iOS 14から加わった「ちょっと不便な新機能」を無効化する方法を紹介する(筆者撮影)

iOS 14では、ユーザーインターフェイス(UI)も大きく見直され、iPhoneの大きなディスプレーを有効活用できるようになった。例えば、電話を着信したとき、iOS 13までは画面全体が電話に切り替わってしまっていたが、iOS 14からは、画面上部に着信を知らせるバナーが表示されるだけになった。


この連載の一覧はこちら

Siriも同様で、起動時にディスプレーを占有してしまっていたUIが変わり、画面下部にSiriが起動したことを示す球体が表示されるようになっている。

シリーズを経るに従い、徐々に大画面化しているiPhoneだが、iOS 14のUIは、せっかく大きくなったディスプレーを無駄なく使えるものと言えそうだ。動画を小窓で表示するピクチャ・イン・ピクチャもその一環で、これもiOS 14から加わった新機能。とくに画面サイズの大きなiPhone 12 Pro Maxのような端末では、動画の視認性も高いため、ながら視聴をするにはうってつけと言える。

とはいえ、電話がかかってきたときには、なるべく取り逃さないようにしたいという人もいるはずだ。とくにビジネスでiPhoneを使っているようなケースでは、目の前の作業がいったん中断されてでも、電話を取れたほうがいいこともある。バナーは画面上部に表示されるため、指が届きにくいのも難点だ。

iOS 14では、こうした新機能を無効化することもできる。状況や好みに合わせて、設定を切り替えるようにするといいだろう。その方法を紹介する。

1.電話のUIは、iOS 13までのように戻せる

iOS 14では、電話を受けた際のUIが大きく変わり、よりさり気なく着信を知らせてくれるようになった。

iOS 13までは、画面全体が電話アプリに切り替わり、応答するか拒否するかを選択しないとほかの操作ができなくなっていたが、iOS 14では画面を占有することなく、画面上部にバナーとして通知が表示される形になった。iPhoneを操作している際に電話がかかってきても、重要でなさそうなときにはそのまま目の前の作業を継続できて便利だ。

一方で、電話が取りづらくなってしまったのも事実。バナーは画面上部にしか表示されないため、コンパクトなiPhone 12 miniなどを使っていないと、なかなか片手持ちで指が届きづらい。電話は緊急の要件でかかってくることが多く、割り込まれても最優先したいという人にとって、バナー表示はベストなUIとは言えないだろう。

その意味で、iOS 13までのUIのほうが、電話の優先度が高かった。時代の趨勢(すうせい)を取り入れた格好だが、前のほうがよかったという人もいるはずだ。


電話着信時の表示方法は、バナーと全画面を選択できる(筆者撮影)

実は、このUIは必須ではなく、設定で変更することが可能だ。iOS 13までのように、画面全体で着信を知らせてくれたほうがいいという場合は、UIを元のように戻すことができる。

デザイン的にはすっきりした新UIだが、電話の重要度は人によって異なる。使いづらいと感じたら、設定を変更しておいたほうが、操作のストレスは少なくなる。

変更は、「設定」の「電話」で行う。この中にある「着信」という項目が、標準では「バナー」になっている。UIをiOS 13までのものに戻したいときには、これを「フルスクリーン」に変更するといい。

ちなみに、いずれも適用されるのは、iPhoneのロックを解除して、操作をしている場合。画面を消灯させているときには、どちらにしてもフルスクリーン表示になる。また、電話だけでなく、FaceTimeにもこの設定は適用される。電話が取りづらくなって困ったという人は、ぜひ設定を見直してみてほしい。

2.自分の声やSiriからの回答を文字で表示

音声アシスタントのSiriも、そのUIを大きく変えた機能の1つだ。iOS 13までは、画面全体を占有する形で、ユーザーの質問と回答が表示されていたが、iOS 14では、Siriを表す球体が出現。Siriからの回答は、画面上部にバナーとして表示されるようになっている。

