「守備だけでなく、左足でのサイドチェンジやボールの持ち出し、くさびなども効果的だった」という冨安。(C)JFA

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 日本代表は、終了間際に途中投入された植田直通選手のヘディングシュートでコートジボワールを1−0で下し、カメルーン戦と合わせて180分を無失点で切り抜け、貴重なヨーロッパ遠征 (選手たちはヨーロッパ組ですが)を1勝1分で終えました。

  コートジボワール戦のスタメンと並びを見て変化を感じたのは、主に3点でした。

  まず、左サイドに久保建英選手が入ったこと。所属のビジャレアルでも久保選手が得意とする右サイドは選手層が厚く、今後左サイドに活路を見出すことも求められていくであろうということを考えても、左サイドでのパフォーマンスが注目されました。

  2つ目はボランチの並びです。カメルーン戦では左を担当する場面が多かった柴崎岳選手が右に立ち位置を取り、遠藤航選手が左でプレーしました。ボランチの場合は試合の流れの中で左右を頻繁に入れ替えることもあるので、少し注意しながら見ていましたが、特に前半はほとんど柴崎選手が右でプレーをしました。
 
  3つ目は、2トップが始めから縦関係でスタートしていたことです。これまでの森保ジャパンでは、特に守備のスタートでは、ほぼ毎回横関係でスタートし、自陣に運ばれると縦関係になるという守り方を選択していました。

 しかし、この日の日本代表は、3バックを採用していたコートジボワールに対して、最初から鈴木武蔵選手が前で3バックの真ん中の選手に牽制をし、鎌田大地選手はボランチを見るために少し後ろ。そして、両サイドのCBに対しては両サイドハーフの久保選手と伊東純也選手が出ていくという守り方で、プレスに行く選手がより分かりやすい形を取りました。

 これはカメルーン戦での課題も踏まえてのものだと考えられます。昨年のアジアカップでも同様に、3バックの相手に対して2トップで横並びに立つと迷いが生じて後手に回るという展開がありましたので、その解決策としてチームで提示してきたのでしょう。今後も、3バックの相手に対しては、このような微調整で対応していくことが予想されます。
 
  さて、ゲームの方です。日本代表は随所にカメルーン戦を踏まえての改善を行ってきたことが伺えました。特に目に付いたのはビルドアップに対する意識です。

 この日起用されたGKのシュミット・ダニエル選手からCBを経由して中盤へと丁寧に相手を剥がしていこうとする意思はカメルーン戦から大きく変わっていました。

 コートジボワールが3-4-3だったこともあり、1人浮いた状態になるCBをうまく使いながら前進させようという意図はよく分かりました。

   そこに、人数を合わせようとコートジボワールのウイングバックの選手が出てくればその背後、背後にCBがカバーに入ればトップ下の鎌田選手と、相手のシステムと守り方に対して嫌がらせる攻め方を意図的に作っているように見えました。

  問題はその先でした。サイドを崩してもゴール前には日本の選手は1人か2人。これは両サイドで見られました。ビルドアップし、サイドを崩してもサッカーは“点取り合戦”ですから、その先の“絵”までが繋がっていなければ効果的とは言えません。特に逆サイドのMFの立ち位置とゴール前への入り込み方を修正していくべきでしょう。
 
 加えて、前述したような選手配置にしたことから起こった左サイドの機能不全も気になりました。ビルドアップに頻繁に絡みながら、より高い位置を取る柴崎選手が右のボランチ。そして、この日はよりオーバラップを仕掛けていくタイプの室屋成選手が右SBに入りました。これにより後ろの配置は全体的に右肩上がり。逆に言えば、“左肩下がり”でした。