シンプルな経営/野町 直弘
元カルビー社長の松本晃さんがパイオニアの社外取締役に就任するという発表がありました。松本さんは日本人としては珍しいプロの経営者です。先日、その松本さんの話を聞く機会があり、たいへん興味深い話でしたので、ここで取上げます。
多くの著名な方に共通した点は、話が面白く、かつ分かりやすいことです。松本さんのお話も面白く、また分かりやすいものでした。
松本さんの考え方は非常にシンプルです。また様々なキーワードで会社経営を考えています。
まずは、カルビーの経営でまとめていたシンプルな経営のために守らなければならない10か条です。
10の考え方(Webより引用)
10か条の中でも1.「C&A」や4.「現状維持即脱落」にもありますが、変革をしないとそれは死につながる、徹底的に壊す、捨てるを徹底することが、重要だと言っています。
松本さんはカルビー時代に徹底的に捨てていきました。例えば役員向けの個室、社用車、接待費、定例ミーティングなど全て廃止し、権限委譲を行い、ダイバーシティと働き方改革に一生懸命取り組んだそうです。
すべてのコストは顧客が負担しているのだから、無駄なお金を使うことは許されない。権限委譲は社員を元気にする源と、強調していました。
他にも様々な興味深い話が多く。
オフィスについては、「人間は縦には動かない動物」ということで、今までは狭いオフィスだったものを広いスペースに移ったそうです。「オフィスは考える場所」であり、個室、会議室、個人席は作らない。
「お金はメッセージを伝えるツール」、責任手当やボーナスなど上手く使う必要がある。
「情報は上から下へ」「マル秘なんて情報はない(マル恥はあるけど)」「ビジネスに関係ない資産はいらない、全て売却するべき」
「人生は学ぶことから始まる」これは、松塾という経営塾を立ち上げたことにつながっているとのこと。
「ダイバーシティやらないと会社は成長しない」「働き方改革とダイバーシティは一緒にやらないとだめ」「会社は魅力的な人をつくる場でなければならない」
などなど、興味深いキーワードが次から次に出てきます。
最後に、私が一番いいなと思ったキーワードです。
「会社の経営は易しく考えるべき」第一は「世のため、人のため」これは十分条件。第二は「儲けろ」これは必要条件。この二つを満たして全てのステークホルダーを喜ばせる、これが経営。
どうしても「世のため、人のため」が欠けてしまいますよね。
でもこれが一番重要なことです。
皆さん「世のため、人のため」のお仕事ができていますか。