6月30日、首脳会談後の記者会見に臨む文在寅氏とトランプ氏(ホワイトハウス提供)

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ポンペオ米国務長官は7月31日、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)参加のためバンコクに向かう機中で、対立を深める日韓に「前に進む道筋を見いだすよう促す」と記者団に述べたという。ポンペオ氏はARFに合わせて日韓の外相と個別の会談を予定しており、その後、3者会談も行う予定とされる。

これと関連してロイターは30日、日韓が話し合いの時間を確保するための「スタンドスティル(据え置き)協定」を締結するという仲介案を米政府が示したとする、米政府高官の発言を伝えていた。

ただ、菅義偉官房長官は31日の会見で「そのような事実はない」と否定しており、今後の成り行きがどのようなものになるかは不透明だ。

しかしいずれにせよ、韓国の文在寅政権は米国を仲裁に引っ張り込もうと死に物狂いだった。

康京和(カン・ギョンファ)外相は30日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長に関して「状況の展開によって(協定破棄を)検討する可能性もある」と発言していた。

GSOMIAの破棄は、米国が再三にわたり、「それだけは止めて置け」と警告してきたカードだ。これに対して米国が強い懸念を表すのは、この協定が日韓だけのものではなく、実質的に米国を加えた「共通ルール」であるためだ。つまり、協定の破棄は米韓同盟に深刻な亀裂を生じさせる可能性があり、そうなれば韓国の安全保障は危機に瀕する。

それでも康京和氏が敢えて「協定破棄」の可能性に言及したのは、日本からの圧力をかわすには米国に仲裁を頼むほかなく、米国を動かすにはGSOMIAを人質に取るしかなかったからだろう。いわば、捨て身の「自爆攻撃」とも言えるものだ。

しかし実際のところ、GSOMIAは韓国にとってもきわめて重要なものだ。

北朝鮮は近く、弾道ミサイルを搭載した新型潜水艦を進水させると見られている。

東海岸の基地に配備されるこの潜水艦は、韓国の早期警戒レーダーの死角となる日本海に潜み、ミサイル攻撃の機をうかがう。有事において、核弾頭が搭載された弾道ミサイル発射の探知が遅れれば、韓国は致命的なダメージを受けかねない。

言うまでもなく、日本海は海上自衛隊の「庭」であり、北朝鮮の新型潜水艦の動向も海自が逐一監視することになる。

また日本海には、自衛隊のレーダーの死角はない。

つまりはGSOMIAを破棄するということは、韓国にとって様々な意味で「自殺行為」と言えるのだ。

(参考記事:「何故あんなことを言うのか」文在寅発言に米高官が不快感