車の電動化で新分野攻略を迫られる伝動ベルトメーカー
バンドー化学の吉井社長は「ベルトに代わる新製品の付加価値を高める」との方針を掲げる。ベルトで培った、ゴムやウレタンといった材料の配合・分散・複合化技術を核に製品群を増やす。電子資材分野では、サーボモーターなど電子機器向け放熱シートの量産を始めた。2016年には人の身体などに取り付けて伸縮動作を計測するフィルムセンサーも発売し、神戸大学と応用製品の開発を進める。これら新事業の23年3月期売上高は18年3月期比約4・4倍の120億円が目標だ。
同社の垣内一社長は「まずは2輪車や農機向けなどにベルトを用途展開する」と主力のベルト事業に引き続き注力することを強調する。合成樹脂素材などの新分野はベルトと並行する形で「徐々に伸ばす」との考えだ。ただ、19年3月期は試験研究設備に前年度比15%増の37億円を投じる計画。新製品開発は加速している。
一方、ニッタは車の内燃機関に関わる事業の売上高比率が全体の3割以下にとどまり、将来の電動車普及の影響は限定的と見る。ベルトやホース・チューブ製品など成熟化した国内主力事業に次ぐ新たな成長軸を育て、21年3月期までに新事業・製品の売上高を18年3月期比約3・6倍の250億円に増やす計画だ。
そのため、同社の新田元庸社長は「既存事業の強化につながるM&A(合併・買収)案件があれば積極投資する」との方針。17年には産業・医療用ゴム製品の2社を買収し、新製品開発を強化した。
また、独自のカーボンナノチューブ(CNT)分散技術と炭素繊維への複合化技術を応用した新素材が、ヨネックスのテニスラケットに採用されるなど、成果も生まれ始めた。新素材について新田社長は「航空宇宙業界など幅広い採用を目指す」とさらなる成長を期待する。
ベルト各社の新事業を支えるのは車向けなどの高い要求に応える中で培った素材加工技術。開発した素材を持続的な成長軌道に乗せるため、各社には事業化の手腕も求められる。
(文=神戸・中野恵美子、大阪・大原佑美子)
