伊藤 達夫 / THOUGHT&INSIGHT株式会社

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踏まえるべき時代の転換として、「他人の物語=ストーリー」への感情移入から、「自分の物語を織りなし体験すること=ナラティブ」への転換がある。近代文学はいかにして他人の物語を自分の物語のように感じさせるかという技術が問われ、人々は他人の物語を見聞きするためにカネを払うものだったが、現状は「集まれ動物の森」のように自分なりに出来事を織りなし、体験することが期待され、人々はそういった体験をするためにカネを払うようになってきている

こんにちは。伊藤です。だいぶ久しぶりにこちらに書いています。私のこと、覚えていますか?いえ、そもそも知りませんよね。ごめんなさい。

ただ、書くという作業はなかなか骨が折れますし、やったところで、自分へのメリットを考えるとなんだかなあと思ったりしますからね。

さて、今日のモデルは「緋真煉」さんです。

「読みはヒサナネル。モデルで絵描き。Lyu:Lyu、CIVILIANのドラムイラスト描きました。中村文則著その先の道に消えるの表紙の人でbastetoneアルバムのジャケットの人です。ぱくたそ所属モデルです。撮影依頼は私個人へで大丈夫です。時間無制限1万円+交通費になります。」とのことなので、撮影したい方は是非。

この方はお仕事でモデルをされているようですが、近ごろは普通の女の子でも撮影されてモデル気分になったりすることもあるようです。撮影する人もされる人も増えている。

それをインスタあたりにアップして、みんな楽しんでる。イベントのようですね。

モデル気分を味わうのも楽しいでしょうし、写真家気分で写真を撮るのも楽しいのでしょう。万が一、それがバズったらカネが儲かるかもしれない。それも楽しい。

もはやそういう時代です。みんなが同じテレビ番組を見て楽しいとか言ってる時代じゃない。昨日の夜のテレビ番組を見ていないとクラスの話題についていけなくて困る時代でもない。

そうするとね、マーケティングはやりにくくなる。

いわゆるナショナルブランドみたいなものが成立しにくくなりますからね。核家族化が政策的に推し進められて、一姫二太郎(死語ですかね・・・)がロールモデルになって、みんなある程度同じような家電が家にはあって、暮らしている。

いわゆる「一億総中流」という物語を信じ、「終身雇用」という物語を信じているわけです。以前に少し論じた記憶はありますが、日本が本当に格差がなかったかと言えば微妙ですし、終身雇用がなべての企業にあったかと言えば、嘘ですね。いわゆる「柳川レポート」というやつがありまして、レポートによると、民間では大企業製造業男子のみに終身雇用は適応された。いわば「貴族」のような人たちにだけ、終身雇用はあったわけです。

ただ、現実がどうというより、「人々がその時代にどんな幻想を信じるのか?」ということがモノを売る際には必要なことです。

「一億総中流」というものは、マーケティング的にやりやすい状況を作り出していたと思います。画一的な東京化を夢見て、標準世帯のようなものがあって、みんな似たようなものを買い、暮らす。

ナショナルなブランドは圧倒的に有利ですよね。マスメディァ、特にテレビが支配的なパワーを持ち、人々を画一化した。学校教育が国語を作り出したように、テレビの言葉が、シーンが人々に理解の共通基盤を提供した。まるで神話のように。

でも、そのパワーも衰えて、今はネットをみんなが見ている。YouTubeを見て、Twitterを見て、Facebookを見ている。テレビよりも、身近な人たちの話の方が面白いこともあるし、何より自分たちの自分語りに注目が集まる可能性もある。その方が、よっぽど面白いですよね。

陰謀論的には、既成の秩序が乱れるので、それはそれで、元に戻そうとする作用もあるのでしょう。

しかし、一度、動き始めたら止まらない。人々は自分たちの生きたいように生きる。それを止めようとするものは、滅びゆくでしょう。コロナ騒ぎで人々の行動を制限するような言説がもてはやされ、自粛警察等が出てきたり、監視技術が隆盛を極めていますが、社会的にどのように人々の自由を保証するか、それが問題です。

解としては法ぐらいしか、権力を規制する手段はないのですが、なかなかプライバシー権が憲法に入りそうで入らないのはなんでなんでしょうね?

と、逸れましたが、このマスメディアからネットワークメディアへの移行、人々が自分の情報を思い思いに発信して、自分なりの「推し」を推していくということは、もはや止まらない流れなのでしょう。

悲しいこととしては、マーケットはほとんど米系プラットフォーマーに抑えられていて、日本のオリジナルプラットフォームの生き残りなんて「ニコ動」ぐらいしかないことでしょうか。2チャンネル改め5チャンネルでしたっけ?どこかの国へと行ってしまいましたね。

ちょっと時代を語り過ぎましたが、どうすれば儲かるように変わってきたかと言えば、自分の織りなす物語を自分なりに語ることをサポートすると、儲かります。

だから、銀行員みたいなたぬきにいびられる「集まれ動物の森」みたいなもんが流行るんでしょうし、自分で歩いて楽しめる「ポケモンGO」が流行るんでしょう。

私は最近、朝は家でタバタ式のトレーニングを4分やりますし、その時にはYouTubeのトレーニング動画を見ながらトレーニングしています。

まあ、WiiFitをやってもいいのでしょうし、ジムに行ってもいいのでしょう。ただ、運動して健康にその日を過ごしたいから運動するわけです。

そういうシークエンスを日常に取り入れて、日々を充実させていく。毎日を充実させて、それが語らえる。そういうことが求められているんですね。そう、ここで私はちゃっかりと私の暮らしを語っています。まさにナラティブです。まあ、イケメンならインスタに画像を載せますが、そういうもんでもないので。書くことで自分語りです。

ということで、この時代の変化を捉えることはとてもとても大事ですね。それでは今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。