増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

写真拡大

・謝罪パフォーマンス
「パフォーマンス」という言葉は、中身を伴わない上部だけの行為のような、悪い意味で用いられることも多いのですが、本来は全く違います。コミュニケーションとして、何らかのメッセージを、いかに効果的に、正確に、実効性あるものとして実現するかです。

この件で衝撃的記者会見となった宮迫さん、ロンブー亮さんですが、二人ともきちんとした喪服のようなダークスーツに黒ネクタイ。服装的には好感が持てました。一方、元々金髪で活動していた亮さんは、泣きながら会見しつつ、その金髪はどうしても目に入りました。

この会見へのコメントを求められた際、ほとんどのメディアの方から「金髪で良いのか?」と聞かれました。私はOKだと思うと答えています。

・あるべき服装
謝罪において服装はきわめて重要です。正に本来の意味でのパフォーマンス上、服装が印象を表してしまうからです。そこで表現すべきものは当然ですが反省であって、反省に結びつかないメッセージを発することは禁忌です。

派手な服装は論外。地味なスーツが男性も女性も基本。さらに女性はアクセサリー、スカート丈、化粧を落とす人もいます。他にもメガネや高級腕時計など、謝罪に関係ない外見はすべて排除することが必要です。

髪の毛についても日本人は黒が基本。ただ今回の亮さんのように染めている人はどうすべきでしょう?会見のために黒にするべきという意見もあります。その答は「時間」だと思います。

・早さだけはでない「時間感」
謝罪において「早さ」はきわめて重要です。今回の吉本問題も、事件発覚後も「静観」と称して即座に会見など事情説明、事態収拾を行わなかった吉本興業の企業体質、危機管理体制が大きく批判さています。

大企業ゆえに迅速な危機管理体制が取れなかった可能性は高いと思います。想定できる広報や対マスコミ情報提供はできても、今回のような経営の根幹を揺るがす事態には対応できていないといわざるを得ません。

そこで謝罪会見が決まるまでかなりの時間があり、それは黒髪に染める猶予もあったことでしょう。しかし一方「時間感」とは、これまでずっと会社方針で姿を現さなかったお二人が事件後初めて姿を見せるというタイミングも含みます。

非常に大きな注目を集め、一挙手一投足、一言もらさずすべての言辞が注目されるというタイミングで、本筋以外に流れが行くのは避けるべきだと思います。つまりお二人が頭を剃って坊主にしたり黒髪にすれば、そちらへの注目が行ってしまい、話と情報と印象が分散してしまいます。

その方がごまかせる、のではなく、炎上状態を少しでも抑えるためには本筋かが外れるメッセージは余計なのです。ここは怒りと反発のエネルギーを可能な限り焼き尽くす必要があります。

もし「髪が金髪で反省してるのか?」と聞かれても、「そこまで対応する時間と気持ちの余裕がなく、取るものも取りあえずこの席に臨んだ」という答で良いと考えます。絶対に批判はあるのです。批判をゼロにすることではなく、逆に反発を一気に燃やすことが事態収拾へとつながります。

一般論ではなく、本件に関しては、私は金髪OKだと感じた次第です。