3万3000社

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 2008年のリーマン・ショックから11年が経過した。

 当時は倒産件数・負債総額ともに激増し、大型倒産も数多く発生。国内経済においても金融危機が叫ばれたが、近年は、各種の消費刺激策やインバウンド需要の獲得などを追い風に企業業績は徐々に回復。2018年度の業績は、大手を中心におおむね好調に推移した。

 しかし最近では、米中貿易摩擦や中国・欧州経済の低迷といった懸念が表面化しているほか、中小企業を中心に人手不足や後継者難といった問題も依然として解消されておらず、国内経済は楽観視できない状況が続いている。

 帝国データバンクは、2019年10月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録)のなかから、2016年度〜2018年度の決算数値が判明した約107万3,000社を対象に、最新2期連続で「増収増益」(赤字企業・変則決算除く)となった企業を抽出・集計・分析した。
※1 売上高・税引後利益は単体べースで集計
※2 出現率は全体に占める割合のこと

すでにピークアウト

 2018年度(2018年4月期〜2019年3月期)決算で2期連続の増収増益を果たした企業数は、3万3,000社となった。

 過去10年間における企業数の推移を見ると、リーマン・ショック直後の2009年度は1万1,388社だったが、その後は右肩上がりで推移し、ピークとなる2014年度には、円安や訪日観光客数増加などの好材料が重なり3万7,462社を記録。

 以降は、各種コスト負担の増加や自然災害が頻発していることなどもあり、ゆるやかな減少を辿っている。

好調な建設業

 業種別にみると、増収増益企業数では「建設業」が9,946社でトップ。業種細分類のランキングをみても、上位10業種中6業種に「建設業」がランクインした。

 背景には、都市圏の再開発需要や企業の設備投資が増加していることが挙げられる。

 また、増収増益企業出現率では「卸売業」が3.87%でトップとなった一方、「小売業」「サービス業」「不動産業」は全体平均を下回る結果となった。

出現率は「東京」ではなく「大阪」がトップ

 都道府県別にみると、増収増益企業数のトップは「東京都」の6,728社。次いで「大阪府」の3,744社となった。一方、増収増益企業出現率では1位が「大阪府」の4.69%で、「東京都」(4.09%)は2位となり順位が逆転した。

 また、出現率の上位には「東京都」「大阪府」のほかに「愛知県」「福岡県」といった大都市圏も入ったが、3位の「滋賀県」(3.70%)や4位の「沖縄県」(3.67%)、5位の「熊本県」(3.62%)といった地方圏のランクインも目立った。

 なお、増収増益企業出現率が全国平均(3.07%)を上回ったのは、11都府県のみとなった。

2019年度の業績やいかに

 2017年度と2018年度決算の2期連続で増収増益となった企業は、全国に3万3,000社存在することが分かった。

 なかでも、大都市の再開発や設備投資需要が堅調に推移するなど好材料が多い「建設業」のほか、システム投資需要が多い「ソフト受託開発」、EC市場の拡大にともない追い風を受けた「貨物自動車運送」などの業種が上位を占めた。

 他方、2014年度以降の増収増益企業数はゆるやかに減少しており、すでにピークアウトしたと予想される。

 最近では、中国経済の失速に加え、国内では人手不足による人件費増加や、消費税率引き上げによる消費の落ち込みも懸念されているほか、頻発する自然災害の被害により企業活動が停滞している企業もある。

 東京五輪需要や省力化投資の加速など、国内経済にとってプラス材料もあるなかで、これらの問題が今期(2019年度)の企業業績にどう影響するのか、今後の動向に注目したい。