音によって自律神経が刺激され脳がとろけるように気持ちよく感じるという現象が「ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response:自律感覚絶頂反応)」です。このASMRを誘因するようなムービーが中国当局から「低俗なポルノコンテンツだ」と見なされ、中国内のストリーミングプラットフォームから軒並み削除されていると報じられています。

China bans ASMR videos citing ‘vulgar and pornographic content’ - The Verge

https://www.theverge.com/2018/6/18/17475942/china-asmr-video-ban-anti-pornography

ASMRは聴覚によって脳がとろけるような感覚を覚える現象で、石けんを削る音・耳かきの音・散髪の音などを録音したムービーがYouTubeなどに多くアップロードされています。ASMRを誘因するムービーにはバイノーラルマイクでささやき声やそしゃく音を録音したものも多く、以下のムービーのように、ヘッドホンやイヤホンを装着した状態で視聴するとまるで本当に耳元でささやいてくれるように感じられるものもあります。

~Simple Pleasures~ ASMR Soft Spoken Personal Attention - YouTube

ASMRを誘因するムービーには性的な内容のものも存在していて、性的刺激を求めるために視聴する人もいますが決して多数派ではありません。2015年に行われた研究によると、アメリカと西ヨーロッパにおけるASMRムービーの使用者のうち、約82%が睡眠導入の補助として、70%がストレスの緩和として使用していて、性的刺激のためにASMRを利用している人はわずか5%ほどだったと報告されています。

しかし、中国でポルノコンテンツや違反出版物の取り締まりを行う全国掃黄打非工作小組は2018年6月8日、「下品で性的なASMRを徹底的に排除する」と発表し、刑事的責任も追及していくという構えを見せました。さらに、Youku・Bilibili・Douyuなどの中国内のストリーミングプラットフォームからはASMRムービーが軒並み削除されていて、実際にYoukuで「ASMR」を検索したところ1件もヒットしませんでした。



ただし、全国掃黄打非工作小組による発表では、ASMRをポルノであると指摘する一方で、何がポルノなのかという具体的な定義は記されていません。中国内のSNS・Weiboでは当局発表のニュースを受けて、「ASMRは禁止されたのですか?もはや何かを食べることが性的と見なされるのですか?これから私はどうやって眠りにつけばいいのでしょうか?」という抗議の声や「インターネットのコンテンツで次に当局から禁止されるのは何なのか」という動揺の声が中国のインターネットユーザーから上がっています。



かつてASMRムービーをアップしていたという元ブロガーは「中国で性産業が合法化されれば、中国が抱える社会問題もすっきり解決できると思います。30年前に比べて中国の社会も開放的になっているので、いつかそうなってくれると私は信じています」とコメントしています。