by Egyptian antiquities ministry

エジプト北部にあるプトレマイオス朝時代の神殿跡「タップ・オシリス・マグナ神殿」の発掘調査を行う考古学チームが、岩を切った墓の中から16体のミイラを発見したと発表しました。そのうち1体のミイラは通常の舌の代わりに「黄金で作られた舌」を持っていたとのことです。

Mummy with a gold tongue found in Egypt | Live Science

https://www.livescience.com/mummy-with-gold-tongue-discovered.html

2,000-year-old mummy found in Egypt has a gold tongue to speak to the god of dead in the afterlife | Daily Mail Online

https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-9211409/2-000-year-old-mummy-Egypt-gold-tongue-speak-god-dead-afterlife.html

タップ・オシリス・マグナ神殿は、紀元前221年〜紀元前205年にファラオとして古代エジプトを統治したプトレマイオス4世が建造を命じたとされており、実際にプトレマイオス4世とみられる高さ約1.8メートルの頭部がないファラオ像も発掘されています。神殿内ではプトレマイオス朝最後のファラオであり、絶世の美女としても名高いクレオパトラ7世の顔がエッチングされたコインも見つかっており、約2000年前まで神殿が使われていたと考えられているとのこと。

10年近くタップ・オシリス・マグナ神殿の発掘調査を行ってきたドミニカ共和国のサント・ドミンゴ自治大学とエジプトの考古学者からなる発掘チームは、新たに岩を切って作られた墓から16体のミイラを発見したと発表しました。ミイラが埋葬されたのは約2000年前と見られており、そのうち1体のミイラは「黄金の舌」を持っていました。

以下の画像が、実際に発掘された黄金の舌を持つミイラ。今回発見されたミイラの多くは劣化が進んでいたものの、黄金の舌を持つミイラは頭部周辺が比較的よい状態で残っていたそうです。



by Egyptian antiquities ministry

発掘チームによると、このミイラは防腐処理中に本物の舌が取り除かれて黄金の舌に置き換えられたとみられており、死後の世界で冥界の神・オシリスと話せることを願って置かれた可能性があるとのこと。死者が生存中に言語障害を持っていたのかどうかや、なぜ黄金で作られたのかという理由については明らかになっていません。

残る15体のミイラは保存状態がよくないものの、多くの豪華な装身具が発見されています。他にもホルス神をかたどったネックレスや動物の角で装飾された冠、金の花輪を構成したとみられる黄金の葉、大理石のマスクなども発見されました。あるミイラはオシリス神をかたどった金の装飾が施された漆喰の層で覆われ、別のミイラは頭飾りのある笑顔のデスマスクを着用していました。

以下の写真が、今回発見された女性のデスマスクです。



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また、墓の上に設置された彫像もほぼ無傷の状態で残されており、ミイラとして埋葬されたのがどのような人物なのかを知ることができたとのことです。



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