画像提供:マイナビニュース

写真拡大

●売れまくるauの「nova 2」

KDDIが発売したファーウェイ製スマートフォン「nova 2」は、ファーウェイの予想を大きく上回る売り上げを記録しているという。これまでSIMフリー市場での躍進が注目を浴びてきたファーウェイだが、事業規模としてはキャリア向けスマホのほうが大きいという。

これから先、日本市場においてスマホやPCをどう展開していくのか。スペイン・バルセロナでの「Mobile World Congress 2018」の会場にて、デバイス事業で日本・韓国リージョンのプレジデントを務める呉波氏に話を聞いた。

○SIMフリー端末より何倍も売れているauの「nova 2」

ファーウェイは日本のSIMフリースマホ市場でNo.1シェアの企業として知名度を上げている。最近ではミドルレンジ機の「HUAWEI P10 lite」が、MVNO事業者や家電量販店においてベストセラーとなっている。

だが呉氏によれば、ファーウェイ・ジャパンの端末事業の中心は大手キャリア向けのタブレットやWi-Fiルーターなのだという。その背景として、大手キャリア市場は国内スマホ市場の9割を占めると呉氏は分析する。実際、KDDIから発売された「nova 2」はSIMフリー端末の何倍も売れているという。

一方でファーウェイは、多大な投資をしてきたSIMフリー市場の開拓にも意欲を見せる。秋葉原のヨドバシカメラには国内初の「ファーウェイ・ショップ」を設置し、SIMフリーのスマートフォンやタブレット、PC製品を販売していくという。

出店の基準として呉氏は「ROI」を挙げる。実店舗は2016年夏から検討を進めており、銀座や表参道への出店も検討したが、採算性の観点から見送ってきたという。また、店舗を急拡大させる一方で翌年には半数を閉鎖した企業の事例を挙げ、「日本での店舗展開は、長く経営を続けていけることを重視したい」と語った。

●PC市場へ入り込むには?

○日本のPC市場をどう攻めるか

ファーウェイはMWC 2018でスマートフォンの新製品を発表せず、次期フラグシップ機「HUAWEI P20」シリーズを3月27日にパリで発表することを予告するにとどまった。

代わりに発表したのが、ノートPCの新モデル「MateBook X Pro」と、Androidタブレットの新製品「MediaPad M5」シリーズだ。実は2016年にもファーウェイは初のPC製品をMWCで発表し、モバイル業界からPC市場への参入を印象付けたことがある。

再びMWCで発表する形となったMateBook X Proについて、呉氏は「PC市場へと本格的に入り込む製品として売っていく。部品も選りすぐりのものを使っている」と自信を見せた。タブレットのMediaPad M5を含め、新製品は2018年第2四半期に日本で発売するという。

一方で、ファーウェイはPC市場でどれくらいのシェアを取りに行くのか、具体的な数値は明らかにしていない。この点について呉氏は、「販売台数などの数値目標を設定する実力がまだまだ足りていない状態だ」と言葉を濁している。

その背景として、PC市場には2つの「6割」があるという。日本のPC市場は全体の6割を15インチ以上のノートPCが占めており、同時に全体の6割を法人向けの販路が占めている。だが、ファーウェイはそのどちらにも参入していない。

「PC市場でシェアを取るには、15インチ以上の製品を投入し、法人向けに寄せていく必要がある」と呉氏は認める。だが、一方でこうした売れ筋の製品は他社も充実させており、法人向けの販売チャネルも確立しているのが現実だ。

まずは第2四半期にMWCの新製品を国内投入する構えだ。だがその後、モバイル市場では破竹の勢いを見せるファーウェイがPC市場をどのように攻略していくのか、呉氏の手腕に注目したい。