出場選手たちが語るアジアカップ初戦の舞台裏とは?【写真:©AFC】

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前後半で異なる顔を見せた日本、ハーフタイムを境にがらりと変化した理由

 森保一監督率いる日本代表は、9日のアジアカップ・グループステージ初戦トルクメニスタン戦で先制を許す苦しい展開のなか、後半に逆転して3-2と白星発進を飾った。

 苦戦を強いられた森保ジャパンは、前半と後半で異なる顔を見せた形だが、ハーフタイムを境に何が変わったのか。出場選手たちがその舞台裏を語る。

 前半の日本は思うようにギアが上がらず、攻守ともに不安定さが目立ち、前半26分にはMFアルスラン・アマノフに約30メートルの強烈ミドルシュートを叩き込まれて先制点を献上した。しかし、ハーフタイムを挟んで迎えた後半に入ると一変。FW大迫勇也(ブレーメン)の2ゴール、MF堂安律(フローニンゲン)の1ゴールで3-1と逆転に成功。終盤にPKでゴールを許したが、日本が3-2で勝利した。

 日本のプレーと内容は、前後半で大きく変わっている。森保監督は「後半、よりダイナミックに人もボールも動いたことで、相手も難しい守備をしなければいけなくなったところで3ゴールにつながった」と分析した。

 一方、選手たちは同じような見解をそれぞれ示している。キーワードは「幅」だ。両サイドを起点に攻撃を構築するなか、対角線の長いパスが通り始めると攻撃のリズムが生まれた。

「後半ガラッとチームが戦い方を変えて、サイドから仕掛けることやクロス、ロングボールからのセカンドボールという幅もできた。自分が仕掛けること、元気とのコンビネーションを使うことでチャンスも作れたし、得点につながるものもあった。サイドはカギになる」(長友佑都/ガラタサライ)

前半は「やりたいサッカーに固執し過ぎた」「各駅停車のパスが多かった」

 前半の苦戦について「やりたいサッカーに固執し過ぎた」と語るのが原口元気(ハノーファー)だ。「中でコンビネーションをしたいあまりに幅がなかったし、サイドバックが高い位置を取れたわけでもない」と指摘。もっとも、後半には“幅”を全員が意識し、状況が好転したという。

「ハーフタイムに話して、幅を取ったほうが良いということになって、幅を取ってから中に入ったほうが良いと。そのほうが上手くいった」

 サイドを上手く使った幅に関して、より詳細に明かしたのがパスの出し手にあたるDF吉田麻也(サウサンプトン)だ。サイドへパスを出す際、重視するべきポイントがあると語る。

「大事なのは佑都と元気、逆サイドなら(酒井)宏樹と律の動きが連動していること。律が中に入るたびに宏樹が前に行かなくてはいけないし、その連動が上手くいかずに各駅停車のパスが多かった。後半は1人が動き出したところに連動してボールを受けることで相手のプレスをかいくぐることができた」

 ボランチに入ったMF柴崎岳(ヘタフェ)は、こぼれ球の回収から繰り出す2次攻撃も効果を発揮したと見ている。「綺麗に崩すよりも、アバウトなボールでセカンドボールを拾った二次攻撃でも良いと話してやった部分で、そういう場面もあった」と振り返った一方、他の選手と同様に“幅”について触れている。

「幅を取ることもそうで、相手の5バックのギャップをついて足下に入りやすくなった部分もあると思う」

“幅”以外の要因も…「体が動くようになり、危機感が増し、相手の組織が乱れた」

 “幅”以外にも逆転勝利の様々な要因がある。日本の選手個々の意識が変わり、それがチーム全体のプレーに反映されただけでなく、トルクメニスタン側の変化も影響した。

「体が後半は動くようになったと思う。前半は動いていないと感じた。もちろん危機感が増したこともある。相手のインテンシティーや組織が乱れたこともある。そういう要素が重なったと思う」(吉田)

 前後半でがらりと姿を変えた日本は、苦戦をしながらも勝利をもぎ取った。13日に第2戦オマーン戦、17日に第3戦ウズベキスタン戦を控え、2011年大会以来の優勝を目指すなかでの逆転勝利は、戒めと同時に教訓になる一戦と言ってもいいだろう。森保ジャパンは成長を遂げながら、アジア王座奪還に向けて邁進する。(Football ZONE web編集部・大木 勇 / Isamu Oki)