映画『轢き逃げ −最高の最悪な日−』
中山麻聖×石田法嗣インタビュー

中山麻聖×石田法嗣

とある地方都市で起きた轢き逃げ事件をきっかけに、人間の底知れぬ心情に光をあてた映画『轢き逃げ −最高の最悪な日−』。エンタテインメント界で常に最前線を走り続ける水谷豊が、監督2作目にして初の脚本も手がけた渾身の一作となる本作で、轢き逃げ事件を起こし煩悶する二人の主人公・宗方修一と森田輝を演じたのが、中山麻聖と石田法嗣だ。450人を超える中からオーディションで大抜擢され、過酷な撮影現場でも「オフの日も一緒にいた」というほど仲が良く絆を深めていった2人に、現場での水谷監督とのエピソードや本作にかける熱い想いを語ってもらった(取材・文:富塚沙羅/撮影:ナカムラヨシノーブ)。

──水谷監督と初めてお会いになった時の、印象はいかがでしたか?

中山麻聖×石田法嗣

中山:最初に(本読みで)お会いした時は、笑顔で握手を求めてくださって『ありがとうございます、よろしくお願いします!』と言ったんですけど…すごく緊張しましたね(笑)。

石田:僕は以前『劇場版 相棒』でご一緒させていただいていたんですけど、実はその間にも一回NHKでお会いしたことがあって。僕が娘さんの趣里さんと共演していた時に『趣里ちゃん、お父さんいるの?』って言ったら、『うん今いるよ』って言うので『呼べばいいじゃない』って言ったら本当に呼んじゃって(笑)!

でも今回は立場が違って監督なので、すごく緊張しましたね。(中山)麻聖とも最初は敬語で、まだこんな風に仲良く会話できない状態で…今はラフに「よう!」って感じですけど(笑)。

── “轢き逃げ犯”となる中山さん演じる秀一と石田さん演じる輝は親友の仲ですが、一番最初のお互いの印象はいかがでしたか?

(C)2019映画「轢き逃げ」製作委員会

中山:(石田)法嗣は、もう(演じた)輝そのものでしたね。台本を読んで自分の思っていた通りの人が目の前に現れたという感じ。一番最初は僕と一緒で緊張で表情が強ばっていたので、「あっ自分と一緒の人がいる!」ってすぐに近寄っていったんです(笑)。

石田:お互い緊張していて今後がなにも見えない状態の中で、麻聖がパパっと来て『連絡先教えて』って(笑)。『えっなんで?』って思ったんですけど(笑)。これから作品で一緒になるから、連絡先交換して一応連絡をとっておこうと。

──そこから徐々に打ち解けていったんですね!

中山:最初はずっと敬語だったよね。敬語じゃなくなったのは、クランクイン直前だったと思います。2歳差くらいなんですけど、出会ったその日にもう敬語はやめようって話をしたのに、『あっわかりました』って(笑)。

石田:難しいですよ…やっぱり先輩…。

中山:いやいや、何を今更(笑)!

石田:今はご飯も一緒に行けるようになったので。「ハンバーグ一緒に食べよ?」って言ったら、「うん」って言ってくれるような関係です(笑)。

──本作では水谷さんが初めて脚本も書かれていますが、読まれた時の印象はいかがでしたか?

中山麻聖×石田法嗣

中山:セリフ以外のいわゆる“ト書き”と言われる部分がすごく細かく表現されていたので、まるで小説を読んでいるような、読み終わると映画を一本観終わったような充実した気持ちになりました。台本をお書きになってらっしゃる時点で、きっとご自身の頭の中で一度映画を撮られていて、イメージが完全にできあがってらっしゃるんだなと感じましたね。

石田:脚本は、展開も非常に細かくできていて…ドキドキしましたね(笑)!完成した作品を観た時は「あっとんでもない作品になったな」と思いました。

──お2人とも終始精神不安定でかなり難しい役どころだったかと思いますが、撮影前に水谷監督から言われたことなどはありましたか?

(C)2019映画「轢き逃げ」製作委員会

中山:最初の台本読みの時に、なるべく自分の価値観に固執しないで欲しい、なるべくフラットな状態で現場に来て欲しいとおっしゃっていただいたんです。自分のフィルターを通してしまうと違うものになってしまうので、なるべく言われたことを一回自分で受け止めて、自分の中に落としてから表現ができるようにというのは意識しました。

石田:僕はこれは自分の演技のクセだと思うんですけど、最初に「殻にこもっている感じがするからもう少しオープンに」と言われて…一発目でそれを言われたのでかなりパニくってしまったんですけど(笑)。(本読みの時に)3回目でやっと光が見えてきたと言われたので、嬉しかったです。

──スリリングな展開が次から次へと繰り広げられますが、実際に撮影に入られてからはいかがでしたか?

