火星大気中に従来比3倍の高レベルメタン。探査車Curiosityが検出、生物存在の証拠になるか
NASAの火星探査車Curiosuty(キュリオシティ)が、火星の大気中に非常に高いレベルのメタンガスを検出したとNew York Timesが報じました。今回発見したメタンは21ppb(parts-per-billion)というごく微量ではあるものの、2013年に検出したメタンの3倍に相当します。

火星の薄い大気の下では、長い時間の経過によってメタンは太陽光で分解されていると考えられます。そしてメタンガスは地球上では一般にほとんど酸素のない場所に生息する嫌気性微生物の有機物分解によって作られることから、今回検出されたメタンガスは、ごく最近、それも微生物の活動によって作られた可能性が考えられます。

メタンガスは火山活動でも作られるため、それを検出したからといって生物が必ず存在するという証拠にはなりません。ただ、地下の岩石中などで酸素のない場所で嫌気性の微生物が存在しているとすれば、メタンが地表に放出される可能性もないわけではありません。

とはいえ、地熱による化学反応など地質学的活動が火星にまだ残っているとすれば、それによってメタンが放出される可能性もまたゼロではありません。火星のコアが完全に冷めて固まっておらず、流動性を残していれば、またそうでなくとも、遙か昔に作られ地下に蓄えられていたメタンが、何かの拍子に地表に漏れ出た可能性も考えられます。

NASAは、6月22日にメタン検出の事実を認めはしたものの、まだ「初期的な科学的成果」に過ぎないと述べたにとどまり、追加の調査結果は6月24日に公表する予定だとしました。

一方ガスを検出したその日、欧州宇宙機関(ESA)の火星周回探査機Mars Express Orbiterも、Curiosityのいるゲイル・クレーター上空を観測しながら通過していました。Mars Express計画でメタン観測を率いるMarco Giuranna博士は「6月24日の週にいくつか予備的な結果が出る」と述べています。ただ、いずれの調査結果も最終結果ではないと考えられ、そのガスが何由来かを特定するには長い時間が必要になるかもしれません。