デリケートな問題について口を開いたノイアー。彼自身も難しい立場にいると思われるが……。 (C) Getty Images

写真拡大

 メスト・エジルがSNSでドイツ代表引退を表明するとともに、自身のルーツがトルコにあるがゆえに様々な差別を受けたことを赤裸々に綴った件に対し、多くの関係者が声明を出し、一大論争に発展している。
 
 そんななか、ドイツ代表キャプテンのバイエルンGK、マヌエル・ノイアーもついに、この問題について口を開いたことを、ドイツ国内の複数メディアが伝えている。

 バイエルンでのキャンプ中に行なわれた記者会見で、ノイアーはまずエジルの代表引退については、このように語った。
 
「これは選手個人の決断だ。選手は皆、(引退の)理由は自分で見つけなければならない。彼もそうした。そして我々はもちろん、それを受け入れた」
 
 エジルはDFB(ドイツ・サッカー連盟)のラインハルト・グリンデル会長から不当な扱いを受けたと告白したが、ノイアーは代表チームに差別的な空気はなく、またキャプテンとして全選手に平等に接してきたことを強調する。
 
「チームが良いフィーリングを持って試合に臨めるよう、常にチームをまとめようと努力したし、チームメイトたちにはできるだけの対応をしてきた」
 
 ロシア・ワールドカップで歴史的惨敗を喫したドイツは、一からの立て直しを強いられるが、新たなチームの構築において、ノイアーはDFBに以下のように要求している。
 
「連盟はチームを作り直し、新しい姿を見せる必要がある。再び成功の道を辿れるよう、代表チームでプレーすることに誇りを持ち、自分たちの国に全てを捧げられるような選手を揃えなければならない」
 
 この発言について、ノイアーエジルを愛国心に欠けた選手と見ている、と捉える者も少なくないようだが、逆にエジルのようにルーツが違っても生まれ育った祖国のために尽力した人間が報われ続けることをノイアーが願っていると捉える者も多い。
 
「とにかく、ここからチームも、連盟も変わっていくと思う。まずは、新しいスタートがどうなるかを見る必要がある。我々には大きな目標があるし、新しい姿を見せていきたい」
 
 続投したヨアヒム・レーブ監督率いるドイツ代表にとって再始動の場は、9月に始まる新たな大会、UEFAネーションズリーグとなる。凋落した前世界王者は、ここで再びポジティブな姿を世界に披露することができるだろうか。