W杯本番を前に、日韓両国とも不安要素は少なくない。揃って16強進出を果たした8年前の再現はなるか。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 いよいよ新生・日本代表が始動した。5月21日、東京近郊でひとまずは本田圭佑や香川真司、岡崎慎司ら海外組11人を集めてスタート。ランニングやフットバレーなどで軽く汗を流した。
 
 今回のロシア・ワールドカップには、史上最多5つのアジア代表チームが本大会に駒を進めた。日本、韓国、オーストラリア、イラン、サウジアラビアだ。それぞれの下馬評は決して高いものではなく、ロシアでは苦戦が予想されている。そんななか、米スポーツ専門チャンネル『FOX SPORTS ASIA』の名物記者が大胆な持論を展開した。「アジア人ならワールドカップで日本と韓国を応援しよう」という題目だ。

 
いったいどういう意図なのか。アジア・フットボールに精通する英国人記者、マーク・デュアデン氏はこう主張する。
 
「アジアから5チームがワールドカップを戦う時代になった。だが彼らはどこまで勝ち上がれるだろうか。いずれも熾烈なグループリーグを戦うことになるが、個人的な意見として、当該国以外のアジア人にはぜひとも日本と韓国を応援してもらいたい。なぜならそこにはアジア・フットボール発展の鍵が隠されているからだ」
 
 他の3チームと比べて、日韓両国代表が異なる点とはなにか。そう、ともに監督は自国人である。デュアデン記者はそこに大きな価値を見出しているのだ。
 
「アジアのフットボール界は盲目的に欧州の指導者を崇拝している。たしかに戦術に長け、トップレベルのコンペティションでの経験は素晴らしく、いまだアジアが学ぶべき点は多い。中国スーパーリーグなどは典型例で、マルチェロ・リッピやファビオ・カペッロ、フェリックス・マガトと次から次へと世界的な名将を招聘している。その一方で、アジアの監督たちが過小評価されてはいないか。確実に成長しているというのに、あまりチャンスが与えられないでいる。彼らがスキルを伸ばし、自国の監督による自国のフットボールを追求するのが理想だろう。その意味でも、わたしは日本のアキラ・ニシノ(西野朗)と韓国のシン・テヨンには大いに注目している。彼らふたりがアジア人監督のステータスを高め、さらにはアジア・フットボールに発展をもたらしてくれるはずだと」

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 デュアデン記者が求めるのは、2010年南アフリカ・ワールドカップの再現だ。
 
 日本は岡田武史監督が、韓国はホ・ジョンム監督がそれぞれ率い、ともにラウンド・オブ16に進出した。アジアに大いなる夢と希望を与えたとその功績を称え、今回の「ニシノ&シン」にもなし得ることだと期待を寄せる。
 
「ニシノとシンは、どちらもクラブレベルでアジア・チャンピオンズリーグを制している。現代のアジアで彼ら以上の実績を持つ指揮官はおらず、だからこそ、ワールドカップで手腕をいかんなく発揮してほしいのだ。オーストラリア、イラン、サウジの健闘にも期待するが、やはり個人的には日本と韓国が気になる。アジアの指導者の声価が高まれば、いつか彼らが欧州で活躍する日もやってくるだろう。それがまた、自国のフットボールやリーグを潤わせるのだ」

 
 とはいえ、なかなか現実は厳しい。日本はポーランド、コロンビア、セネガルと同居し、韓国もドイツ、スウェーデン、メキシコと強豪揃いのグループに組み込まれている。
 
 はたして日韓両国は、熱いエールを贈るデュアデン記者の想いに応えられるか。両指揮官の手綱さばきに注目だ。