「実際に誰が聴いているのかは、ぜひとも知りたい」:分析が遅々と進まない、 Alexa フラッシュブリーフィングの現状
米市場にEcho(エコー)が登場してからほぼ4年。AmazonのボイスプラットフォームAlexa(アレクサ)は、音声、動画の別にかかわらず、数千もの製品およびメディアフォーマットをつなぐ、広大なエコシステムへと進化を遂げている。だが、Amazonがサードパーティに着陸を認めた最初の地、Alexaのフラッシュブリーフィング(Alexaにフィードを読み上げさせるスキル)は依然として開発が進んでおらず、パブリッシャーに製品を進化させたいと思わせるだけのデータも洞察もない状態が続いている。
少なすぎるデータに不満
要求は出し続けているが、パブリッシャーにわかるのはいまだ、自社のフラッシュブリーフィングをインストールしたユーザー数と、ブリーフィングのコンテンツ再生回数だけであり、ブリーフィングを更新できない現状に、多くが不満を抱いている。誰が、どのように、どれくらいの頻度で聴いているのか。何ひとつわからない現況は、やみくもに盲目飛行を続けているようなものだと、多くのパブリッシャーは感じている。
「いま誰にリーチしているのかを把握するのは、きわめて難しい」と、音声インターフェースに特化し、フラッシュブリーフィングとスタンドアローンのAlexaスキルも発行するヴォイスボット(Voicebot)のエディター、ブレット・キンセラ氏は語る。「反復利用を把握できるようになる必要がある。ユーザーの年齢と性別(の把握)も不可欠だ」。
「そして、それを提供する動きは、まるで見られない」と、キンセラ氏は言い添える。
機能性はわずかに進化
2016年のスーパーボウル中継番組において、AmazonがEchoのCMを放映して以来、これを新たなプラットフォームへの早期参入の好機と見て取ったパブリッシャーが続々と、Alexaユーザーをブリーフィングおよびスキルにコネクトし、エンゲージさせる術を見い出すべく、小規模チームを立ち上げている。
実際、オーディエンスは増大を続けたが――コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ(Consumer Intelligence Research Partners)の調べでは、約6600万台のスマートスピーカーが米世帯にインストールされており、その大半をAmazon製機器が占めている――データも機能性も限定的という状況が続いた。
ただ、後者(機能性)は多少進化をはじめている。4月後半、Amazonはフラッシュブリーフィングを拡大し、ユーザーがCNNやブルームバーグ(Bloomberg)、フォックス・ニュース(Fox News)といったパブリッシャーの音声および動画コンテンツのより長尺なストリーミング配信を楽しめるようにした。6月前半には、新機能Alexa カンバセーションズ(Conversations)も発表した。これは複数のAlexaスキル間のシームレスな行き来を目的に開発されたものであり、導入されれば、Alexa内でパブリッシャーのスキルと他のデベロッパーのスキルが並行使用できることになる。
こうした改良、とりわけカンバセーションズは新たなユーザー行動の引き金となるうるし、それを受けて、パブリッシャーのコンテンツ利用法が変わる可能性も出てくると、ユーザーエクスペリエンスコンサルタント会社ブリンク(Blink)の共同創設者ケリー・フランツニック氏は指摘する。
諦観するパブリッシャーたち
とはいえ、依然、フラッシュブリーフィングを発行するパブリッシャーにデータは提供されておらず、そのため、いくつかのパブリッシャーは自ら収集できるデータを最大限利用している。たとえば、フラッシュブリーフィングの発行回数を増やすことで、あるパブリッシャーはそれらが実際に聴かれている時間を特定できたという。「聴かれているかいないかについては、かなり正確に把握できるようになった」と、フラッシュブリーフィングを毎日発行する、とあるパブリッシャーの情報筋は語る。
ただ、この追加情報は、プログラミングおよび配信戦略にとっては有用だが、広告販売については、この限りでない。Alexaは依然、広告を受け付けていないが、パブリッシャーはフラッシュブリーフィングへのスポンサーシップの販売を認められている。とはいえ、このスポンサーシップはスタンドアローンの投資ではなく、より大きな広告パッケージに含まれる、あるいはその一部として販売されるのが一般的であり、この構図はより多くのデータが動くようになるまで変わらないだろうと、メディアエージェンシー、オックスフォード・ロード(Oxford Road)のクライアントストラテジーおよびメディアオペレーション部門EVP、ジャイルズ・マーティン氏は指摘する。
結局、多くのパブリッシャーは少ないデータでより多くを行なう現在の状況に慣れるしかないと、なかば諦めている。「具体的に誰が聴いているのかは、ぜひとも知りたい」と、前出の情報筋は語る。「だが、その一方で、いまは2019年であり、彼らの多くにとって、ユーザーデータが非常にデリケートな問題であることも理解できるし、それについては同情している」。
Max Willens(原文 / 訳:SI Japan)
