日本代表の“人気低迷”を英国人記者が指摘【写真:Getty Images】

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出国時に空港に詰めかけたファンは「わずか150人だった」

 日本代表はロシア・ワールドカップ(W杯)に向けて、事前合宿地オーストリアで調整を進めている。

 8日にスイス、12日にパラグアイと親善試合を行い、19日にグループリーグ初戦のコロンビア戦を迎えるなか、米スポーツ専門テレビ局「ESPN」は過去と現在のW杯に対する国民の関心度の違いについて触れている。

「4年前、サムライブルーを見送ろうと700人ものファンが空港に詰めかけたが、先週はわずか150人だった」

 主にアジアのサッカー事情をカバーする英国人記者のジョン・デューデン氏は、今大会への国民の関心の低さに注目している。

 2014年のブラジル大会に挑む日本代表は、02年と10年のベスト16を上回る成績を期待され、数百人ものファンの声援に見送られて日本を出国したが、アルベルト・ザッケローニ監督率いるチームは1分2敗の勝ち点1で、グループリーグ最下位という散々な成績で終わった。ところがデューデン氏は、「それ以来、多くのことが起き、また多くのことが起こらなかった」と、この結果だけが今大会への関心の低さの理由ではないとしている。

 15年3月に就任したバヒド・ハリルホジッチ前監督の下、日本代表はW杯アジア予選を突破し6大会連続6回目の本大会出場権を手に入れた。しかし、W杯出場を決めた8月のオーストラリア戦(2-0)以降、9試合でわずか3勝と振るわず。そしてついに、コロンビアとのW杯初戦を約2カ月後に控えた4月に、日本サッカー協会(JFA)は成績不振と、選手とのコミュニケーションに問題があったとしてハリルホジッチ氏を解任した。

 後任監督には、かつてガンバ大阪を率いた技術委員長の西野朗氏が就任。デューデン氏は、欧州で今季活躍を見せたフローニンゲンMF堂安律やポルティモネンセFW中島翔哉など、勢いのある若手が落選した西野監督の本大会登録メンバー23名の顔ぶれを「パッとしない無難な選択」と評し、新鮮さと潜在能力を注ぎ込むことを期待した人にとっては、“失望する結果”と述べる一方で、今大会終了までという短期契約で就任した「保守的な監督」のこうした選択には驚くこともないと話す。


現時点では「2010年よりも2014年を繰り返す可能性が高い」

 ハリルホジッチ体制の最後に冷遇され、西野監督の就任とともに代表復帰したMF香川真司(ドルトムント)とFW本田圭佑(パチューカ)が、現在のチームの“希望”としたが、香川については怪我とクラブでの「平凡なパフォーマンス」により、代表チームへの影響力に限界があるとした。本田についても、「今やスターの地位にはいない」と述べ、この二人が数年前のような輝きを再び取り戻す必要があるとしている。

 W杯初戦まで残り約2週間となったが、西野監督の初陣となった5月30日のガーナ戦は0-2で敗北。試合終了のホイッスルとともに一部サポーターからはヤジが飛んだが、それは結果よりも「残念なパフォーマンス」に対するものが多かったとデューデン氏は指摘している。この試合で採用した3バックは安定感を示せず、中盤で多くの良質なパスをつないだにもかかわらず、チャンスを作り出せたのはごくわずかだったと振り返った。

「西野監督、そしてJFAの評価は6月の結果に左右されるだろう」

 日本のW杯前最後の試合は現地時間12日のパラグアイ戦。2010年南アフリカW杯のベスト16でPK戦の末に敗れた相手だが、デューデン氏は粘り強く戦った日本にとっては良い試合だったと振り返る。しかし残念ながら、8年後の現チームは「2010年よりも、(グループリーグ敗退の)2014年を繰り返す可能性の方が高いだろう」と締めくくった。


(Football ZONE web編集部)