金融庁は5日、スルガ銀行に対し、投資用不動産向けの融資を対象とした6カ月間の業務停止命令を含む行政処分を行った。同行は、投資用不動産向けの融資と一部の住宅ローンの新規受け付けを12日から2019年4月12日までの間停止する。シェアハウス向け不正融資などで、多くの行員が審査書類の改ざんなどの行為に関与し、経営陣も見過ごしたことを問題視。法令順守や経営管理体制に重大な欠陥があると判断した。

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 同行が建設資金の大半を融資した、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」での投資トラブルが、今年に入り問題となった。9月7日に公表された第三者委員会の調査報告や、金融庁が4月より進めていた立ち入り検査の結果、同行の業務運営態勢等に問題が認められた。その結果、6カ月間の一部業務停止命令が下った。この行政処分には、この他、行員に対する融資業務や法令遵守に関する研修の実施、リスク管理態勢と内部監査態勢の確立、ファミリー企業との取引を適切に管理する態勢の確立等が含まれる。

 金融庁が処分の理由としたのは、シェアハウス等の投資用不動産融資における預金通帳残高などの資料の改ざんや迂回取引だけではない。これら投資用不動産融資を実行する際、行員がその立場を利用し、保険商品、定期預金、カードローンなどを抱き合わせ販売し顧客の利益を害していた。また、営業部門におけるこのような実態に対し、審査部や監査部の牽制機能が欠如していた点も指摘。そのほか、創業家のファミリー企業に対する融資における管理の不適切な状況や、禁止されている反社会勢力との取引を管理する態勢の不備などを、問題視した。

 同行によれば、現時点で把握している不正融資の件数は合計1,546件。6カ月間の業務停止命令期間中に更なる調査を進めるとしている。調査の結果、何らかの不正が紛れ込んでいる実行済み融資の件数や金額はさらに大きくなる可能性が高い。