USB-C ACアダプタの本命か。「ダブルPDで60W」PowerPort Atom PD 2をアンカーが発売
モバイルバッテリーなどUSB関連製品大手であるアンカー・ジャパンが、USB PD対応Type-C端子を2基搭載したACアダプタ『PowerPort Atom PD 2』を発売しました。価格は4599円(税込)。既にAmazon.co.jpなど、同社のWeb直販で購入が可能です。

特徴は、総合最大出力が60W、USB Type-C×2基という端子構成で、なおかつ両方ともUSB PD(USB Power Delivery)に対応した点。また、60W級としては小型・軽量な点もポイントです(詳細は後述)。

昨今はType-Cを複数備えたACアダプタこそありますが、本機はまだ貴重な、2基ともPD対応な「ダブルPD」仕様。なおかつ60W×1台用と30W×2台用を兼用できる便利さや本体の大きさ・重量、そして価格などのバランスから、ヘビーユーザーの間では「これからの本命」とも目されていた製品です。


なお、本機(日本版)は2018年11月に「発売時期と価格未定」としてプレビューされており、2019年6月には「夏発売」として改めて公開されていました。先述のように仕様が期待できるものだったのに対し、プレビューからは約10カ月もの時間が経ったため、長らく発売が待たれていたモデルでもあります。

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さて、製品としての特徴は、持ち歩き用のACアダプタとして(もちろん自宅用としても)バランスが良い点です。

まず出力端子は、USB Type-C出力×2のみ。Type-Aは非搭載という割り切った仕様です。そして最大出力は60W。ポイントは先述したように、1基のみ接続した場合は最大60Wが使え、2基であれば双方が最大30Wとして使えること。

つまり本機が1台あれば、付属ACアダプタが45WのノートPCでも余裕で、61Wや65WのPC(13インチMacBook Proなど)でも実用上はほぼ問題なくカバーでき、さらに30WのPCやタブレットであれば2台同時充電が可能になるというわけです。



アンカー側でも「12インチMacBook(付属アダプタは30W)の場合、2台同時にフルスピード充電が可能」とアピールします。もちろん、スマートフォンやタブレットなどの2台同時充電もカバーできます。
こうした汎用性の高さこそが、本機の大きな魅力です。

なお兄弟機としては、Type-C×1/最大45W、Type-A×1/最大15Wという構成の『PowerPort Atom III(2ポート)』というモデルがありますが、こちらのUSB Type-C側は最大45Wに制限されます。単一で60Wがカバーできるのは本機のメリットです。



また、合わせて嬉しいのが、(出力に対して)コンパクトかつ軽量な本体。本体サイズ(横長に置いた状態)は約69×68×28mm(幅×奥行き×厚さ)、重量は約178g。もちろんACプラグは折りたたみ式です。アンカーは「一般的な60W出力の充電器に比べ約15%小型」とアピールします。

ここで比較対象となっているのは、おそらくアップルの『61W USB-C電源アダプタ』。こちらはサイズが75×75×30mm、重量は192g(実測値)。つまり本機は、端子が1基増えて汎用性が上がりながらも、若干小さく、軽くなっているというわけです。

なお、出力とポート数だけで見れば、同シリーズでより上位となる最大100W出力/総計4ポート(USB Type-C×2+Type-A×2)の『PowerPort Atom PD 4』が既に発売されています。

ただしこちらの本体の大きさは約110×85×34mm(幅×奥行き×厚さ)、重量は約457gと、ヘビー級。さらに価格も9999円と、お買い得度はあるものの、それなり以上の覚悟も必要でした。

本機は総合出力は小さくなるものの、Type-Cの端子数は同じで、サイズも重量も小さく、価格は半分以下。シリーズの中でも注目されていたのは、この「Type-C標準時代の持ち運び用ACアダプタとしてのちょうど良さ」によるところ大、というわけです。





さて、技術的な特徴としては、AC電源をUSBの仕様に変換する「パワー半導体」の素材に、機器の小型化、高効率化が可能な「窒化ガリウム」(GaN)を採用した点が挙げられます。これは同じシリーズで先行発売された30Wモデル『PowerPort Atom PD 1』でも採用されたもの。

参考記事:
ゴルフボールサイズで30W出力、ノートPCも充電可能! Ankerが次世代USB充電器を遂に発売 (2019年2月)


GaNは、例えるならば液晶(駆動用半導体)におけるIGZOのように、用途に向いた性能と省電力性を持った素材。これをベースにすることにより、上述の小型化、省電力化、そして(省電力化に伴う)低発熱化といった、ACアダプタの理想に近づけるというわけです。このようにGaNは、本機の「ちょうど良さ」を支えるキーパーツとなっています。


このように本機は、USB Type-Cが当たり前となったイマドキのヘビーユーザーが持ち運び用ACアダプタに求めていた仕様を、高いレベルで満足させる仕様が魅力です。

もともとブランド人気が高いアンカー製品であり、さらにその仕様から発売を待っていたユーザーが多いだけに、人気となるのはほぼ間違いないであろう「ド定番」。今後の持ち歩き用USB ACアダプタにおいて、1つの基準になるモデルでしょう。