中国メディアは、「実際の抗日戦争は抗日神劇のようなものではなかった」と指摘する記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国で高い人気を誇る抗日ドラマ。しかし、中国人自身が「抗日神劇(ありえない抗日ドラマ)」と名付けるほど、荒唐無稽な内容の作品が増えていたため中国でも問題視され、最近では政府も介入し、抗日戦争の歴史を歪曲したものや過度に娯楽化した作品は放送できなくなったようだ。中国メディアの騰訊網はこのほど、「実際の抗日戦争は抗日神劇のようなものではなかった」と指摘する記事を掲載した。

 記事はまず、日中戦争では「国共合作」に呼ばれるように中国の国民党革命軍と共産党の人民解放軍は共同で日本と戦ったが、特に初期においては国民党が主力だったと紹介。共産党は装備も悪かったため、主にゲリラ戦を戦っていたと指摘した。

 そのうえで記事は、当時の中国の戦いがどうであったかについて、旧日本兵だったという人物の感想を紹介。旧日本兵の武器は中国よりずっと進んでいて高性能であったため、国民党革命軍の武器を見て「こんな遅れた武器でどうやって日本を相手にするのか?」と思ったほどだったという。しかし、中国の兵士に対する評価は高く、「決して臆病者ではなく、皆が愛国の士で、国のために喜んで自分を犠牲とした」と述べていると伝えた。

 それで、もし日本と中国が同じレベルの武器で戦っていたなら、日本に負けることはなかったと分析。実際には日中戦争の最中に多くの土地を旧日本軍に奪われたが、それは国民党革命軍が命を惜しんで死を恐れたわけではなく、装備の悪さから無駄死にするか戦力を温存するために退却するほかはなかったのだと論じた。

 多くの人が抗日ドラマの影響を受けているなかで、日中戦争における国民党の戦いを評価する記事が中国のネット上に掲載されることは比較的珍しいといえるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)