左から森口祐子、村口史子、小田美岐(撮影:福田文平)

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リランキング制度導入、賞金女王の行方、初優勝しそうな若手…などなど、国内女子ツアーは今年も見どころが盛りだくさん!そこで、森口祐子、小田美岐、村口史子とそれぞれ個性の違う解説者たちに自身の時代と重ねながら?たっぷり解説してもらった。
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第一回は今季から導入されるリランキング制度による影響について。解説陣はどう変わると予想しているのか。
※リランキング制度とは、2018年から導入された開幕当初の出場優先順位をシーズン中に見直すシステムで、「アース・モンダミンカップ」、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」の終了後に、シード以外の選手はその時点での獲得賞金に応じて、それ以降の試合への出場順位が決まる
森口祐子(以下、森口):今年の試合数は昨年と同じ38試合。ですが、リランキング制度ができたことによって戦い方が大きく変わるのではないかと見ています。それは「スタートダッシュを図らないといけない」という気持ちを全員持つんじゃないかなということ。一年間満遍なく戦えるようなスケジュールというよりも、前半戦に重きを置くという気持ちは例年よりも高くなると思います。
小田美岐(以下、小田):私もそう思います。選手というのはそれぞれ個性があって、春先のスタートダッシュがすごい選手がいる一方で、夏以降の追い上げがすごい選手もいますが、こういう制度ができたことで、年間の出場権を持つシード選手以外は、ファイナルQTの上位に入ったからといって前半戦で稼がなければ全試合にでることができなくなる。一回目のリランキングのタイミングである「アース・モンダミンカップ」まで、ということは“夏”の直前です。「春先は調子が悪い」なんていっていられないですね。焦りが見える選手も出てくるでしょう。
村口史子(以下、村口):出場試合数も変わりますよね。去年まではQTから上がってきた選手もシード選手と同様に、一年通じてスケジュールを組んでいましたが、今年は前半で上位にこないといけないので、試合を休みづらいというか休めないと思う。たとえば、去年まで3勤一休(3試合に出て一試合休むペース)でやっていた選手も、そうもいっていられない。体力的にも上位の選手が来ると思います。そして春先は芝が薄かったり、寒かったりするので、そういう状況にも平気な人じゃないとだめ。私なんかだめだった(笑)。
小田:私もです(笑)。
村口:だから寒いのが苦手な人はとてもかわいそうだなって(笑)。
小田:末端冷え性の選手とかは特にかわいそう(笑)。
森口:そうだよね。これだけ強い選手が増えている昨今、シードに入ることに対してみんな危機感を持ちながらやっていると思うんだけど、その中でリランキングという制度ができたことでもっと気持ちがあおられる。(日本女子プロゴルフ)協会サイドからすれば、「みなさん安心してはいけませんよ」というような感じといったところでしょうか。例年以上に「今週だめだから、来週に集中しよう」という切り替えができなくなるような気がする。
小田:去年まではシードの選手とQTランク上位選手の出場資格の枠は、ほとんど一緒だった。だけど、今年からはQTから来た選手は半季しか保障されていない。「最悪、QTでも…」という感じではなく、「50位以内に入らないと」という思いが強くなりますね。
村口:あと、今はステップ・アップ・ツアーが20試合以上ありますが、レギュラーツアーに出場できるかどうか微妙な位置のQTランクの人も、リランキングのことを考えたら確実に出場できるステップではなく、ウェイティングで待機してでもレギュラーツアーに出て、どんどん賞金を稼がないといけない。前半戦は特にそうですね。
森口:そして例年より春先のスタートダッシュを考えないといけないですよね。そうなるとシーズンオフの過ごし方も変わってくるのではないでしょうか。どうやって過ごしたかが開幕戦だけでなく、前半戦全体で問われると思うんだけど、どうですか?
