上場企業で働く20代から30代の正社員の75%が「仕事に対して無気力」であることが、野村総合研究所(本社・東京都千代田区、藤沼彰久差調)が5日までにまとめた「仕事に対するモチベーションに関する調査」で分かった。

  調査の結果、仕事での成長実感が薄く、無気力を感じ、仕事に対する社会的意義も感じられず、容易に転職を考えがちな若者像が浮かび上がった。その一方で、「報酬」や「自分らしさ」「スキルアップ」に「やりがい」を見いだしている若者が多いことも分かった。「団塊の世代」がまとめて定年退職する2010年問題を考えるとき、凋落(ちょうらく)傾向にある若者の仕事に対するモチベーションをいかに引き上げるかが、企業の生き残りと競争力アップにつながるのではないかと野村総研はみている。

 調査は、同総研のモニターに登録してあるで上場企業で働く20代から30代までの正社員を対象に、2005年10月7日にインターネット上で実施、1000人(男性719人、女性281人)から有効回答を得た。

 ◇仕事に対する無気力感=75.0%
 「現在の仕事に対して無気力感を感じることがあるか」との問いに対して、「よく感じる」(16.1%)、「ときどき感じる」(58.9%)と、程度の差こそあれ、7割以上の若者が「無気力」であることが分かった。
 
 ◇職業人として成長した実感がない=42.5%
 「3年前と比較して、職業人として成長した実感があるか」という質問には、「あまり実感がない」(42.5%)が「実感がある」(38.7%)を上回った。成長に対する停滞感は特に30代で男性49.0%、女性47.5%と高くなっている。

 ◇社会的使命を感じない=31.7%
 「現在の仕事を通じて、社会的使命を感じるか」という問いには、「感じない」(11.0%)、「どちらかといえば感じない」(20.7%)という否定的な答えの合計が31.7%で、「感じる」(5.1%)、「どちらかといえば感じる」(29.5%)と肯定的な意見を上回っていた。
 
 ◇転職や独立をしたい=44.0%
 「現在の会社にどのくらいの間勤めたいと思うか」との質問に対して、「定年まで勤めたい」は17.9%に過ぎず、「機会があればすぐにでも転職や独立をしたい」(18.7%)、「3年以内に転職や独立をしたい」(13.0%)、「あと5年くらい勤めたい」(12.3%)を合計した潜在的な転職志願者は44.0%だった。

 ◇「やりがい」は高報酬=29.0%
 「どんな仕事に『やりがい』を感じるか」という問いに対する答えが最も多かったのが、「報酬の高い仕事」(29.0%)で、次いで「自分だけにしかできない仕事」(22.0%)、「新しいスキルやノウハウが身に付く仕事」(21.8%)と、「自分らしさ」の表現や、何らかの技術が習得できる仕事に「やりがい」を感じるという答えが多かった。

 ◇面白い仕事=44.5%
 「お金以外の報酬で重要な物は何か」との質問には、「仕事自体の面白さや刺激」(44.5%)、「同僚や後輩から信頼されたり感謝されたりすること」(35.0%)、「顧客から感謝されること」(34.2%)が上位に挙がった。【了】

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