中山麻聖×石田法嗣

石田:過酷でしたね…。まず(中山さん演じる)秀一とのやり取りがとても多かったので、お互いのバランスのとり方などを探り合いながら進めました。役とは別の麻聖との距離感、コミュニケーションが完成し始めたのは…途中くらいからだよね?

中山:んー、その法嗣が途中まで感じてた壁は、僕的には透けていて(笑)。でもそれが法嗣に対してなのか、輝に対してなのか、僕も僕自身なのか秀一なのかっていう境界線が、もはや自分の中でよく分からない部分があった。でも監督から、2人の空気が違うねとは言われなかったので、大丈夫だったのかなと。

石田:一緒にご飯いっぱい食べたから(笑)。

中山:1か月くらい神戸にいたんですけど、自分のオフの日も撮影が終わった後も、なるべく2人一緒に行動をしようと。心がけていたわけじゃないんですけど、なんか一緒にいたいなと思って。

──本当に距離が縮まって、仲の良さが伝わってきます。現場では、水谷監督はどのような演出方法をされていたのでしょうか?

中山麻聖×石田法嗣

中山:まず、シーンごとにその役を演じてくださるんです。それからテストをやり、さらに微調整のために隣に来て、肩に優しく手を置いてそっと演出をつけてくださるというのが常でしたね。その後に演じるのが、逆に僕としてはプレッシャーでしたけど(笑)。

石田:演じてくださったものと、合わなかったら大変だもんね。

中山:なので水谷さんは、常に現場で目の前にいてくださった印象があります。

──役者さんならではの演出方法ですね。撮影中に水谷監督とのやり取りで特に印象的だったエピソードはありますか?

(C)2019映画「轢き逃げ」製作委員会

中山:特に印象に残っているのが、秀一の部屋で輝がベッドの上をピョーンと飛び越えるシーン。それも水谷監督が一回演じてくださったんです。その時まで、そんなことが起きるとは思っていなかったので、ベッドで横になってると水谷監督が目の前を舞うっていう…衝撃で(笑)。ビクッて目が見開いてフリーズしましたね。まさか飛ぶとは。

石田:本当びっくりしたね。俺もいきなり『あっ飛んだ!』と思って(笑)。

中山:言葉で伝わらない分そうやって演じてくださって、本当にありがたいことですよね。

──役者に常に寄り添ってくださっていたんですね。今回“誰にでも起こりうる事故”が物語の一つのテーマとなっていますが、本作を観ると本当に考えさせられることが多いです。

中山麻聖×石田法嗣

中山:僕は実際にハンドルを握って撮影していたんですけど、“人を轢く瞬間”というのを見て、それ以来実際にハンドルを握るのが恐くなってしまって…。今も運転ができなくなってしまったんです。事前にぶつかるシーンのテストをやったんですけど、その時の衝撃を体感して余計トラウマが残っている。そういったことが起こる可能性は、決してゼロではないですから。

石田:もし万が一自分が人を轢いてしまったら、すぐに警察に電話しますよね。逃げるってことはまず考えない。

中山:それこそ選択だよね。言葉に語弊があるかもしれないですけど、人の命って簡単になくなる。それも分かってはいたことなんですけど、この作品で自分の身をもって感じました。

──最後に改めて本作の見どころや、これからご覧になる方へメッセージをお願いします。

(左から)中山麻聖、石田法嗣

中山:本当に濃縮した時間を過ごさせていただき、僕自身この作品への想いがとても強いです。登場する人物の心の奥の様々な情が表現されていて、それぞれの視点で観ることによって色んな印象を受けるはず。それこそ僕たちと同世代だったら、輝や秀一の視点に立って観ていただけると、自分がどういう選択をするべきかというのが見えてくるんじゃないかと思いますね。

石田:被害者、加害者、間違った選択をしてしまった主人公2人の想い、葛藤など、それぞれがもっているものがすごく表現されている。生きててもいつ起こるか分からない本当に身近にあることなので、それぞれの人生の選択を見て欲しいなと思います。

中山:あと僕は、まだ完成した作品を自分のお芝居含め客観視して観れていないんですけど、それこそ水谷監督に自分が成長できたかどうかを聞いてみたいですね!ドキドキですが(笑)。

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映画『轢き逃げ −最高の最悪な日−』は5月10日(金)全国ロードショー

公式HP:http://www.hikinige-movie.com/

(C)2019映画「轢き逃げ」製作委員会

取材・文:富塚沙羅/撮影:ナカムラヨシノーブ

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