NECPCの2020年春PCは個性派揃い。「ほぼ画面」設計のデスクトップや子供向け合体ノートも
NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)が1月21日に発表した、2020年春の新PCシリーズ。別記事で紹介した有機EL画面搭載の高級ノートPC『LAVIE VEGA』シリーズの他にも、注目機種が多く発表されています。

中でも新機軸となる機種が、4辺ナローベゼル設計を採用した画面一体型デスクトップPCの新シリーズ『LAVIE Home All-in-one』と、小学生をターゲットにした『LAVIE First Mobile』の2シリーズです。ここでは、大学生向けノートPC『LAVIE Note Mobile』の新世代機と合わせて紹介します。

関連記事:
NEC初の有機ELノートLAVIE VEGA日本版発表。Adobe CCフォトプランも付いたクリエイター向け機種


デスクトップPCでの新シリーズとなる『LAVIE Home All-in-one』は、27インチ/23.8インチのフルHD画面を備えた、一体型デスクトップ(いわゆるAll-in-one:略称AIO)型のモデルです。

グレードは画面サイズ他で4種。カラーバリエーションは「ファインブラック」「ファインホワイト」の2種で、合計8モデルの構成です。発売予定は2月中旬から。1月4日に米国向けが先行で発表されていたモデルです。

特徴は、4辺ナローベゼル仕様の液晶パネルを採用したことによる、『カフェボードデザイン』と名付けられたシンプルな外観。マザーボードなどを背面スタンド部に収めた構造により、正面から見た場合などでは、ほぼ液晶画面のみに見える造りです。

また27インチ版のスピーカーは、液晶パネルを製造するLG Displayが開発した、液晶パネル自体を振動板として使う『Crystal Sound Display』技術を採用。YAMAHAによる音響チューニングを加えることで「音と画面の中にダイブしたような没入感」と謳います。

23.8インチ版も、液晶パネル振動版こそ採用しませんが、サウンドシステムはYAMAHAチューニングによるものです。

さらに音声コントロール機能として、(スリープではなく)シャットダウン状態からの起動も可能な、音声操作機能『Wake on Voice』機能も搭載。Windows 10のコルタナ経由の音声操作に加えて、「ねーラビー」のウェイクアップワードにより、テレビやオーディオプレーヤー機能などを操作可能です。

PCとしての基本仕様は、最上位となる『HA970/R』の場合ディスプレイ......27インチ、フルHD解像度IPS液晶CPU......インテル製Core i7-10510U(TDP 15W、4コア8スレッド、標準1.8GHz、ターボ時最高4.9GHz)GPU......CPU内蔵(Intel UHD グラフィックス)RAM......8GB(4GB×2)/DDR4ー2666(SO-DIMMによる実装)ストレージ......256GB SSD(NVMe/PCI Express接続)+3TB HDD光学ドライブ......Blu-ray Discドライブ(BDXL記録対応)無線LAN......Wi-Fi 6対応生体認証機能......指紋認証(Windows Hello対応)標準搭載OS......Windows 10 Home 64bit版
といったところ。

27インチモデル2種とHA770/Rでは、HDMI入力端子も搭載します(23.8インチ廉価モデル『HA370/R』は非搭載)。


もう一つの新規シリーズが、10.1インチ画面のタブレット兼用(キーボード合体式)ノートPC『LAVIE First Mobile』です。グレードは1種、本体カラーはライトブルーの1色。発売予定は1月下旬です。

このモデルは、いわゆる「K12」世代に向けた「子ども専用PC」として企画された機種。プログラミング教育の世代に向けた「文科省の要件をすべて盛り込んだ、小中学校用普及モデルの家庭版」と位置づけられています。



子どもでも扱いやすい約262×179×10.6mm(幅×奥行×厚さ)/約653g(本体のみ)というサイズと重量に、10点タッチ+ペン入力対応の10.1インチ液晶画面と公称13.8時間のバッテリーを搭載。

