日本外国特派員協会で記者会見を行ったDeNA・筒香嘉智【写真:広尾晃】

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筒香が「『もっと良くなるにはどうしたらいいか』考えていること」とは…

 DeNAの筒香嘉智外野手が25日、都内の日本外国特派員協会で記者会見を行い、外国特派員などのメディアに対して、日本の野球界の問題点などについての持論を語った。

 昨今叫ばれている野球人口の減少。どうすれば、野球に触れてもらえるか。どうすれば、もっと野球をプレーする子供が増えるのか。そして日本の野球の、スポーツの未来にとってどうしていくべきか。筒香が語った日本の野球界、スポーツ界。それを余すことなくお伝えするため、複数回に渡って掲載していく。

「本日は僕自身が感じているスポーツ界、野球界の現状について『もっと良くなるにはどうしたらいいか』考えていることを話したいと思います」と切り出して始まった会見。そこで筒香はまず「野球界は人口が減少していますが、少子化のスピードより6〜10倍のスピードで減っているという調査があります。また小さい子供たちが、野球をやりたいのにも関わらず無理をして怪我をしたり、手術をして野球を断念したという話も聞きます」と球界の現状を説明した。

 さらに「昨年は野球界だけでなく、スポーツ界全体で、指導者と選手についてさまざまなニュースが取り上げられました。現状のままで、未来ある子供たちが、好きなスポーツ、野球を続けていいのかという問題があります。なぜそんな問題が起きるのかということをみんなが深く掘り下げて考えていかないと、また同じような問題が起きてしまうと僕は考えています」と、野球界にとどまらず、近年不祥事の相次いでいるスポーツ界全体への問題を提起した。

 日本のスポーツ界、特に子供たちの世代における1つの問題点を、徹底した「勝利至上主義」にあると筒香はいう。負ければ終わりの一発勝負の大会が多いことで大人側の都合、指導者側の都合が優先されているのでは、というのだ。

「大人が守らないと子供の将来は潰れると思います」

「野球界でいうと、一つの要因は若い世代に多い『勝利至上主義』が原因だと僕は思っています。どの年代も、選手の将来的な活躍よりも、今の勝利を重視した『勝利至上主義』に問題があるのではないかと思っています。プロ野球はリーグ戦で行われていますが、骨格のできていない子供たちの大会はほとんどがトーナメントで行われています。このため、どうしても選手の成長よりも今の試合に勝つことが優先されています」

「指導者は勝つことが子供に良かれと思ってやっていますが、実は子供たちの負担になっているという現状があると思います。もちろん僕自身も勝つことを否定しているわけではありません。勝つ喜び、負けて悔しがることは必ず必要なことだと思っていますが、勝つことが第一に優先されて、子供の未来が潰れているのが現状です。子供が優先されないといけないのに、大人が中心になってやってしまっているのではないかなと思っています」

 勝つ喜び、負ける悔しさは、人間として、選手として必ず必要だ。かといって、子供たちの身体や将来に目を向けず、勝利が何よりも優先される現状は好ましくないと、筒香は感じている。

「子供を守るのは両親、指導者などの大人です。大人が守らないと子供の将来は潰れると思います。小学生が肘や肩を痛め、酷い場合は手術をしないといけないという例も多く聞きます。アメリカでは球数制限が導入されていますが、日本ではまだ導入されていません。指導者が良かれと思ってやっていることで、子供たちの負担になっていることがすごく多いのが現状です。子供たちを守るためには各連盟の方がルールを決めないとまた同じ繰り返しになると思っています」

 子供を守るためには、大人が現状を理解し、子供たちの将来を第一に考えなければいけないと筒香は言う。では、子供たちを守るためには、どうしていくべきなのか。次回以降は筒香の考え、語った改善案などを紹介する。(広尾晃 / Koh Hiroo)