映画『轢き逃げ −最高の最悪な日−』公開後ティーチインイベントが10日、渋谷・ユーロスペースにて行われ、監督・脚本を務めた水谷豊と宇野維正(映画・音楽ジャーナリスト)が登壇した。

とある地方都市で起きた轢き逃げ事件をきっかけに、人間の底知れぬ心情に光を当てた本作。予測不能のサスペンスから深い感動へと誘う展開に、マスコミ向け試写でも「先が読めない」「思いもよらぬ展開に涙した」と絶賛の声が続いている。『TAP -THE LAST SHOW-』(17)に続き、水谷豊の監督第2作目となる。

公開1週間も経たない中SNSでは「何度観ても涙が止まらない。」「心引き込まれる作品、時間があっという間に過ぎていった。」「私のハートを鷲掴んで離さぬ映画であった!」などの反響が相次ぎ、本作をご覧いただいた著名人からも絶賛コメントが相次いでいる。

この反響を受けて、コアな映画ファンたちが集う渋谷ユーロスペースにて、監督・脚本を務めた水谷豊が舞台挨拶に登壇し、公開後の今だから話せるスペシャルトークを繰り広げた。

水谷:今日のユーロスペースのティーチインがプロモーションの最後なんですね。自分の作品について語るのは得意ではないけれども今日は作品や自分にまつわることを語りたいと思います。

宇野:(水谷が)脚本も書かれているということですが、どうして脚本を手がけるようになったのでしょうか。

水谷:最初は書こうとは思っていなかったんですが、出来たアイデアを話したら反応が良くて、これを語るのは長くなるので文字に書きます、というところから始まったんです。文字に買いたらキャラと出来事がどんどん出てきて、止まらなくなってしまったんです。

宇野:iPadで書くと聞いてビックリしました。携帯小説かな?と。

水谷:脚本は、これ(フリック入力)で書いたんです。かつてはキーボードで書いていたんですけどね。

宇野:信じられない。今の若手のライターさんでは時々いますけど、脚本家としては先鋭的な手法でびっくりしました。これからも監督を続けていかれると私は思っているんですけど、今まで様々な現場を験されたり、脚本や、監督、出演などの役割を経験されて、いろいろな世界を知っているわけですが、次の世代になにかを引き継いでいくという使命感はあるんですか?

水谷:「TAP」も「轢き逃げ」もそうなんですが、あとで自分はこれをどうやって撮ったんだろうと思うんですね。考えてみたら、俳優でもそうなんです。杉下右京の時もどうやって演じていたんだろう?と思うんですね。自分でもスイッチが入ったかどうかはわからないんですが。昔は、どうして不良をやってくれないの?なんて周りに言われたりもしたんですが、「熱中時代」のシリーズが終わる頃になって、生徒が「先生に言いたいことがあります。一番最初に先生が入ってきた時に草刈正雄さんの方が良かったな、と思ってたんですけど、やっぱり先生でよかったな、と思いました」って言われたんですね(笑)。なので自分ではどうやっていたのかわからないのですが、結果良かったんだと思います。

水谷:(最後の挨拶にて)今日は、ありがとうございました。実は60代で3本やりたいと口を滑らせた 映画というのは実際に果たして次ができるのかというのは難しいこともあります。確実にできるとは言えない世界です。でももし3作目のチャンスがあって、つくることがあるとしたら、またみなさんお会いしましょう。

映画『轢き逃げ −最高の最悪な日−』は全国公開中

(C)2019映画「轢き逃げ」製作委員会

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