Photo by gatopalomas(写真はイメージです)

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 元SMAPの草なぎ剛(43)がNHKスペシャルのドラマ『未解決事件 File.06 赤報隊事件』に出演することが21日に発表された。草なぎにとっては、9月にジャニーズ事務所を退社して以来、初めてのドラマ出演となり、ファン内外から喜びと期待の声が上がっている。だが、その一方で草なぎの演じる役柄に関して、落胆の声も出ているという。

「同ドラマは、前作で田中角栄元首相のロッキード事件をドキュメントと合わせて再現するなど、ジャーナリスティックな面でも評価の高いシリーズです。テーマとなったのは87年の『赤報隊事件』。朝日新聞阪神支局に目出し帽の男が侵入し、散弾銃を発砲して、小尻知博記者(当時29)が死亡しました。犯人はその後も、全国の同社関連施設を襲撃し、当時の中曽根らへの脅迫や、リクルート元会長宅への銃撃も行われました。当時の警察がのべ50万人の捜査員を投入しましたが、結局、事件は未解決のまま13年前に時効を迎えています」(週刊誌記者)

 草なぎが演じるのは、殺された小尻さんの先輩で、赤報隊事件の謎を追う「朝日新聞社の特命取材班記者」役と思われる。犯人は何者なのか、またその目的は何だったのか。当時、中学生だったという草なぎも「知れば知るほど、自由にモノが言える自由な社会とは何か、考えるようになりました」と意気込みを語っている。

■待望のドラマ出演も一部ファンは「なんだ朝日記者か…」の溜め息

「草なぎの役が事件解明に燃える『朝日新聞記者』というのが分かり、SNS上では落胆の声が広がっています。NHKのサイトに投稿された予告動画によれば、右翼を思わせる悪役の村田雄浩(57)が『国家のためにやっているのだから許されるのだ』とステレオタイプな国粋主義者の物言いをし、草なぎ記者は『殺された小尻記者に向けられた銃弾は、自由な社会を求める私たち一人一人に向けられた銃弾なんです』と正義感たっぷりに叫んでいます。しかし、誤報に捏造に偏向報道、従軍慰安婦問題を筆頭にさんざん日本国と日本国民に迷惑をかけ、マスコミの威信を地に落としてきた朝日新聞が『言論の自由を守る』だの、『真実の報道』だいっても、今の視聴者には説得力がありません」(前出・記者)

 たしかにSNS上では「剛クン、朝日新聞の記者役は受けちゃダメだよ」「朝日記者役というだけで見ない」「赤報隊は許し難いが、朝日の捏造はもっと許し難い」「赤報隊より慰安婦事件の真相究明はよ」「飯島さん、これは悪手だよ」「NHKは企業名まで出して、朝日のイメージアップにつなげてる」「配役にガッカリ」と、草なぎの挑戦を素直に喜べない本音があふれていた。

 暴力や脅迫で表現の自由を脅かした赤報隊の行動は絶対に許されるものではない。また事件から30年、地道に独自調査を続ける「樋田毅」という尊敬すべき記者も実際にいる。だが、それでも朝日新聞には「報道の自由」を追及する前に、「まず捏造の真相を調べて発表するべきでは」と思ってしまうのは筆者だけか。

 ともあれ、草なぎの「自由な社会を求める私たち一人一人」というセリフは、前事務所の圧力(?)と戦う姿を思わせて興味深いが、草なぎ記者は多くの人の共感を集めることができるのだろうか。

文・麻布市兵衛(あざぶ・いちべい)※1972年大阪府出身。映像作家、劇団座付き作家などを経て取材記者に。著書は『日本の黒幕』、『不祥事を起こした大企業』(宙出版)など多数あり。