非接触型体温計を用いた検温の様子(京都市下京区・オムロン本社)

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 新型コロナウイルス禍の今、外出先で検温を求められる機会が増えている。商業施設やレジャー施設のスクリーニングで用いられているのが、非接触型体温計やサーモグラフィーだ。先日、記者が医療機関を定期受診した際も非接触型体温計で検温されたが、風邪症状がないのに結果は「37・6度」。何度計り直しても表示される体温は下がらず、ペンシル型体温計で脇の下を計ってようやく「平熱」と判断された。この時に限ったことではなく、同じ体験を何度もしている。なぜ「平熱」なのに「発熱」と計測されてしまうのだろう。医療機器メーカー「オムロンヘルスケア」(京都府向日市)に、非接触型体温計の仕組みと留意点を聞いた。

【写真】購入するなら、体温計本体の裏側に記された医療機器認証番号を確認して

 非接触型体温計は「皮膚赤外線体温計」といい、皮膚が放出した赤外線を測定して体温に変換する。オムロンヘルスケアが製造する非接触型体温計の場合、額の赤外線を舌下の体温に換算している。赤外線から表面温度を計る非接触型温度計は工業用品の製造現場などで利用されているが、この非接触型温度計を人に使用する場合は皮膚の表面温度しか計測できない。インターネット通販サイトでは、非接触型体温計か非接触型温度計か判別が難しい商品が多数販売されており、オムロンヘルスケアの広報担当者は「非接触型体温計は医療機器ですので、購入する場合はパッケージなどに医療機器認証番号が表記されているか、確認してください」と注意喚起する。

 記者の場合、医療機関のスクリーニングだったため、非接触型温度計が誤って用いられたとは考えにくい。では「発熱」と判断されてしまったのはなぜなのだろうか。

 オムロンヘルスケアの広報担当者によると、額などにかざすだけで検温できる非接触型体温計は大人数を短時間で調べられる一方、使用環境によって計測結果が左右される場合がある。例えば、直射日光を浴びている時は体温が高く測定されやすい。また、汗をかいたり、化粧や日焼け止めを施したりしている時は体温が低く表示されることも。広報担当者は「値はあくまで体温の目安。必要があれば改めて脇の下で計るのが正しい使い方です」と説明する。

 非接触型体温計を全国知事会や内閣府に寄贈したオムロンヘルスケアだが、これまで国内向けにはほとんど販売しておらず、主な販売先はアジア地域や欧米だったという。日本はペンシル型体温計が主流で、需要も小さかったからだ。

 オムロンヘルスケアの広報担当者は「テレビなどでスクリーニングの様子を見ていて正しい検温がおこなわれていないのではと思うケースもあり、形骸化してしまうのではないかと心配しています。『使用上の注意』を読んで正しく有用に使ってほしいです」と呼び掛けている。

(まいどなニュース/京都新聞・天草 愛理)