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●三木谷社長がMWCの基調講演に登壇

2月26日より、スペイン・バルセロナで開催されている「Mobile World Congress 2018」。その2日目となる2月27日に実施された基調講演に、楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏が登壇しました。

楽天は、FCバルセロナのスポンサーとなっていることからスペインでもその名前が知られつつありますが、楽天の事業の多くは日本で展開されているため、海外ではまだ馴染みが薄いのが実情です。そこで三木谷氏はまず、改めて楽天のサービスと戦略について説明。1997年にEコマースのマーケットプレイスとして創業して以降、成長を重ねて国内外で数多くの事業を展開。2017年には、世界での総取引額が1200億ドル(約12.8兆円)に達し、全サービスで12億もの会員を抱えるに至ったと説明しました。

さらに三木谷氏は、楽天が国内で展開しているEコマース事業が米アマゾン・ドット・コムとは異なるものであること、そして高い知名度を誇る楽天のブランドと会員基盤、そしてデータを活用することにより、楽天が持つさまざまなサービスを結び付け、マネタイズへとつなげる楽天の基本戦略「楽天経済圏」などについて解説。そうした戦略の成果によって、Eコマースやクレジットカード、オンライン銀行など多くの分野で、国内でナンバーワンの座を獲得したと強調しました。

●携帯電話事業参入で「ゲームチェンジャー」に

三木谷氏はさらに、現在大きな話題となっている、国内での携帯電話事業参入について語りました。キャリア参入の背景として、既に日本で楽天Eコマースの売上の65%をモバイルが占めるなど、モバイルの重要性が大きく高まっていることを挙げています。

そこで楽天はMVNOとして「楽天モバイル」を開始。個人向けMVNOとしては国内トップの座を獲得したが、三木谷氏はさらに「ゲームチェンジャーとして、モバイルで偉大な会社になる」と話し、総務省に周波数帯割り当ての申請をして携帯電話事業(キャリア)参入への強い意欲を示すとともに、携帯電話事業での大きな成長を目指すとしました。

楽天が携帯電話事業で目指すのは、ネットワークとコンテンツ、サービスをつなげることだと三木谷氏は説明。これまでの楽天経済圏の戦略になぞらい、サービスの利用に欠かせないネットワークを触媒として顧客をつなげることで、ビジネスを拡大していく狙いがあるといいます。

●「楽天コイン」でポイントの国境を取り払う

その後三木谷氏は、Eコマースのキャッシュバックサービス「Ebates」や、フランスやドイツのEコマース事業における会員プログラム、欧州で展開する動画配信サービスの「Rakuten TV」、そして電子書籍の「Rakuten Kobo」やメッセンジャーサービスの「Rakuten Viber」など、楽天が主に海外で展開している事業について説明。Rakuten Viberは10億ユーザーを獲得するなど、日本だけでなく海外でも既に多くの会員を獲得していることを明らかにしました。

そこで三木谷氏は、新たな事業ビジョンとして「楽天コイン」を発表。これは、仮想通貨で注目されるブロックチェーン技術を活用することにより、国内外のサービスで獲得した楽天IDやポイントサービスを統合するものになるそうです。

すでに、楽天は国内で1兆以上のポイントを発行していますが、楽天コインが実現すれば、今後それが国境を越え、世界各国の楽天のサービスで使えるようになり、ポイントの利用価値と幅が国内外へ大きく広がるとともに、楽天経済圏をグローバルに広げる狙いがあるようです。三木谷氏は楽天コインの実現に強い意欲を示しているものの、現時点ではあくまで構想段階のようで、具体的な提供時期などは明らかにされませんでした。