近畿セラミックス本社

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住宅市況の低迷、度重なる震災被害で「消費者の瓦屋根離れ」が進んだことも影響した

 近畿セラミックス(株)(TDB企業コード:530173983、資本金9920万円、兵庫県淡路市大谷881-8、代表福原幸蔵氏、従業員44名)は、8月30日に神戸地裁へ準自己破産を申請した。

 申請代理人は吉田大地弁護士(大阪府大阪市北区西天満1-10-8、吉田大地法律事務所、電話06-6365-6038)ほか1名。

 当社は、1895年(明治28年)6月創業、1961年(昭和36年)4月に法人改組した瓦製造業者。当初は、近畿窯業(株)の商号で三原郡西淡町(現・南あわじ市)にて淡路島の地場産業であるいぶし瓦メーカーとして事業をスタート。86年10月に協和窯業(株)の吸収合併、近畿産業(株)の事業を承継すると同時に、現商号に変更のうえ本店を現所に移転した。その後、福山市・広島市・大分市・宮崎市などに営業拠点を開設して現在の体制となり、従前はいぶし瓦を主体としていたが、消費者ニーズの変化により現在は平板瓦などの洋瓦が70%、いぶし瓦など和瓦30%の割合で製造していた。大手ハウスメーカーや建材商社、屋根工事業者など西日本中心に幅広い営業基盤を構築し、2004年12月期には年売上高約31億1600万円を計上。淡路島トップの瓦メーカーとして相応の知名度を有していた。

 しかし、この間リーマン・ショック以降の住宅市況低迷や、東日本大震災、熊本地震など度重なる震災被害によって消費者の瓦屋根離れが進んだことで需要が伸び悩み、2018年12月期の年売上高は約13億4500万円にダウン。収益面では燃料価格高騰に伴う利益率の低下に加え、在庫負担や設備投資に伴う過剰な有利子負債を抱え連続赤字となり、厳しい資金繰りを余儀なくされていた。このため、金融機関に対して借入金の返済条件緩和を要請するなどして経営再建を図っていたものの、業況に回復の兆しはなく徐々に資金繰りがひっ迫。ここに来て支えきれず事業継続を断念し、今回の措置となった。

 負債は現在調査中だが約20億円の見込み。