付属のキーボードをマグネットで合体させることで、ノートPCとしても使える構造です(合体時は約262×186×10.6mm/約1.189kg)。さらに指紋認証や500万画素のWebカメラなど、PCとして重要な機能も備えます。さらにWeb直販モデル『LAVIE Direct FM』では、SIMフリーLTEモデムも搭載します。

ソフトウェアとしては、iOSとAndroidで評価の高い知育教材アプリ『シンクシンク』のWindows版を搭載。さらにOffice Home & Business 2019、つまりフル機能Officeも搭載するのがポイントです。

PCとしての基本仕様は、

本体サイズ.....約262×179×10.6mm(幅×奥行×厚さ:本体のみ状態)本体重量......約653g(本体のみ状態)ディスプレイ......10.1インチ、WUXGA(1920×1200)IPS液晶CPU......インテル製Celeron N4100(TDP 6W、4コア4スレッド、標準1.1GHz、バースト時最高2.4GHz)GPU......CPU内蔵(インテル UHD グラフィックス 600)RAM......4GBストレージ......128GB(eMMC接続)バッテリー駆動時間......約13.8時間(本体のみ状態、JEITA 2.0測定)USB端子......USB Type-C(5Gbps)×1(電源端子兼用)+USB 3.0×1、キーボード側USB2.0×2拡張端子......フルサイズHDMI、3.5mmヘッドセットジャック生体認証機能......指紋認証(Windows Hello対応)標準搭載OS......Windows 10 Pro 64bit版
といったところ。

プログラミング教育が必須となる世代に向けた子ども向けPCは今後ホットになる市場ですが、その中でも合体式タブレットという路線はかなりユニークなところ。Windows 10 Proの搭載や直販でのSIMフリーLTEモデム搭載と合わせて、ハードウェア的に気になるポイントも備えたモデルです。



さらに今回は、大学生をメインターゲットとした12.5インチモバイルノートPC『LAVIE Note Mobile』も世代交代。3グレードと本体カラバリ3種類(メタリックピンク/ネイビーブルー/パールホワイト)で、7モデル展開となります。発売予定は1月下旬。

特徴は、現行モデルでも評価の高い軽さ(約909〜953g)や長時間バッテリー(約11〜11.4時間)などを継承しつつ、CPUをインテルの第10世代Core(TDP 7W版)へと刷新した点。

現行モデルと同じく、いわゆる「Core m系」CPUですが、とくに上位機種のCore i5とi7搭載モデルでは4コア8スレッド処理に対応し、大幅なCPU性能の強化となっています(現行のCore i5モデルは2コア4スレッド)。一方で冷却構造は、ファン搭載となりました(現行ではファンレス)。

また本体デザインは、ファンの搭載にも関わらずほぼ現行機種を継承。一方でキーボードは本体左右幅いっぱいに広げた設計とするなど、使い勝手を増す配慮がなされています。

最上位モデル『NM750』の基本仕様は、本体サイズ.....約289×192×18.0mm(幅×奥行×厚さ)本体重量......約953gディスプレイ......12.5インチ、フルHD、IPS液晶CPU......インテル製Core i7-10210Y(TDP 7W、4コア8スレッド、標準1GHz、ターボ時最高4GHz)GPU......CPU内蔵(インテル UHD グラフィックス)RAM......8GB(拡張・増設不可)ストレージ......約512GB SSD(PCIe接続/NVMe)バッテリー駆動時間......約11時間(JEITA 2.0測定)USB端子......USB Type-C(5Gbps)×1(電源端子兼用)+USB 3.0×2拡張端子......フルサイズHDMI、3.5mmヘッドセットジャック生体認証機能......顔認証(Windows Hello対応)標準搭載OS......Windows 10 Home 64bit版
といったところです。

このように、今回のNECPC新製品は、従来以上に良い意味で「ターゲットを絞った」モデルが目立つ構成。とくに昨今顕著な「ニーズによって細分化された機能が求められる」傾向に合わせて、それぞれのモデルごとに細かなコンセプト分けや、機能的なチューニングを施してきたという印象も受けます。

関連記事:
NEC初の有機ELノートLAVIE VEGA日本版発表。Adobe CCフォトプランも付いたクリエイター向け機種