小田:オフの過ごし方は変わると思いますね。私は毎年、開幕戦のテレビ解説を務めているのですが、そこで選手に話を聞くと「トレーニング中心にやっていてゴルフはまだできていないんです」という選手が去年までは結構いたんですよ。ですが、前半戦に成績を残すとなると、そうも言っていられない。オフに実践練習をガンガン積んで「ヨーイ、ドン」という感じがしています。
森口:だよね。トレーニングと実践はある意味まったく別物だもんね。
村口:それこそ私の場合、オフにトレーニングをたくさん頑張って、開幕戦から何試合かはまだトレーニング疲れがありましたもん。だけど、今年からはそうも言っていられないですよね。
小田:試合をやりながら調子を少しでも上げていこう、という感じ。
村口:オフのときに新しいクラブを試そう、ということもちょっと難しくなったかなと思います。
森口・小田:そうだよね!
小田:オフにスイングを変えるのもかなり勇気がいると思う。
森口:クラブでいうと、今年からはシーズン中にいいものが出たときにも、中々変えられなくなるかもしれないね。
村口:ただ、調子がいいときってクラブを変えないじゃないですか?だから変えるのは調子の悪い人。でも、それでドツボにはまったりもする。
森口:でも、去年の鈴木愛さんは、途中でクラブを変えたことによって賞金女王を獲れたわけでしょ?新しいドライバーにしたことで、15ヤードくらい飛距離が伸びて「すごくゴルフが楽になった」っていっていたし。良くなるほうに賭けるのかどうかの、せめぎ合いはあるよね。
小田:パターなんかもそうだよね。ころころ変える選手とずっと使う選手がいるけど、ちょっと変えて結果が出ないと、「やっぱりだめだ」と。何本も変えた挙句に迷走するかも。
森口:これまで以上に選手個々だけでなく、周りのスタッフの総合力が問われてくる。
村口:成績が上がらなかったらスタッフも焦りますよ。
森口:そうだよね。コーチのアドバイスにしても、キャディさんも何か言おうにも「終盤にまで響いたらどうしよう…」って考えるかも。
小田:キャディ選びもそうですね。
村口:今の選手はどうでしょうね。同じキャディを続ける人と試合によって変える選手がいますよね。
小田:そうですね。3〜4人で回している人もいます。
森口:そういう選手はマンネリ化、というわけではないかもしれないけど、定期的にキャディを変えることで、新しい世界が見えて上位にいけるとか、いいきっかけにもなると考えているのだと思う。そういった判断だったり、変えどきというのが問われるかな。
村口:選手は行き詰まったとき、まずキャディを変えますよね(笑)。そこからトレーナーさんとかいろいろ変えていく。
小田:キャディさん、トレーナーさん、クラブ、そしてボール。自分は最後まで信じていないといけないからね(笑)。
村口:自分は変えられないから、そこから変えていこうって思いますよね。
小田:そういうことが今までは年間通してだったのが、今回は半年の中で行われるということでしょ?
森口:なんか過呼吸になりそう(笑)。
村口:シード選手は年間を通じて考えられるけど…。
小田:でも、前半戦しか出場権を持っていない選手たちの焦りかたを見ていて、「来年自分がそこに入るかも」という恐怖はあるんじゃないですかね。
森口:あると思うよ。
小田:いつもなら「QT上位にさえ行けばシードを落としてもあまり変わらないわ」と思っていたのが、半年しか出られない焦りを見ていると背中から涼しい風が…。
次回は【賞金女王候補】をお届け。ご期待ください。
森口 祐子(もりぐち・ゆうこ)/1955年4月13日生まれ、富山県出身。日本女子オープンなど通算41勝を挙げ、国内女子ツアーで6人しかいない永久シード保持者の1人。一男一女の母でもある。現在は解説者としても活躍中。
小田 美岐(おだ・みき)/1959年4月5日生まれ、京都府出身。ツアー通算6勝。ティーチングプロフェッショナル資格A級も保持している。現在は解説者として国内女子ツアーだけでなく、米国女子ツアーの解説を努めることも多い。
村口 史子(むらぐち・ふみこ)/1966年8月30日生まれ、東京都出身。ツアー通算7勝。1999年には年間3勝を挙げて賞金女王の座に輝いた。2004年にツアー競技からは引退。以降は雑誌やテレビの解説、レポーターとして活躍している。
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