子どもに教えたい 便利な"おつり暗算術"

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■759円の買い物で「1000円」出すと、お釣りは?

足し算に比べて、引き算は苦手意識を持つ人が多い。特に繰り下がりのある引き算は、私が教えている小学生もつまずきやすい計算のひとつである。大人も同じで、親御さんも自分の子どもに、繰り下がりのある引き算をうまく説明できないようだ。

図の例題で考えてみよう。「コンビニで759円の買い物をして、1000円札を出したときのおつりはいくらか?」

小学算数では、「1000−759」を筆算で解く。まず759の一の位の9を引くために、1000の千の位から順に繰り下げなければいけない。百の位も十の位も0だからだ。「74−38=?」のような2ケタ同士の式だと、1回の繰り下がりなので、たいていの子どもは理解できる。しかし、このように繰り下がりが連続する場合、子どもはつまずきやすい。

この筆算の仕組みを子どもに説明するときは、1000を1000円と見立てて、100円玉9枚、10円玉9枚、1円玉10枚に分解(両替)して考えるとわかりやすい。そこから、100円玉7枚、10円玉5枚、1円玉9枚を引いていくと考えれば、「9−7=2」「9−5=4」「10−9=1」で「241」の答えが瞬時に出る。

この仕組みを知っていると、お子さんがいる場合も、わかりやすく説明できるはずだ。

そして、この仕組みを応用したものが、図に示した「おつり暗算術」である。2つのパターンがあって、(1)がいま述べた考え方に基づくものだ。十の位以上はすべて9から引き、一の位だけ10から引く。その計算手順は先に示した通りである。

■繰り下がりが多い計算でも、パッと計算できる

(2)も根本的には同じ考え方で、両替した先ほどの1000円分の硬貨から、1円玉を1枚外して「999−759」の形にして、繰り下がりのないようにする。そして、出てきた答えに外しておいた1を足せばよい。一言でいうと「1000から引く」ことは、「999から引いて1を足す」ことと同じである。「1000−759」=「999−759+1」=「240+1」で、やはり答えは「241」となる。

こうすることで、繰り下がりが多い計算でも、パッと計算しやすくなる。(1)と(2)は、どちらでもやりやすいほうを使えばよい。

では、次の例題を解いてみてほしい。「10000−1805=?」。(1)を使うと、「9−1=8」「9−8=1」「9−0=9」「10−5=5」で、答えは「8195」となる。(2)の場合は、「9999−1805+1=8194+1=8195」となる。

では、「6000−5237=?」はどうか。少しやっかいな感じがするかもしれないが、考え方は同じである。

6000円を1000円札5枚、100円玉9枚、10円玉9枚、1円玉10枚に両替したとすればいいのだ。(1)を使うと、「5−5=0」「9−2=7」「9−3=6」「10−7=3」で、答えは「763」となる。(2)も答えは同じで、「5999−5237+1=762+1=763」だ。

このおつり暗算術を知っておくと、小学生のお子さんに教えるときに役立つのはもちろん、ビジネスの場や、スーパーやコンビニで買い物をしたときなどのおつりの計算も瞬時に暗算できるので便利である。

(志進ゼミナール 塾長 小杉 拓也 構成=田之上 信)