焼肉キャンプ」という焼肉専門店をご存知だろうか? 「日常を冒険に」をコンセプトに、キャンプ場で楽しむ食事のような体験を提供しているという。いったいどんなお店なのか……? 東京都板橋区にある、焼肉キャンプ 板橋高島平店を訪れてみた。

赤塚公園のほど近くにある「焼肉キャンプ 板橋高島平店」


○ああ、僕はいま山小屋にたどり着いたんだ……

階段を上り入り口のドアをくぐると、そこには非日常感あふれる空間が広がっていた。内装は山小屋を意識しており、ランタン風の照明やプロジェクションマッピングで再現した炎がキャンプの雰囲気を醸し出す。待合スペースはキャンプ用品で装飾され、壁にはキャンプ場のイラストや登山用バッグがかけられている。

キャンプ場の山小屋をイメージした内装


プロジェクションマッピングやキャンプ用品が非日常感を演出する


大人なら日常の喧騒から離れられる空間としてゆったりと、子供なら日常から飛び出した冒険空間としてワクワクしながら食事が楽しめそうだ。

○川魚を焼いて食べるぞ!

店名の通りここは焼肉屋さんなので、もちろん普通のソファ席もある。だがせっかくこのお店に来たのなら、やはり座りたいのは入り口近くにあるコールマン椅子の席。もう心の中ではキャンプ場にいるので速攻でこの席を選択し、備え付けのタブレットから料理を注文していくことにした。

コールマンの椅子がキャンプ感を掻き立てる席


まずは「川で釣った魚をその場で調理したよ!」感が堪能できる「暴れ川の鮎塩焼き」490円(税抜)と期間限定メニューの「渓流のニジマス塩焼き」490円(税抜)、そして「BBQ とうもろこし」290円(税抜)をチョイス。しばらくすると、ベルトコンベアからシュパー!っと料理が運ばれてきた。

料理が運ばれてくるベルトコンベアは小川をイメージしたそう


さっそくコンロに火をともし、炎に脂やタレが落ちる音と香ばしい香りが食欲をそそるなか、じっくりと焼き上げていく。ああ、この調理する時間もキャンプ場。適度に焦げ目がついたニジマスにかぶりつくと、脂がしっかりのってうま味が凝縮された川魚が味わえた。

焼きたての鮎やニジマスの塩焼きをそのまま頬張れる幸せ


タレをたっぷり塗った甘じょっぱいとうもろこしもグッド


○みんなで焼肉パーティだっ!

続けて、がっつりと肉を堪能しよう。イチオシの「キャンプの宝箱(2〜3人前)」990円(税抜)と、期間限定メニューのドリンク「樽de乾杯! ハイボール」を注文すると、煙を吐く大きな箱が届いた。中を開けると、そこには新鮮なお肉が山盛り。お肉の部位は「厳選国産黒牛」「カルビ」「中落ちカルビ」「上ハラミ」「ランプ」となる。お肉はどれも柔らかくてジューシー、ご飯もお酒も進むこと間違いナシ!

煙とともに現れるお肉に、つい「肉の宝箱や〜!」と言いたくなってしまう


濃厚な脂の乗った上ハラミはご飯との相性ピッタリ


当然、2.5倍量のハイボールもグビグビ進んでしまう


調子に乗って、さらに「極上シャトーブリアン」1,490円(税抜)を注文。軽く焼き目を入れたら、付属のふたをかぶせて火を通す。好みの焼き加減でお皿に移したら完成だ。ナイフで切ると極上の肉汁があふれ出す。付け合わせのソースや卵黄を絡みあわせて頬張れば至福の時間が待っている。

肉厚なシャトーブリアンがお目見え


たっぷりの肉汁とともにいただくホロホロのお肉がたまらない


○食後はデザートで〆ないと

おなかが膨れてきたらデザートの時間だ。注文したのはボリューム感満点の「バナナマウンテン」690円(税抜)、カフェっぽくてオシャレな「植木鉢パフェ」290円(税抜)の2点。バナナマウンテンの量に圧倒されるものの、適度な甘さがお肉を食べたあとの口直しにピッタリだった。

見た目に反して甘さ控えめで食べやすいバナナマウンテン


ホットドリンクにも合う植木鉢パフェ


最後に、「BBQ焼きマシュマロ」290円(税抜)と「淹れたてキャンプコーヒー (キリマンジャロ)」290円(税抜)で食後のひと時を楽しみたい。コーヒーを楽しみつつ、マシュマロをジリジリと焼いていると、ここはもう夜のキャンプ場だ。

表面に焼き色を入れたマシュマロをチョコレートでトッピング


食後のコーヒーは飯盒でご飯を炊くスペースを利用して淹れる


○日常を忘れてご飯でコミュニケーション

気が付けば、お店に到着してからすでに2時間が経過。非日常を感じる空間で、人と話しながら食事を作るのはやはり楽しくて、あっという間に時間がたってしまう。近ごろは外食する機会も少なくなり、食事時間はあくまで味を楽しむ時間になっていたのかもしれない。焼肉キャンプの料理は、正直どれもリーズナブルで美味しかったのだが、一方で飲食の楽しみとは味だけではないんだな、と改めて気づかされた。

孤食が問題視されて久しいが、食事を通して生まれるコミュニケーションはやはり料理の味を一層おいしいものにし、そのおいしい料理がさらに人の心をつなぐ潤滑剤の役割を果たしている気がする。コロナ禍の今はなかなか行きづらいかもしれないが、焼肉キャンプのような新しいタイプの体験型飲食店はこれから増えていくのではないかなと感じた。