無免許運転の罰則とは? お金で済まされない…前科があると執行猶予なしの懲役刑!

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初犯だと罰金30万円が相場なのに

この短い記事から読者は何を感じるのだろう。以下は1月9日の徳島新聞だ。

無免許運転の78歳男に懲役9月/徳島地裁

徳島地裁は8日、徳島市の無職の男(78)に道交法違反罪で懲役9月(求刑同1年)の判決を言い渡した。
 男は8月8日午前1時37分ごろ、徳島市秋田町1の市道で軽乗用車を無免許運転した。

ほとんどの方は「へえ」と思って終わりなんじゃないか。だが、私は交通違反マニアであり裁判傍聴マニアでもある。無免許および無免許がらみの裁判だけで650件ほどか傍聴してきた。その立場から、直ちにこう感じる、「だいぶ前科があるのだな!」と。

無免許運転の罰則は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」だ。その範囲内で、普通車(軽乗用車も含む)で初犯だと、略式の裁判手続きにより罰金30万円が相場だ。物損事故を起こすと、初犯でも公判請求(正式な裁判への起訴)をされることがある。そうなるのが初めてなら、懲役5月程度、執行猶予3年が相場だ。

あおり運転、罰金の相場はおいくら?

無免許運転のみで、いわゆる実刑、執行猶予なしの懲役刑を食らうのは、前科があるケースだ。例えば、無免許で執行猶予中にまた無免許で捕まったとか、無免許で実刑判決を食らって服役し、出所後5年以内にまた無免許で捕まったとか、そういう人たちが、裁判の法廷へ続々と出てくる。

無免許で懲役9月(きゅうげつ)のケースも私は傍聴したことがある。免許取り消し処分を受けてから飲酒運転をやって罰金刑を受け、さらに無免許運転をやって執行猶予判決を受け、猶予期間が満了したあとに無免許でまた執行猶予判決を受け、その猶予中にまた無免許をやってとうとう実刑判決を受け、「実刑は重すぎる」と控訴。高裁でその控訴審が始まる半月前にまた無免許をやり、始まってからまた無免許をやり…。私が傍聴したのは、控訴審が始まる前後の無免許2件、についての判決だ。それが懲役9月の実刑だったわけ。

控訴審が始まる前後に2件、という部分はちょっと珍しいが、とことん無免許運転を重ねて刑務所へ行く人はよくいる。
・クルマを使えば便利な用事がある。
・目の前にクルマと道路がある。
・目の前に警察官がいない。
以上3つの条件がそろえば、するする運転席に乗り込み、ハンドルを握って走り出す、困ったことだが”交通社会あるある”のひとつと言っていいように思える。

無免許運転する人、建築関係の「ひとり親方」に多い?

徳島地裁で懲役9月の判決を受けた78歳の男性は「無職」だという。けど、私が傍聴してきたなかでは無職の被告人はあまりいない。建築関係の人、特に「ひとり親方」がけっこう多い。道具や材料を積んで現場へ行くにはクルマを使わざるをえず、奥さんもアルバイトも都合が悪くて自分しか運転できる者がおらず、免許取り消し中の身だけども…。それが基本パターンと言える。

『点数制度の実務 六訂版』(啓正社)に「処分期間中に違反行為をした場合」という解説がある。例えば処分の前歴が0回、累積15点で欠格1年の取り消し処分を受けた者が、その処分期間中に無免許運転(25点)で捕まると、点数は15点+25点=40点と計算される。15点による取り消し処分は受け終わっていないので前歴にカウントされず、前歴0回、累積40点の立場になり、欠格4年の取り消し処分の対象とされる。ヤバイですぞ。

無免許運転の被告人はよく「事故を起こさなければ大丈夫と思った」と言う。だったらおとなしく慎重に運転すればいいのに、携帯電話使用や右折禁止違反などで取り締まりを受け、無免許が発覚してしまう、そんな人がほんとに多い。たとえ事故は起こさなくても、自分の免許を、ひいては自分の仕事を、家族の生活を守る、ということについて危機管理能力が低いと言わざるをえない。

事故を起こさない運転をするのは当たり前! そのうえで、事故とは関係なく、取り締まりを受けない運転を心がけることが大事なことと、私の立場からは申し上げておきたいです。

ちなみに私は若いころ、アパートの建築現場へ資材を運んだり、ひとり親方さんの手元(てもと)として雑用をやったりしたことがある。あんときゃお世話になりました。

〈文=今井亮一〉
交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を発行。