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リマスタードされたミニ サイズは?

text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

今も日本で高い人気を保つクラシック・ミニ。

コンパクトなボディのキャビンに収まれば、4つのタイヤが手と足に直結しているかと思わせるダイレクトで痛快なドライブフィールは、一度乗ったら病み付きになる楽しさを備えていた。

DBAミニ・リマスタード・デイトリッパー    上野和秀

しかし、歳を重ねて現代の安楽なクルマに慣れてしまうと、クラシック・ミニを再び楽しみたいと思っても、快適装備は一切ないことから躊躇してしまうだろう。

そこで注目したいのが、過去の名車に現代の路上に通用する最新技術、パフォーマンス、快適装備を与えた“リマスタードカー”である。

こうしたなか、イギリスでデビッド・ブラウン・オートモーティブ(以下DBAと称す)からリマスタードされたクラシック・ミニが2019年に送り出された。

そのボディサイズは、全長×全幅×全高が3055×1470×1330mmというお馴染みの小ささ。

なお、デビッド・ブラウンと聞くとニューポートパグネルのメーカーを建て直したあの方を思い浮かべようが、こちらは全くの別人である。

ミニ・リマスタード 内装写真

DBAミニ・リマスタードは単なる再生新車ではない。

ブリティッシュ・モーター・ヘリテージ社の手による新しいボディシェルは、AピラーやCピラーにあったパネルの合わせ部分は取り払われ、前後のオーバーフェンダーとサイドスカートを一体スムージング化。

DBAミニ・リマスタード・デイトリッパーの前席内装    上野和秀

あわせて各部の剛性を高めた専用のものが使用される。

エンジンは基本こそオリジナルのものを用いるが、新品パーツを使ってフルリビルトされると共に、キャラクターに合わせてチューニングされたものが搭載される。

トランスミッションは4速MTが標準だが、5速MTやオートマティックを選ぶことも可能。

何よりの特徴は現代のクルマと同等の信頼性・快適性を備えたことにある。今や欠かせぬ装備であるエアコンを始め、パワーステアリング、パワーウインドウ、集中ドアロックは標準装備。

上質なインテリアトリムや明るいLEDヘッドランプが備わるだけに、我慢なしにクラシック・ミニの世界を楽しめよう。

ボディカラーやインナートリムなどはオーナーと話し合いながらビスポーク・スタイルで決められ、ハンドメイドで入念に作り上げられることが最大のポイントである。

そのため、価格はオーダー内容によって変わるが、1600万円前後と高価だ。

現在3タイプを受注中

日本に導入されるDBAミニ・リマスタードは3タイプが予定されている。

1つはミニのキャラクターを象徴するイメージで仕立てられた「カフェレーサーズ」。

DBAミニ・リマスタード・デイトリッパーの後席内装    上野和秀

2つめはオートモビル・カウンシルの会場で展示され、ここでご覧いただくツートンカラーでサンルーフを備える「デイトリッパー」。

そしてモンテカルロ・ラリーで活躍した栄光を受け継ぐ「モンテカルロ」となる。

基本モデルの最高出力は71hpだが、「モンテカルロ」はパフォーマンス・アップグレード・キットが組まれ、排気量を1330ccに拡大され83hpを発揮する。

ミニ・リマスタードはオーダーを受けてから製作されるため、基本的に納期は1年間が必要となる。現在英国本社がコロナ禍の影響で休止しており、これからオーダーすると1年以上かかりそうだ。

ホワイトハウスが発売元に

日本での発売元となるホワイトハウスは、名古屋圏を中心に輸入車13ブランドの正規ディーラーを展開し、2輪車の正規ディーラーを名古屋と東京で運営する販売会社。

新たな展開として趣味性の高いクラシックモデルを扱いたいと考えていたところ、日本での代理店を探していたDBA社と出会い、取り扱いが決定したそうだ。

DBAミニ・リマスタード・デイトリッパーのエンジンルーム    上野和秀

なお販売拠点はグループ内のオートプラネット名古屋内に設けられる。

昔ミニを楽しんでいたが、「再びミニの世界に戻りたい」と考えている方には格好のモデルといえる。

一番の問題は1600万円という価格を納得できるかどうか。中古のローバー・ミニをフルレストアしても総額で400〜500万円かかるが、内容と装備は当時のままである。

DBAミニ・リマスタードの新車以上の内容と、上質なフィニッシュと好みに合わせてハンドメイドで作り上げられることを考えてれば、不当に高いとは言えまい。