かつて世界のイノベーションは日本発だった コンデジを駆逐したスマホですら新イノベーションのおびえる時代に?!
その昔、ソニーから登場したウォークマンは、まさしく全世界に音楽とともに生活するライフスタイルの変革をおこした。
デジタルカメラもまた火付け役となったカシオQV-10からスタートし、7フィルムレスで、だれでもどこでも写真を取るライフスタイルをもたらした。
これらは、日本メーカーが世界を変えたガジェットだ。
こうしたイノベーションを起こした背景には、世の中にないものを作れる時代だったということもあるが、高性能化・小型化・軽量化などライフスタイルに合わせて進化させられる日本メーカーのクオリティの高さと、ものづくりへの信頼があったからだろう。
しかしながら近年の革新的な製品は、グローバルメーカーから日本に入ってくる傾向が強くなった。
例えば、20年程前に登場したダイソン(イギリス)のサイクロン式掃除機は、紙パック式で低価格で安定していた日本の家電市場に、「吸引力」と「プレミアム価格」というイノベーションを起こした。
今や、サイクロン式の掃除機は、日本の各メーカーの主力製品ともなっている。
ダイソンがおこした商品の価格帯を広げた革新は、掃除機に限らず「安さ」で画一的されていた日本の白物家電の市場の閉塞感を打ち破ったと言えるだろう。
今や、炊飯器や洗濯機、冷蔵庫の家電製品の価格は数万円から数十万円まで幅広くなり、多様な価格帯で、個性ある製品が展開されるようになった。安くなければ売れない、薄利多売のものづくりという考え方を変えるきっかけとなったことは間違いないだろう。
かつては独自の技術で世界にイノベーションを起こしてきた日本のメーカーだが、企業規模の巨大化とともに、マーケティング重視の開発・製造、販売に縛られ、保守的な製品しか生み出せなくなってしまっている。
一時は世界を制覇したデジタルカメラも、もっとも元気があったコンパクトデジカメはスマートフォンに市場を取られ、いまや壊滅状態である。
コンパクトデジカメは、カメラ市場という世界だけで価格と機能の競争により行われ、価格競争の果てに各メーカーは疲弊し、あらたな世界の対応した商品を生み出せなくなっていた。そんな状況の中、スマートフォンのカメラは粛々と強化を進め、進化し、多くのスマートフォンユーザーが満足するカメラを創り上げた。
市場を制覇していたコンパクトデジカメだが、写真を撮るという行為の先にあるSNSなどネットでの写真の共有という流れに対応できず、高画質化したスマートフォンに満足した消費者にとってコンパクトデジタルカメラはすでに過去のモノとなっていたのだ。
コンパクトデジカメは市場を失ってしまったわけだが、デジタルカメラ全てが過去のものになったわけではない。
危機感が高まっていたデジタルカメラ市場で新たなイノベーションを起こしたのが、パナソニックのミラーレス一眼である。
レンズ交換式カメラながら、光学式ファインダーではなく電子ビューファインダーや背面の液晶モニターを搭載した。
「撮影時にイメージセンサーの映像を確認しながら撮影」
このいまでは当たり前の撮影スタイルを確立したのだ。
ミラーレス一眼の進化により、
撮影時の明るさ(露出)や色合い(ホワイトバランス)をリアルタイムに確認して撮影することは当たり前となった。
また、電子ビューファインダーに様々な情報を表示することで、撮影情報の一元化、集約化により、撮影技術の向上や撮影の自由度が大きく増したのである。
そして動画時代を迎え、動画の撮影も電子ビューファインダーで確認しながらできるなと、様々なメリットとイノベーションをもたらした。

いまや、ニコンやキヤノンと言ったカメラメーカーの大手ですら、ミラーレス一眼に注力するほど、このイノベーションに乗らないとシェアを取れなくなる状況となってきている。
コンパクトデジカメがスマートフォンに取って代わられ、主力は「ミラーレス一眼」となったデジタルカメラ市場。
実は、まだイノベーションが生まれる世界があった。
それは、GoProがこだわってきたアクションカメラという市場だ。
ミラーレス一眼などと比べて、カメラそのものの性能はお世辞にも良いとはいえない。
しかし、新たなイノベーションでニーズを生み出すと言う清々しい成功事例を作り上げたのである。
そのニーズは迫力のあるスポーツ映像だけにとどまらず、TVや映像メディアのカメラとして、そして自撮り撮影用のカメラとして、幅広く浸透している。
基本的に、タフネス性能と動画・静止画を撮るだけというシンプルな機能、そしてコンパクトで高額ではないことがヒットの要因だ。

このイノベーションには、日本メーカーのパナソニックやソニー、そしてニコンも乗ったのだが、良い結果は残せなかった。
その要因には、これまでにやってきた日本流の製品作りにある、スペックでの甘え、チャレンジをしない保守的なマーケティングがある。
デザインや使い勝手の良さ、便利さを追求するのは良いが、それ故に利用シーンが見えてこない、日本の消費者に合わせた価格設定、他社と横並びもしくはお世辞にも良いとは言えない動画性能などでは、到底、新しい市場を生み出していけるわけはないのである。

もう1つ日本メーカーが衰退を余儀なくされたのが、スマートフォンだ。
かつては、パナソニックやNECなど日本のメーカーが国内で激しく製品開発で競い合っていた。
しかし今では、アップルやサムスン電子、LGエレクトロニクス、ASUS、ファーウェイ、OPPO、モトローラなどの海外メーカーが市場を席巻している。
現在のスマートフォンは、動作におけるスペックはユーザー満足度をクリアし、製品に大きな差はなくなりつつある。
「あたらしい進化を求める」
この命題を進められるメーカーが、引き続きスマートフォン市場を牽引できる。

こうしたスマートフォンの新しい進化がカメラ機能だ。
海外のトップメーカーは、最新デバイスに新しいカメラ機能を導入して差別化を図ろうとしている。
コンパクトデジカメ市場を駆逐したスマートフォンは、さらにカメラ機能を貪欲に進化させることでイノベーションを生み出そうとしているのだ。
こうした貪欲に進化を求める姿勢は素晴らしいのだが、現在のスマートフォン市場の状況は、
・ダイソンが市場に登場する前の日本の掃除機市場
・スマートフォンに駆逐される前のコンパクトデジカメ市場
これらに似ているように思えてならない。
ユーザーが求めているものは、最新デバイスを搭載した高性能化なのだろうか?
消費者が求めるイノベーションとは、
もしかするとGoProのように、まったく別方法にあるモノなのではないだろうか。
少し目線を変えて、成熟した機能を使った消費者の求めるモノへつなげる想像力が新たな製品開発、イノベーションに繋がるヒントになる、そんな時代が来ているように思う。
執筆 mi2_303