Safariでブラウジングしながら、疑問に思ったことをたずねたり、カレンダーで予定を見ながら天気予報を聞いたりと、メインで開いているアプリを補助するような情報を得やすくなっている。

ただ、設定を変更していないと、自分の質問が表示されないうえに、質問も声で返ってくるだけだ。正しい回答のときにはいいが、Siriが無反応だったり、間違った結果が表示されてしまうようなときには、自分が話した言葉が、どう認識されているかを文字で確認しておいたほうがいい。


自分の声やSiriの声を文字で表示したいときには、設定を変更(筆者撮影)

また、読み上げをオフにしているときは、Siriが何をしゃべっているのかがわからず、いきなり結果がだけが表示されてしまい、音声アシスタントとしては少々味気ない。そう感じた人は、Siriが話した内容を、文字で表示するよう、設定を変更しておくといいだろう。いずれの設定も、「設定」アプリの「Siriと検索」にある「Siriの応答」で変更できる。

自分の話した内容を文字で表示したいときには、「話した内容を常に表示」をオンに。Siriが話した内容を表示したいときには、その上にある「Siriキャプションを常に表示」をオンにしておけばいい。標準では、どちらもオフになっているため、視覚で情報を得づらい。その分、ディスプレー上の情報が多くなってしまう点は、トレードオフとして割り切ることが必要だ。

実用的なメリットはあまりないが、iOS 13のときのように、全画面をSiriにすることもできる。こちらの設定は、「設定」アプリの「アクセシビリティ」内にある「Siri」で変更可能。「Siriの背後にAppを表示」をオフにすると、アプリの上に重ならなくなる。iOS 13までの雰囲気が好きな場合などは、この設定を見直してみるといいだろう。

3.「ピクチャ・イン・ピクチャ」の自動起動をオフに

iOS 14では、動画の“ながら視聴”も強化されている。それが、ピクチャ・イン・ピクチャだ。Safariなどで動画を再生しているときに、画面下のバーを上にスワイプしてホーム画面に戻ると、再生中の動画が小窓に表示される。背景はホーム画面になり、そのまま別のアプリを立ち上げることも可能だ。

とくに画面サイズの大きなiPhoneの場合、この機能は便利。動画を見ながらTwitterやFacebookなどのSNSに感想を投稿したり、メールやメッセージが届いたときに動画の再生を中断せずに中身を確認できたりと、さながらパソコンのマルチウインドウのような使い方ができる。FaceTimeもピクチャ・イン・ピクチャに対応しているため、ビデオ通話をしながら、必要な情報をSafariやマップなどで確認することもできる。

ただ、操作に慣れていないと、動画の再生を終了しようと思ったにもかかわらず、小窓で流れ続けてしまうことも。急いで動画を止めようとしても、なかなかそれができないと焦ってしまうはずだ。また、iPhone 12 miniのように、ディスプレーサイズがコンパクトなiPhoneでは、ピクチャ・イン・ピクチャで表示される動画が非常に小さくなる。無理に、小窓で動画を再生しなくてもいいというときには、設定を変更しておきたい。


ピクチャ・イン・ピクチャが自動で開始される設定は、オフにしておこう(筆者撮影)

ピクチャ・イン・ピクチャの設定は、「設定」アプリの「一般」にある「ピクチャ・イン・ピクチャ」で変更できる。ここで、「ピクチャ・イン・ピクチャを自動的に開始」をオフにしておけば、画面下部の上フリックで、動画の再生が継続してしまうことを防げる。この設定は、自動的にピクチャ・イン・ピクチャになるのをオフにするだけで、機能自体がオフになるわけではない。

この設定でピクチャ・イン・ピクチャを利用したい場合は、動画再生中に、表示される画面が2つ重なったようなアイコンの「ピクチャ・イン・ピクチャ」ボタンをタップしよう。こちらのほうが意識的にピクチャ・イン・ピクチャを呼び出すことができるため、操作に慣れていないときには、自動で呼び出す設定はオフにしておいたほうがいいだろう。