き取りは不可能です
このようにワイヤーが伸びる範囲でしかデバイスを移動させられなくなります
セキュリティスロットは、もともとはひとつのメーカーが提唱していたものが標準化された経緯があります。サイズが異なるのは、ノートPCの薄型化などに伴って、スリムなサイズが求められるようになったためです。
そのため、このセキュリティスロットに取り付けるワイヤーを購入するにあたっては、本体側のセキュリティスロットのサイズを確認し、それに合ったワイヤーを選択することになります。差し込めなかったり、逆に簡単に抜けては意味がないからです。
スロットには呼び名がついているので、その呼び名に適合するワイヤーを選べばよいのですが、メーカーによって使っていないこともあるので、穴のサイズで確認するのがもっとも確実です。
主なサイズは以下の通りで、今回の製品は標準的な3×7mmに該当します。「ナノ」「ノーブル」という名前は、「ナノスロット」や「ノーブルロック」といった具合に、別の名前をつなげて呼ばれることもあります。なおDELLなど海外メーカーの製品は、独自サイズの場合があるため注意が必要です。
標準(ミニセーバー) 3×7mmナノ 2.5×6mmノーブル 3.2×4.5mm
今回試用したノートPCのスロットは、ノートPCとしては標準的な3×7mm
多くの製品にはパッケージやメーカーサイトにサイズについての表記があります
さて、セキュリティワイヤーにはどんな製品があるのでしょうか、今回紹介している製品は、伸縮自在なカール式で、かさばらないのが利点ですが、一般的には1本のワイヤーでできた製品のほうがメジャーです。
キーは、今回の製品のように物理的なキーを差し込んで使うタイプ以外に、ダイヤルキーを用いたタイプも存在します。キータイプは、キーを持ち歩かなくてはいけない反面、スロットに取り付ける金具がコンパクトで、ノートPCなど薄型のデバイスにも向いています。
ダイヤルキータイプは、キーを持ち歩く必要はありませんが、根元部分が大柄でノートPCよりも厚みがあり、取り付けると段差ができてしまうことがあります。またダイヤルはせいぜい3桁しかなく、暗証番号を知らなくとも時間をかければ外せてしまいます。目的に合わせて選ぶのが無難でしょう。
取り付け方は、デスクなどの支柱に一周させて取り付ける製品以外に、デスクの天板に吸盤で固定するタイプや、粘着シールで固定するタイプもありますが、力ずくで外せてしまうという点で信頼性に欠けます。支柱に巻くタイプが、もっともおすすめできます。
シリンダーの直径がありすぎると、デバイスが持ち上げられて浮くこともしばしば。今回のノートPCはギリギリ浮かずに済んでいますが、薄型のデバイスでは要注意です
これまでセキュリティワイヤーの主な用途は、PCを展示している店頭やショウルーム、また図書館や学校など共有スペースが中心でしたが、コワーキングスペースなどで一時的に席を離れる場合や、電車内での作業中に手洗いに行きたくなった場合など、個人ユースでも重宝します。
もともと法人向けの製品ゆえ、普通に買うと数千円ほどしますが、製品によっては割引で大幅に安くなっていることもありますので、そうした製品を狙ったほうがよいでしょう。今回紹介しているカールタイプの製品は、持ち歩くにしてもかさばらないので個人がモバイルで使う場合におすすめです。
ちなみにセキュリティワイヤーは、安価な海外製品がネットで販売されている場合もありますが、いかんせんセキュリティ用品は信頼性が重要ですので、あまり手を出さないほうがよいでしょう。国内メーカーの製品であれば、不具合が出れば、一定のサポートも期待できるからです。
製品名:SL-058
実売価格:1,009円
発売元:ナカバヤシ
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B01N9TTUBK/
[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn